ついに裁判開始。Meiji SeikaファルマVS原口一博議員の争点と双方の思惑は
現職の国会議員が反ワクチン活動により民間企業から訴えられる。そんな異例の法廷がついに幕を開けた。
衆議院議員の原口一博氏(立憲民主党)に名誉を毀損されたとして製薬大手のMeiji Seikaファルマが同議員を訴えた裁判の第一回口頭弁論は3日、東京地裁で行われた。
報道陣も多数
原口議員はこれまで、mRNAワクチン関して「生物兵器まがい」「人体実験」「731部隊」などと繰り返し発しており、Meiji Seikaファルマが手がけた次世代型ワクチン「コスタイベ」(通称レプリコンワクチン)に対しても書籍などで不穏な発信を続けていたとされている。
同社は業績への影響などを訴え、1000万円の損害賠償を求めている。

(昨年5月開催の反ワクチン集会で演説する原口一博議員)
14時開始の法廷にはメディアが詰めかけ、冒頭の撮影も行われるなど注目度の高さをうかがわせた。
一方で傍聴席を見渡すと、日程が知らされていなかったこともあってか一般人はわずか。(この点については後述)
最終的に大半が司法記者クラブ所属の報道陣で計20人ほどの傍聴だった。
原告の出廷は弁護士3人。被告側は誰も出廷しなかった。ちなみに第一回期日においては、答弁書を提出するだけで出廷しないのは珍しくない。
裁判長は、原告側が提出した映像証拠の再調整と文字起こしなどを求め、同社及び製品を貶めたとする37の証拠に対して、原口議員側が「mRNAワクチン全体のことを言ったまで」「731部隊の主体は原告のことではない」などと釈明していることを指摘した。
原告弁護団が「既に警告してから何カ月も経過している。被告が全体的に反論すべきでは」と、おそらく本人出廷や尋問のニュアンス含みで求めたが、裁判長は「反論ははっきりしている。前後関係で原告を指したと評価されるのか、一般人がどう解釈するかという話の対立になってくる」などとした。
「レプリコンについて原口議員が言ったと明確に分かるような主張を補充」するなどして再調整した証拠を原告が4月18日までに提出し、次回期日となる。
同25日に設定された次回は、弁論準備手続きでWeb期日となり公開はされない。
▽昨年配信の記事(参考)
黒猫の雑感。双方の思惑は
これまでの反ワクチン勢の裁判は、原告か被告かに限らず、ほとんどの場合で支持者が「あつまれ反ワクの森」的に大集結して地裁前で演説などが行われてきた。
しかし、今回は国内随一の反ワク議員の裁判にもかかわらず、傍聴席にそれらしきアレな人員が来ていなかった。
実は原口議員が大集合を望んでいなかったようだ。日程は会員制の動画内でちょろっと明かしただけだったそうで、直前までそれが流出しなかった。
反ワクさんたちは期日を知らず、騒ごうにも騒げなかったのだ。
大々的に呼び掛ければ、傍聴席に反ワクさんがすまし顔で並ぶ「反ワクひな祭り」的な一大イベントにできたはずなのに、原口議員はそうしなかった。
訴訟に向けての記者会見では、同席させていた反ワクチン・インフルエンサーらの過激発言をいちいち訂正する場面もあったらしい。
ついにマジで訴えられて、なおも自分の支持者がMeiji Seikaファルマを名指しして侮蔑するような姿勢を崩さないので、それらが「参戦」して余計ややこしくなるのを避けたい気持ちは分かる。
反ワク勢はネット上では「巨大な敵に立ち向かう頼もしい仲間(光の戦士とかなんとか)」だが、裁判所に大挙して来られ「煽動した」となれば印象が悪い。
しかしバッサリ切り捨てるわけにもいかず、うまいこと「妨害に負けないように一緒に頑張りましょう」とかなんとかSNSなどでは応援をお願いし…。
そのあたりの立ち回りは、海千山千の政治家なのでお手の物かもしれない。