あの反ワクチン・陰謀論集団が復活!?神真都Qの3周年記念デモ行進
久々の神真都Qデモ
おかえりなさい「光の戦士たち」よ!
反ワクチン・陰謀論集団「神真都(やまと)Q」が17日、新宿でデモ行進を開催した。
「創立3周年記念・全国結集デモ」と銘打たれ、中高年を中心におよそ100人の精鋭(残党)が日本中から集まったようだ。
まずは簡単に神真都Qをおさらいしよう。
2021年秋頃、元俳優の倉岡宏行(岡崎礼)が岡本一兵衛を名乗ってYouTubeで米国発Qアノン系の陰謀論を薄めたような妄想を垂れ流したことなどにより、中高年や老人たちが「目覚めて」できた集団だ。
(▽有志による神真都@ウィキも参考に)
22年1月の第1回デモ行進(渋谷)に約1500人を集め、3月には「神真都Q会」として法人化。
この頃はまだ新型コロナワクチン接種に反対する集団が今ほど乱立しておらず、それまで主導権を握っていた「ニコミ会(日本と子どもの未来を考える会)」「国民主権党」などを尻目に、神真都Qは全国に支部ができるほど勢力を拡大した。
あの参政党も結成したてでワクチン反対を大々的に叫んでいなかったし、「日本列島100万人プロジェクト」や、現在の主流となっている「国民連合・国民運動」などもなかった。(これらには神真都Qを抜けた人が多く含まれているとみられる)
神真都Qはデモ参加のハードルが低かったことも手伝ってか、ほんの一時期ではあるが国内の反ワクチン活動をリードし、街頭で叫ぶ程度に留まらず大規模行動をとるスタイルを確立。その後の反ワク勢の活動の土台となったと言っても過言ではない。
まじで余計なことしやがって…。
岡本や村井大介ら幹部は最初からマネタイズ目当てだった見方もあるが、参加メンバーの多くは頭が、あの、その、えっと、とても純粋な心を持っていて頭の中に夢とか色々を詰め込める余地があったために、本気でワクチン接種を悪だと信じてしまった。
SNS上やLINEチャット内でクソ陰謀論を共有しまくるなどして過激化は続き、ついにワクチン接種会場への襲撃を起こしたのが22年4月頃。
これによりメンバーやリーダーらが次々に逮捕され(村井は生活保護費不正受給容疑)、当然ながら勢いは完全にしぼんだ。
しかし、そうして岡本らが抜けた後も崩壊まではせず、つい最近までも都内などで残党による定期的な活動はあり、デモ行進も10人ほどの規模で続いていた。
そう考えると、今回の3周年の節目で一気に約100人が集ったプチ復活には感慨深いものが……ない。
まだこんなにいるのかよお前ら。
直前まで非公表だった
実は今回、日程だけは決まっていたものの、開催直前まで場所と時間が非公表となっていた。
当初の予定では渋谷開催とされていたが、確定ではなさそうだった。保安上の理由などで参加者も事前登録制で限定されていたようだ。
繁華街でデモ行進するのに情報非公表とはどういうことなのか…。ずっと追い続けてきたウォッチャーたちの身にもなってほしい。
とりあえず時間と場所が分かれば行ってやってもいいが、私は午後に大学時代の友人と会ってから仕事に向かうという予定もあった。
こんな変なデモの観察なんかを優先した日には今後の人生がさすがに心配になってくる。
一応、頼れるウォッチャー仲間たちに「何時にどこであるか分かります?」と尋ねてはみたが、私の数百倍は神真都Qに詳しい各位も、前日なのに予測しかできずにいるという、かなりレアな状況。
ちょっとだけホッとする。これで、分からなかったから行かなかったと言い訳ができる。(一番詳しく書くくせになんでやる気ないんだよ)
しかし当日朝になってXで告知が流れたようで、場所は新宿東口で12時30分集合だと明らかになる。私の午後の予定にも間に合いそうな時間だ。
情報を素早くキャッチした同志たちが「情報出ましたよ!黒猫さん!やりましたね!来ますよね!?」みたいな感じですぐに連絡してくれた。早朝にもかかわらず数名からDMが来ていた。
あー…ありがとうね…そっか…。じゃあ…まあ行ってやるか…まあ…うん……。
さあ行進開始だ
集合場所の新宿東口。色とりどりの旗がすぐに目に付いた。
すでに90人以上は集まって隊列を組んでいる。法被を着たり、変なカツラを被ったりしているメンバーが目立ち、サングラス率も高い。
(新宿駅東口に集まった神真都Q)
「目覚めよ日本人」の旗に、通りすがりのカップルが「なにあれ宗教…?」と怖がっていた。
のぼりの「子どもを守ろう」みたいな標語を指さし「どう見ても子どもさらう側じゃねw」とゲラゲラ笑う若者のグループがとても尊い。
そんな雑音に心を乱されるぐらいならこんな変な集団には…失敬、正義の活動はしていない参加者たち。いつもの出発前と同様に真剣そのもので、やや硬い面持ちだ。
沿道の民衆が「いったい何の団体で何が始まるのか」とおそるおそる眺めている。そんな独特の緊張感の中、10人ほどのウォッチャー勢や配信者がワクワクしながら見守っている。
実にいいコントラストだ。
(新宿駅をバックに配置につくデモ隊)
さあ開始時間。
警察車両の先導スタートと同時に、ズン・ズン・ズン・ズンと重低音のビートが響いてくる。
これに乗ってヒップホップ調のシュプレヒコール。「みんな・そろそろ・氣づこうYO!」「子どもに・ワクチン・打たせるNA!」「過去最大の・薬害DA!」「テレビや・新聞・信じるNA!」「国民の敵だ財務省・おかしいZO!おかしいZO!」などがマイクから放たれた。
誰も「おかしいのはお前らだろ」とシンプルなツッコミはせずに、とめどなく「氣づこうYO!氣づこうYO!」「HEY・YO!HEY・YO!」の連呼が参加者から起こる。
午後の新宿が、光の戦士たちのコール&レスポンスに侵されていった。
ああ、これだ…これだよ。
繰り返すこのクソポリリズム。あの衝動はまるで恋だね。翌朝まで耳奥にこびり付きそうなアホなリリックからしか得られない栄養がある。
…すまん嘘だ。そんなものはない。
大音量に酔いながら駆け足でデモ隊を追いかけ、一心不乱にシャッターをきりつつ、若いウォッチャー勢に「やっぱりこうでなくちゃな」などとテンション高めに話しかける自分に気付いた。もとい、氣づいた。
今朝まではあんなにやる気がなかったのに。やはり陰謀論デモ観察には何らかの合法的な覚醒の力がある。(いや、まじで気をつけろよ俺)
(いろんなアレな主張も)
デモ隊は出発してすぐの大ガード下をくぐり、小田急新宿の方面へ。
ヒップホップだけでなく沿道でドン引きする歩行者に向かって、「このとんでもないワクチン薬害の状況を知らないのは日本人だけだあ!」との怒鳴り声や「みんな目覚めてー!」「氣づきましょうー!」「マスク意味ないよーとってー!」などと悲鳴にも似た訴えが続いた。
そんな中、なんと「Vtuber 宝鐘マリン」の宣伝カーがデモ隊とすれ違った。
「キュートは正義・美少女無罪」と「Qとは正義・中高年有罪(執行猶予つき)」。奇跡の出会いに感謝である。
ジャンルも人気も天と地ほど違えどもYouTubeで熱狂的になるという共通点がそうさせたのか、この後も進行方向を変えたマリン宣伝トラックとデモ隊はしばしランデブー走行することに。
初のソロライブを告知したい宣伝カーを完全に妨害してしまう反ワク・陰謀論集団。まるで北斗七星に寄り添う死兆星だ。
こんな煌めく瞬間(?)の目撃こそが、トンデモウォッチの醍醐味である。
(マリンは無罪)
(以下はサポートメンバー限定。新宿ならではの一枚など写真たっぷりでお送りします)