「自民党解体!」「不正選挙を許すな!」陰謀論デモはブレない(後編)

賛同者は少ないけど要注意ですね
黒猫ドラネコ 2026.02.28
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▽前編はこちらから

デモ活動は市民の意思表示であり、権力に対抗して誰でも起こすことができ、主張を社会にアピールするためにも必要なことだ。ただし、妄想や陰謀論が大爆発して行動に出るのは違う。

というわけで「NHK解体デモ」とほぼ同じメンツは、衆院選後も活発だった。彼らが向かったのは自民党本部前。「移民政策反対」「自民党解体」「不正選挙を許すな」と叫ぶデモを立て続けに敢行したのだった。

道行くおじ様たちも「左翼(のデモ)かと思ったら違うみたいだね」と言いながら困惑していた。なにせ日の丸を振りながら、右に傾いた自民を罵っているのだ。わけが分からんはずである。これについての解説は後半部分にて。

「高市も自民党もオワコン」

かくして2月11日、永田町の一角でコールが上がった。ピーク時で40人といったところだろうか。「モスク建設反対」などでも見るいつメンが「移民政策反対」としてデモを開催。しかし、その主張のほとんどは「不正選挙を許すな!」だった。

SNSで噴き上がったチームみらいの得票数への疑念をそのまま、なぜか自民党本部に向かって叫んでいた。

「チームみらいなんて怪しい。この選挙は国民総奴隷のための茶番だと思います」

(自民党前の歩道に集まった人達)

(自民党前の歩道に集まった人達)

祝日ではあるが衆院選直後なので建物内に人はいたはずだ。しかし自民党本部前は警備が厳しく、いつも通りに道を挟んで100メートル近く離れた場所からのデモになる。声が届くことはまずない。

が、そんなことは彼らにとって問題ではないようだ。

「高市も自民党もオワコンだ!自民党、お前らは劇団なんだよ!(?)」

「そうだ!お前らは劇団の役者なんだ!」

「当選は李平蔵(彼らが思う日本の黒幕、竹中平蔵氏の意)のおかげなんだろ!」

お、おう・・・。何を言っているのかは分からんが、選挙で歴史的大勝を遂げた直後の相手に向かってこんなふうに叫べるのは、この人達の特権のようにすら思えてくる。何やら「深田萌絵さんの動画で見た」みたいな話で、自民党の議員は国会で台本を読む劇団員なのだと言っているようだ。

国旗や旭日旗などに混じって「豚の旗」も振られていた。彼らは移民反対の文脈での「反イスラム」なので、イスラム教が豚肉をタブーとすることから、「あいつらが嫌がる動物を掲げてやれ」との短絡的思考でこういうものを作ってしまうのだろう。(ただ可愛いからとかの理由だったらごめんな)

(現場で掲げられた豚の旗など)

(現場で掲げられた豚の旗など)

このほかにも、「開票率ゼロでの当確に納得できない」とのいつもの意見や、「疲弊した私達に移民をぶつけてトドメを刺そうとしているんだ」みたいなことが叫ばれていた。

「うんうん。平常運転だね」と笑顔で頷くしかない。

この手の陰謀論集団にしては珍しく参政党支持らしき人もいた(ガチ勢は参政党のことが嫌いなのだ)。SNS上でデジタル大臣の「消し込み」による選挙妨害があったとドヤ顔で主張し、「神谷さんがアクションを起こしたら首の皮を洗っときな」との決め台詞が放たれた。

穏当な表現ではないが「首を洗って待っときな」なら、言いたいことは分かる。しかし「首の皮を洗っときな」では、ただのスキンケアの助言ではないか。

普段のデモよりも警備の警察らがピリピリしていたのは、建国記念日ということもあって、右翼の街宣車が永田町を旋回しまくっていたからだろう。「高市政権はおごることなく日本國の根幹である皇室の安定を・・・」みたいな爆音でのスピーチを流しつつ、自民党前のデモ勢の前を何台も横切っていた。

「こちらも負けてられませんよー!もっと声出しましょう!」とか大はしゃぎするデモ隊に向かって、街宣車のスピーカーからもエールが飛ぶ。

「ほらね、市民の皆さんも移民反対と言ってますよ。自民党はしっかり移民を反対しろってんですよ、ねえ」

ガチ右翼は基本的にこの手の変なデモの人達は好きではないはずだが、今回は頼もしい味方だった。以後、街宣車が通るたびに、仲間意識なのか笑顔になる参加者たちが可愛かった。

(現場を彩った右翼の皆さん)

(現場を彩った右翼の皆さん)

奇跡の大バズり

さて、そんな11日のデモは「ラスト」だったそうだ。主催者の女性が引退を表明したのである。

さすがのウォッチャー勢一同も「今までたくさんのデモ開催、お疲れ様でした」の気持ちを持つことは一切ない。そもそもそいつが引退しようが、他の誰かが主催するだけの話である。職業でもなんでもないのだから好きにしたらいい。ウォッチャー勢も「そういえばアイツ引退だった。見に行くの忘れてたわ。草」「勝手に始めて勝手に終わってて草」と思う程度だった。

案の定、その女性は数日後「やっぱりまだやる」などとぬかし、翌週のデモ主催を予告。「またすぐに始めたの草」である。

しかし、そんなことを言っているうちに大変なことが起きた。

一部のアレな人達のせいで「不正選挙」がトレンドに上がり続けたこともあってか、引退宣言撤回の女性主催者が投稿した「不正選は許さない、選挙やり直しデモ(原文ママ)」の告知が、X上で奇跡的な大バズりを見せたのだ。

主催者アカウントの投稿ではなかったが、開催日時点で4000以上もリポストされていた。えらいこっちゃ。主催者周辺のアカウントはそれぞれ数百ずつくらいしかフォロワーがいないのに、かつてないほどの大反響である。

(大バズりを見せた投稿のスクショ)

(大バズりを見せた投稿のスクショ)

これはもう、右も左も入り交じって自民党本部前を埋め尽くす規模になるのではないか。

「大変なことになった・・・。どんな属性のデモなのかを何も知らない人達がたくさん来てしまう・・・」と、われわれ取材班は息をのんだ。

迎えた運命の23日。天皇誕生日の祝日に、祝賀ムードなんざ吹き飛ばさんばかりの怒りを帯びた人々はデモに参じることとなった。

11日と同じ、約束の地・自民党本部前の歩道だ。満を持してリベンジ的に決行されたこのデモには、なななんと、道沿いにびっしりと数えきれるほどの38人の大集団が参加である。

うーむ、どういうことなんやこれは・・・リポストした4000人は一体どこに・・・。

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