石破会見にどよめき「神谷総理だ」参政党、アメリカ保守系活動家をゲストに高額講演会(前編)
参政党の大規模集会は9月7日午後、永田町の砂防会館別館で開催された。
アメリカから来日したチャーリー・カーク氏の講演会である。
トランプ大統領の再選に貢献したことで知られているらしいカーク氏は31歳。「ターニング・ポイントUSA」なる保守系団体を立ち上げ、全米の学生や若者を中心に支持を集めているとのこと。参院選で躍進を見せた参政党は、彼にシンパシーを感じているようだった。
大好きだもんねこういう人。

(講演会サイトより)
会場は満席
カウンターデモを気にしたのか会場前には警察が多数。党側もカラーコーンなどでしっかりバリケードを作っていた。が、しかし開場直後に抗議者は一人も来ていなかった。拍子抜けだ。
逆に、参政党Tシャツのじい様が「女系天皇は認めない」とかの主張強めの旗を立てて参加者に団結を促してわめいていたのだが、スタッフから畳むように注意されていた。
後に会場内のアナウンスでも「チラシを受け取った方もいると思いますが党の見解ではありません」などと言われる始末。
私はこういうのが見たくて今日も参加するのだ。

(抗議者は来ていなかった会場前)

(しぶしぶ旗を畳むご老人)
やはり荷物検査やチケット確認などが以前より厳重になっている。
ただ、ボランティアスタッフが増員されていることもあってか、過去イベントより格段に入場がスムーズになっていた。
ホール入口付近の狭い場所に物販、寄付ブース。比較的新しいグッズ「参政党ひんやりタオル」などが飛ぶように売れていた。
ライトの当たり具合など、ちょっと高級感が漂うシェーンバッハ・サボーの大会議室へ。
これから5時間近くをおよそ1000席以上ぎゅうぎゅう詰めのスタッキングチェアで過ごす。どこに座ってもそんなに変わらないが、迷っているうちに席がどんどん埋まった。
席数から考えて、2階席(150ほど)を含めて全部で1200人以上の計算だが、1時間前の開場でもすぐ満席になった。
相変わらず講演中の撮影は禁止。なのでスピーカーの真下の聴きやすい席を確保したはいいが、うしろの席で仲良しらしい60代ぐらいのおじさん二人が「教育勅語」についてデカい声で話し込んでいた。
ああ、ハズレの席だ(当たりあるんか…?)
男女比はほぼ半々。おそらく50~60代の女性が多かった。
興味深いのは、若くなっていたはずの年齢層が完全に参院選前に戻っていたこと。中高年、高齢者が中心。これぞ私が見てきた本来の支持者といった感じだ。一般席1万2000円(2階席1万円)では無理もないか。
ステージに近い3万円の特別席(50席ほど?)はイスの種類も変わらず赤いテープで区切られていただけだったが、神谷宗幣代表らのサイン色紙がもらえるようだ。
会場のあちこちで、むき出しの色紙を持って誇らしげに闊歩する人がいた。

(すぐ満員になった会場内)
石破首相臨時会見にざわつく
司会は後藤せいあん青森県議。元アナウンサーで、党イベントでは重宝されている女性だ。
彼女は開始時間まで壇上から「通販番組みたいになってますけど…」と照れ笑いしつつ「参政党のサンシェード(車用の日よけ)」などを宣伝させられていた。
議員人生について考えさせられる一幕である。
開始時間になり、スクリーンに映像が流れた。
回る歯車のアニメーションをバックに「全てはひらめきから始まる…」との英語(日本語字幕あり)のPVがスタート。アメリカで保守派が急増するきっかけになったカーク氏の草の根活動の軌跡だった。
映像が終わると、司会に紹介されて神谷代表が登壇。
開会あいさつとして、カーク氏の「ターニング・ポイントUSA」を引き合いに出して話し始めた。
「みなさん、今日は本当に日本の『ターニングポイント』になるかもしれません。このあと石破さんが臨時記者会見をするそうです」
会場は「えええー!?」「うおおおー!」とも聞こえるどよめきに包まれた。しばらく興奮が収まらない客席から、
「解散(衆院選)してくれるのかな…」(?)
「いよいよ政権交代か…」(??)
「神谷総理だ…」(???)
そんな呟きが聞こえてくる。誰か私の耳を削り落としてくれ。
神谷次期首相(党員の中では)は、「(石破首相の)発言内容によっては明日からの予定が全てキャンセルになる」として、衆院解散となれば投開票日が自身の誕生日と重なる可能性があるということをヘラヘラしながら語った。
「私の演説は決まりましたよね。何をお願いするか決まりましたよね!ね!?」
弾けるような笑顔で客席に振ったが、ちょっと意味が分からない。なんだろう。プレゼントに票とか議席をくれって言うのか? それってそんなに面白いか…??
声を上げて笑う党員たちには通じたのだろうか。いつも以上に疎外感を覚える。とてもさみしい。ごめん嘘。
内閣の首長たる国務大臣となる予定の神谷氏(党員の中では)は、カーク氏とトランプ大統領を持ち上げながら「参政党の国民運動にも通じる部分があると思う。世界中で反クローバリズムの流れがきている。私もヒントをいただき、次の選挙、国民運動に向けて決めていきたい」と述べた。
この国の宰相を務める見込み(党員の中では)の神谷氏は、「私は良いものをすぐにパクる癖がある。でもそれでいいんですよ。今、参政党のSNS発信を国民民主党がどんどんパクってますがそれで結構。カークさんからいいお話が聞けたら、私もそれを元に活動方針を作ろうと思います」として、「いいものはどんどん取り入れる。『TPP(環太平洋パートナーシップ協定)』でいいんです。参政党の『TPP』は自由貿易ではありません。徹底的にパクるですからね!」と会場を笑わせた。
「神谷さんったらお茶目なんだから~」みたいな甘やかしの笑いが起きる中で、おそらく私一人だけが「徹底的にパクる(TETTEITEKINIPAKURU)ならPが一つしかないから『TTP』だろ」と冷めたツッコミを入れておいた。
ちょっぴり楽しかったのは、「戦略がバレてしまうから今日の内容は口外しないで欲しいけど、こういうイベントをやるとアンチがお金を払って入っていて有料ブログを書いてしまうんです。そういうことも前提で話しています」と語ったこと。
うふふふ。良い前提だねえ。神谷サンはいったい誰を意識しているのかな?
さあ、今回の集会が高額すぎて参加できなかった党員の皆さんよ!党の動画アーカイブ購入は1万円だけど、黒猫ドラネコのニュースレターのサポートメンバーになって臨場感を味わいながら読むのは月額680円からだよ!
ためしに登録してみてはいかがでしょうか!できれば党員9万人全員で!
カウンターデモを嘲笑
ゲストのカーク氏はまだ出て来ない。もったいぶって後半からの登場なのだ。
代表挨拶に続いて、参議院議員になってしまった山中泉氏と、国際情勢アナリストの及川幸久氏による対談が始まった。
トランプ陣営と近いのが自慢で当イベント開催も主導したのであろう67歳の新人議員と、元・幸福の科学幹部のおじさんによる「カーク氏とは」「グローバリズムとは」のビッグ対談だ。

(イベントのスケジュールより)
二人は80年代後半からニューヨークでそれぞれ別の大手証券会社に勤めていたそうだ。
当時の苦労話や日本経済の話などを楽しそうに始め、トランプ大統領とカーク氏のことや、アメリカの保守運動などを語り続けた。
しかし、ここで会場の雰囲気に変化が。
客席の半数近くがウトウトしている。見渡すと、8人横並びのうち4人は目を閉じていた。必ずこうなる。今までのトンデモ集会もほぼ同じ光景だった。
お前らは高い金払って聴きにきたんちゃうんか、と言いたくもなるが、そこは高齢者ばかりだから無理もない。
きっとチケット購入時が最もテンションが高いのだろう。いざ来てみると、講演の内容はやたら冗長で面白いものではない。お笑いライブや観劇ではないのでこればっかりは仕方ない。
かくいう私も、あまりに退屈だったのでメモの手を止めてしまっていた。「パ・リーグTV」でも見ようとスマホをいじったが、人が密集し過ぎているせいか電波が全くない。ちくしょうめ。
壇上のおじさん二人がニコニコしながら語り、スヤァ…になっていく会場。
だが、それが一瞬で「おっ」となった。
及川氏が用意した映像がスクリーンで流された時だ。そこに映ったのは「差別をやめろ!」と叫ぶ外国人の女性たち。