「移民反対デモ」ブーム。都庁前、総理官邸前で叫んだ人達の主張とは
「移民反対」活動が一部のネット上で盛り上がりを見せている。
まずは10月17日、都庁前での「エジプト移民反対デモ」から取り上げよう。
 
                (都庁前で抗議する人達)
金曜日の夜であったがピーク時およそ60人。9月の絶頂期には河合ゆうすけ戸田市議らヘイトスピーカーが煽動し、大げさに言って1000人以上が集まったともされたが、今となってはこの程度である。数の盛りようもない。
このデモは、都が8月にエジプトの経済団体と結んだ合意により「移民が入って来る」と不満を持つ人達が集まってきたもの。
これまでに数回開催されているそうだ。
都庁に向かって叫ぶ人達
まず、いつもの日本第一党がいた。言うまでもなくヘイトスピーチを繰り返してきた集団で、この手のデモの参加者に日の丸の小旗を配るのは大体この人達である。
党首の桜井誠氏は病気のため活動休止中のようだが、JICA解体デモにも参加していた着物の男性が今は活動の中心のよう。この日も威勢よく叫んでいた。
 
                (都庁前デモで日本第一党を掲げる人)
財務省解体デモなどにも参加していた元豊島区議の活動家くつざわ亮治氏(日本改革党)の姿もあった。
「小池都知事はエジプトからお金でももらっているんでしょうか」「我々はもう外国人はいらないんです。(土葬の)墓地に豚骨スープを撒きたいぐらいですよ」などとスピーチしていた。
幼稚すぎんか?
 
                (スピーチするくつざわ氏)
この他にも、集団は「アフリカからの移民はレイプを何とも思っていない」みたいなことを叫び続ける。かなりストレートかつ雑な外国人差別だ。
たしかにエジプトはアフリカ大陸だが、「アフリカ移民」とするにはちょっとイメージが違う気がするのは私だけだろうか。
あとは「みんな暇人だと思わないでくださいよ!ちゃんと働いて税金を納めていますよ!」とか言っていたのが面白かった。
いちいち言わんでもええがな。
思わぬ援軍も現れた。
通行人らしき赤い服のおじいさんが「俺も言いたいことが山ほどあるんだ」とばかりに急きょ参戦。都庁に向かって何やら不規則に不適切なことを叫びまくったためか、やんわりとデモの一団から遠ざけられることになった。
しかし、戻ってきて再び暴言のようなことを吐き散らしたのか、今度はやや強めに排除されることに。ブチギレた赤ジジはデモ集団に向かって「お前ら!明日、全員殺すからな!」と吐き捨てた。
なぜ今日この後ではなく明日なのか。さっぱり分からないが、ウォッチャー的にはかなり熱い展開である。
 
                (デモから排除されて怒る赤ジジ)
プロジェクションマッピングをやっていることもあってか、都庁前の通行人は外国人観光客ばかりだった。
「外国人が日本で好き放題やってるのに」みたいな演説中、パリピな観光客用のマリオカート(正直あぶねえよなアレ)が何台も後ろを通るが、デモ隊は全く気付かない。
うしろうしろー!
こういう光景がすごくいいんだよなあ…。
 
                (マリオカートに気付かないデモ隊。手前も外国人のご家族)
ウォッチャーJ氏と話していると、観光客らしき方々が何度か英語で「あの集団は何?」と尋ねてきたので「移民反対のデモです」「外国人が嫌いな奴らだから気を付けて」と教えてあげた。
「怖い」とジェスチャーをしながらおどけた白人のおじさんが、「今はアメリカもこうなんだ」みたいなことを呆れながら話してくれて、頷き合った。
デモ隊から「首を洗って待っとけ小池ー!」の声が響き、およそ1時間半の集会は「小池!やめろ!小池!やめろ!」の大合唱で終わった。
さて、このような「エジプト移民を入れるな」デモであったが、都ではエジプト側との合意について以下のように説明している。
「これまでも北米・欧州・アジアなどの様々な都市や国と合意書等を締結しています」
「エジプト側が、エジプトの労働者に対して日本での雇用に必要なスキル・基準の研修を現地で実施するにあたり、都が助言などを行うものです。エジプトの労働者を都へ積極的に誘導するものではなく、移民の受け入れを促進するものでもありません」
「今回の合意により特別な査証(ビザ)が発給されることもありません」
▽参考
しっかり説明して誤情報を打ち消そうとしている。
ただ、デモ参加者を眺めると、神真都Qデモの時代から私もよく見てきたメンツばかり。この秋に起きたJICA解体デモでもそうであったように、たぶん説明なんて聞いていないし、何を聞いても分からない、そして何より公的なものを信じない人達である。
ここで大きな問題は、都議会でもエジプト合意についての疑義は出ているということだ。
追及するのは議員さんの仕事なので仕方ない。しかしこのデモが、都議会野党によって「排外主義ではない」「都民の不満の声も」とされてしまいそうで非常に心配になってくる。
見ていると、普通に排外主義の陰謀論デモだ。このままでは、いつも財務省前とか反ワクチンデモとかで叫んでいる陰謀論者な方々にお墨付きを与えてしまうことになりかねない。
もちろんデモをやるのは都民の権利なのだが、彼らがどういう属性で何を言っているかは見極めてもらいたい。
そして議員の方々には、都政の不備を追及するのにデマや差別は邪魔だとぜひ表明していただきたいものだ。
 
                (小池やめろコールをする集団)
総理官邸前の絶望
このような一連のデモは、反ワクチンや反感染対策から沸き上がった日本列島100万人プロジェクトなどに端を発し、霞が関~永田町周辺を標的として陰謀論的な団体が先導していることが多かったが、今ではデモをやってみたい個人やユーチューバーなどが簡単に主催者になっている。
そのため、私が今まで見て来た勢力の顔ぶれに、デモの規模が大きくなればなるほど、見た事のない若い人も目立つようになってきた。
(ちなみに参政党はこういうデモにはあまり来ない)
動画配信者らが再生数稼ぎに訪れ、それにより、とにかく感情的なものが「この演説が凄い!」みたいにされる。
ファクト無視のバカが叫び、バカが称えがちなバカな切り抜きやショート動画がバカみたいに量産されることで、一定の盛り上がりが作られている。
ここにビジネス的に参入しようとする者がいるようだが、それは最後に記すことにしよう。
そうした動きで10月26日(日)、全国各地で「移民反対デモ」が開催された。
都内では新宿に始まり、最後は夕方から総理官邸前におよそ400人が集結。やはり若い人も目立つ。
そして都庁前の集団が可愛く思えるほど、絶望的な民度の低さがあった。
 
                (総理官邸前でおこなわれたデモ)
官邸前だけあって「高市総理!出てきて国民に向き合ってー!」(この手の人達は高市さんは好きなのでちょっと言い方が優しい)の声も飛んだが、総理は就任後初の外遊の真っ最中でASEAN首脳会議のためマレーシアにいる。
そんなことも分かっていないのだ。それどころか「石破やめろー!」との声もあった。もうだめだ。
 
         
         
         
         
         
         
         
        