銀座三越を「襲撃」。反ワクチン・ノーマスク集団の酷すぎる主張

本当にいい加減にした方がいいですよ塚口さん
黒猫ドラネコ 2022.12.06
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どうも黒猫ドラネコです。

スキーをしたことが人生で一度もありません。

今回のレター記事では予定を変更して、反ワクチン・ノーマスク集団による銀座三越の「襲撃」のもようをお届けしていきます。

そのトンデモな主張と、歩行者の反応、三越側がどのような対応をしていたのかなどを詳報します。

これまで通り、大勢の人に読んでもらいたい事実ベースの部分を無料でお届けし、有料購読者限定部分では私の所感を綴ります。

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それではどうぞ。

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銀座に邪魔な反ワク集団

クリスマス年末商戦が始まり、賑やかになった銀座の中心部。

歩行者天国もあった土曜日、観光客やカップルや家族連れでごったがえす15時過ぎ。

「えー、大きな声で失礼いたします。私達はいわゆる『コロナ騒動』のおかしさについて、2020年の最初から一貫して訴えておりました」

全く空気を読まない大音量がスピーカーからこだました。

「マスク着用のルールはワクチン接種のルールに繋がっていきます。ワクチン接種では数多くの被害者、犠牲者が生み出されています」

「あらゆる施設がお願いの張り紙を貼っているだけでトラブルに巻き込まれます。大企業、大店舗におけるマスク着用をお願いすることの責任は重大。撤廃しなければ、いつまでも経済は元には戻りません」

一定のトーンの語り口の主は塚口洋祐。

元野球指導者で、あのダルビッシュ選手に上からアドバイスをかますなどした、一部の野球ファンには有名な人物である。

今回その声を向ける先は日本有数の老舗百貨店、三越だ。

店舗出入口から見て真正面、銀座四丁目の一角に、塚口率いるノーマスクの10人ほどが陣取っていた。

彼らは「反コロナ共闘委員会」と名乗る集団。反ワクチンを掲げる政治団体「国民主権党」などにも近しいようだ。

<i>(三越を背に演説する塚口洋祐=中央)</i>

(三越を背に演説する塚口洋祐=中央)


歩道に2基のスピーカーと、「コロナは茶番」などと書かれた旗がいくつか。

「ワクチン死」のように物騒な文字や、反ワクチン的なYouTubeのスクショなどが載った看板をたくさん並べている。

多くの歩行者は、彼らから一定の距離を保つ。それにより交差点の一角で歩道も広くないために、完全に通行の邪魔になっている。

すぐ右側には時計台で有名な和光。絶好の景観も台無しだ。

塚口以外のメンバーそれぞれの名前は知らないし知りたくもないが、以前から見たような顔もチラホラ。中年男性が3、4人、女性は6、7人ほどだろうか。途中で帰った者もいて正確な数は把握しきれなかった。

彼らはここに居られることが当然の権利であるかのように、談笑しながら、何やらチラシなどを配り始めた。

そんな中で、まずは塚口の演説が10分ほど続く。

内容は相変わらず、陰謀論まじりの「マスク、ワクチン反対。コロナは茶番」というもの。

演説の終盤には「マスクで顔を隠した大人が住宅街を歩き回っている状態では、子どもが犠牲になるおかしな事件が増えます。犯人もマスクで顔を隠しているから捕まらないんです」などと述べ、一気に私のツボを突きにきた。

「これがマスク社会の地獄のような負のスパイラルです」とのこと。

なんでそんなことが真顔で言えるんだろう。笑ってはいけない反ワク珍演説 in 銀座三越前。地獄のような負荷がいま私の腹筋にかかっている。

塚口に続き、常連らしき女性がマイクを握る。(よし、なんとか耐えた)

静かに語り始めた。

「私達は…皆さまと同じ一般人ですが、いま日本で何が起きているのか、分かっている者達です…」

待て待て待て。腹を撃ちに来るペースが早い。この演説には多くの歩行者が思わず「どういうことだ?」と立ち止る、ようなことは全くない。

もう見事なまでのスルー。もしゴール前だったらそこに走り込んだ堂安が左足を振り抜いてネットを揺らしている。

いや、しかし100パーセントが無反応なわけではなかった。

通りがかった若い男性数人から、「うわ、何あいつら気持ち悪っ」という声が聴こえてきた。私もそのように素直であり続けたいと思いながら今この記事を書いている。

どうやらメインテーマはワクチンらしい。女性はそのまま「コロナは政治…。ワクチンは…ビジネスです…」など、この界隈お決まりのフレーズを繰り返す。

「支配構造があることをぜひワクチン接種から学んでもらいたいんです。マスクをさせておけば演出ができます。本当にあるかどうかも分からないウイルスに対して、みんながマスクをつけていれば、ワクチンを打たせやすい社会を作ることが、できるからです」

あーそうなの、へー。どうでもいいけど断言は止めた方がいいナ。

ワクチン接種後の死者数を持ち出し、最後の方は涙声のようになっていた。

「テレビではこういうことは言わないんです。なぜならテレビは…スポンサーもついているから…真実を…言えないんですよ…。コロナは政治的意図をもっておこなわれている…ということを見抜いてください…」

切なそうな声。すると、なんと今までは無視していた歩行者も、これには思わず立ち止って、みたいなのが本当に一切ない。こんなに感情的なのに、歩行者はびっくりするぐらいのスルー。ゴール前だったら今度は南野が(略)

あとの話はまあ「治験が終わっていない」「動物実験すらまともにおこなわれていない」というデマのオンパレードなので割愛。「打って死んだ方がマシかもしれません。いま不謹慎なことを言いましたが、それだけ体に有害なものだと気付いてください」みたいに言ったのも、メモ起こしが面倒なのでもういいや。

「何あれ」とヒソヒソ声の若い女性グループが通る。そのうちの一人が慌てて「やばい、一緒にされたくない」と顎マスクを上げる。手を叩いて小さな笑いが起こる。

な、なんて酷い仕打ち。気持ちは分かるが私もそこまではしない。もっとノーマスク反ワクチンさんの活動を敬え。いや、やっぱいいや。

とりあえず、マスクをつけ直したり、していない女性がさっと手で口を塞いで「私はこいつらと違いますよ」と意思表示したりする。この街宣が逆効果であることを確認できるようなシーンは何度も見ることができた。

これだけで見に来た満足感はある。

ノーマスク炎上客の娘が演説

さて、演説する集団の中に新参らしき女性が2人いた。

いずれも幼い子どもを連れている。その中の一人が、今回のデモ活動の発端となった、「三越ノーマスク客」の娘、Sである。

小学校1年生の子どもを連れてきたそうだ。勘弁してやってくれねえかな…。

塚口らに続いて、満を持してマイクを握ったSの主張は、こうだ。

「マスク社会を過ごすことによってどのような悪影響がおこるかの社会実験をみんなでしているようなもの。マスク社会で悪影響になるか大切な子どもを差し出して実験していることに気付いて下さい」

「今日ここにはどう言われてもひるまない、とにかくマスクを外してもらって、素顔で歩く権利が認められていた日本を取り戻したい仲間が集まっています。実質的にこの日本というのは素顔で歩く権利がほとんどない。いくらお願いで任意であってもなかなか強いハートを持っていないとノーマスクの1パーセントになることはできません。50パーセントの比率になったらマスクは自由、嫌だったらとっていいよと議論ができる」

「意志あるノーマスク民(みん)は、この日本のマスク社会をどうにかしたい。どんな嫌がらせを受けようと白い目で見られようと今日この場に集まって来ている」

「今みんな一斉にマスクをとってしまえば、すぐにひっくり返せることなんです」

「顔の80パーセントを覆ったマスク顔の無表情で接するのは子どもにとっていいことですか?ぜひ気付いている方からマスクをとって、素顔で子どもに接してこの少子化の日本、子どもの少ない日本で大切な未来を担う子ども達に笑顔で接してあげてほしい…」

えーっと… いやいやいや、ちょっと待て。一旦落ち着け。

なんなんだその話は。そもそもあなたの母親が三越で「マスクを強要された」と騒いで炎上したことがこのデモの発端じゃなかったのか。

内容も、顔の80パーセントがマスクとか色々ツッコミどころはあったが、お前さん、まるで元々この集団の一員であるかのようなノーマスクのススメばかりじゃねえか。

母が三越の酷い対応に悔しい思いをさせられたって、その思いのタケをどうしてぶつけないのか。

蟻の一穴でもいい。目の前にそびえ立つ、いけ好かない百貨店。それに立ち向かっているせっかくの機会に、何一つも言わないのはおかしくないか。

業を煮やしたのかすぐに塚口がマイクをとり、「三越の関係者の皆さん、今の方が例のインターネットで若干炎上しました、店員の方に執拗にマスク着用をお願いされて追いかけられた方の家族の方でございます」と説明するも、グダグダ感が漂ってくる。

おい、全て言い切った顔してる場合かS!やり直せ!

いや、やっぱいいや。

<i>(演説するSさん)</i>

(演説するSさん)


この後もメンバーが代わる代わるマイクをとった。

印象に残ったのは、救急車が通るたびに演説を中断し、思わせぶりに「ああ、多いですね…」「また来た…多いですね。なぜ救急車が多いんでしょうか…」と車道を眺めて悲しそうにしていた男性。

おい、そのクソ演技、メンバーと私以外には何のことだかさっぱり分かってないぞ。

「ワクチン接種で倒れる人が増えているせいだ」って、断言しながらいつもみたいにちゃんと説明しろ。いや、やっぱいいや。

あとは、他の強引な感じの女性が(まあこのメンバーみんな強引だろうけど)「人間は動物だから、野性の本能がマスクを拒否するはずです」「デパート散策が好きだったけど、入り口のマスクお願いの看板が怖いんです」とか言っていたあたりから、あまり記憶がない。

<i>(三越のライオンさんもデモを見つめてあきれ顔)</i>

(三越のライオンさんもデモを見つめてあきれ顔)


あまりバカにしちゃいけないんだろうけど、いろんな主張があるんだなあ。

気付いたらSと子どもの姿は消えていた。帰ったのかよ。半分の時間もいなかった。

なんなんだ本当に……。

歩行者の反応は

演説だけでなく、何人かでチラシ配りをしている。

マスクをしていない歩行者が通るたび、同志とみなしたいのか微笑みかけ、手のひらサイズの「プチ感謝状」のようなものを押し付けようとしていた。

<i>(歩行者に配られていたであろうプチ感謝状。国民主権党とある)</i>

(歩行者に配られていたであろうプチ感謝状。国民主権党とある)


こ、これはさすがに怖い。

感謝状を幼い子どもに向けて差し出し、お母さんが手で払いのけるようにして断る場面も。

チラシの方は稀に受け取る者もいたのだが、外国人観光客の一団がおそらく記念にもらっていた。

「何が書いてあるのか。彼らは何をしているのか」。通訳か添乗員らしき人に尋ね、「あー…クレイジーグループ」と、身も蓋もない説明を受けていた。私も思わず吹き出してしまう。

そして、やや離れた場所からゲラゲラ笑いながらチラシとデモ集団と和光をバックに記念撮影。いやあ、こんないいシーンなかなかお目にかかれないよ。

それから「海外の人はもう誰もマスクをしていません!」みたいに演説で言ったすぐそばを思いっきりマスクの外国人が通っていた。

それだけならここは日本なのでまだ言い訳も立つが、英語で書いた看板に首をかしげていたマスク姿の白人女性二人組がクリティカルヒットを飛ばす。

<i>(英語で書かれていた看板)</i>

(英語で書かれていた看板)


白人女性二人は、近寄ってチラシを配ろうとした女性メンバーに向かい、自分達のマスクを指さして「ヨーロッパでもまだマスクしてるのよ」のように指摘していた。

言われた英語がさっぱり分からないようで「???」となって最後には「ニコリ…」と愛想笑いをするだけのノーマスクおば様。

「あれ(看板)は英語で書いているのに、話は通じないのね」みたいに言われ、肩をすくめるポーズをされて去られてしまう。

何かしっかりと批判されたことだけは理解している哀愁漂う反ワクさんの背中が、すごくよかった。こんなシーンを見るためにウォッチャーをやっている。

この集団に向けて、「応援してます!」みたいに言う本物のノーマスクの同志らしき者が、2時間の中で私が観測できただけでも4人はいた。数万分の4でも彼らにとっては光だろう。

ただ、そのうちの一人の女性は、集団に笑顔で「頑張ってね」とかなんとか元気に声を掛けて手を振った直後に、なんとさっとマスクを装着して何事もなかったかのように三越に入っていった。

「え、ええー?」となる私と、「あー…まあ…仕方ないけど…」みたいに寂しそうに見送るノーマスクの面々。

さすがに、せめて彼らの気持ちを考えて他の入り口からこっそり入るなりしてやれよ、とは思った。

これらの冷たい反応の数々で、マスクをしないから差別されているとか、みんなでよってたかって笑いものにして気の毒だとかは全く思わない。もちろんこの記事についてもそうである。

公共の場所で、勝手に妄想して暴走して周囲に迷惑をかけながら、そしてその迷惑を迷惑とも思わないまま、自らその姿をさらし続けている。

相手にされないか小馬鹿にされるかを繰り返し、彼らはいったい何を得るのだろう。それでも承認欲や歪んだ正義感は満たされるのだろうか。

三越側は毅然と対応

さて、当の三越としてはこの団体にどう対応していたのか。

アジテーションが向けられる出入口には警備員2人のほか、ベテランという感じの年配でスーツ姿の見回りの男性従業員が5人ほど。明らかにいつもの態勢とは違う雰囲気。

彼らが、時おりお客さんの対応もしながら、主にデモ活動を監視する役割なのはすぐに分かった。

そして、出入口から離れた場所にも、その方々と連携をとっている作業着のスタッフらしき男性も3、4人いた。

築地署の警官2人が一度だけデモの様子を見に来たのか、集団に接触があったが、それ以外のシーンでは、好き放題にマイクで喚く連中に対しずっと三越のスタッフ達が正面からにらみをきかせている状況であった。

<i>(点灯しても続いていたデモ)</i>

(点灯しても続いていたデモ)


すっかり日が落ち、イルミネーションも始まった17時頃。

このデモ活動のハイライトが訪れる。

塚口が何やら封筒を取り出し、電柱を台にして封筒の裏に記名でもするのか、何かを一生懸命に書いていた。事前に書いておけよ…。

封筒の中には、ネットでも公開していた『抗議文書』が入ってるようだ。

ついに、それを手にメンバーを率いて店舗の入口へと向かう。

観衆…と言っても偶然三越前で待ち合わせでもしていたであろう人々から「うわ…入るみたいだよ」「あれ捕まらないの」とかヒソヒソ声が聴こえてくる。

一般客が迷惑そうに道をあける。ずかずかと進みながらも塚口はメンバーに「皆さんはここまで。入って行ったらダメ。ここまででお願いします」とかなんとか言って一緒に行こうとするメンバーを制した。

集団で入れば事件になることは分かっているのだろう。

紳士的にやるとでも言いたげだが、しかし出入口付近が利用目的外のノーマスクの面々で塞がっているので、もはやこの時点で、土曜日夕方の書き入れ時である百貨店の業務は妨害している。入った方がまだマシだ。

入ってすぐの案内場には、まるで覚悟していたように塚口の来訪をベテラン男性従業員が待っていた。

そこでも従業員が数人でマーク。その様子を入り口付近でメンバーがスマホを構えながら固唾を飲んで見守る。

「立ち止まらないで」「中を撮らないで」と注意があるが、すぐ従う者と従わない者がいた。

塚口は身振り手振りで何かを伝えて封筒を渡そうとしたが、対応したベテラン従業員は手を前で組んで少し頷くだけ。「受け取れません」と聞こえてきた。

そのやりとりが30秒ほどだろうか。注目を浴びていることもあってか、すぐに「では外。外に出て話をしましょう」と塚口が言った。

従業員はそれに応じないが、騒ぐ外のメンバーに対応する必要もあるためなのか、図らずも望みどおり一緒に外に出る形に。

この流れのまま、店舗出口では、封筒の受け取りを拒否した方とは別の大柄なスタッフが塚口と対峙した。

「受け取ってもらいたいんですよ」となおも封筒を差し出す塚口。

「マスク着用の強要が」「国の方針が変わって」とかなんとか言って食い下がるが、そのスタッフは何度も手を前に出して、控えめながら追い払うような仕草を見せて言った。

「撮影はお断りしています」「他のお客様の迷惑になっています。どうかお引き取りを」

塚口は「撮影しなければいいんですか。その撮影やマスクの法的な根拠は…」などと言ってやや気色ばんだが、何度目かの強めの「お引き取りください」に、「ああ受け取らない。受け取らないんですね。そうですか分かりました分かりました」とふてくされたように早口で言って踵を返した。

取り囲むメンバー、と言っても7、8人が、わざとらしく周囲にも聴こえるように「えーうそでしょー受け取りもしないの?」「せめて受け取ったら?」「ひどいー」とか罵声を飛ばす。

「お客さんからの意見を受け取らないんですかー!?」とも言っていたが、それを聞いた誰もが「お前らは客じゃねえだろ」と冷静に心の中でツッコミを入れたに違いない。

<i>(対応した従業員さん。すぐ後ろに封筒を持って食い下がる塚口)</i>

(対応した従業員さん。すぐ後ろに封筒を持って食い下がる塚口)


三越側の男性スタッフ5人ほどは、広くはない出入口の渋滞を起こさないようにお客さんを誘導しながら、立ち止まっているメンバーに無言で腕をさっと差し出し、移動を促したりしていた。

人だかりや望外の混雑はやや起きたものの、ノーマスクのメンバーは「三越さん、その程度なんですね」「がっかりしましたよ」など、恨み節をむなしく響かせながら元の演説位置まで戻っていく。

塚口が通報を恐れてか比較的すぐに諦めたこともあったが、店舗侵入、追い出されてからの騒乱はものの数分間で終わった。

多めの警備員を配備して制圧するような方法でもなく、声を荒げるでもなく、三越としてはベテラン従業員達がスマートに立ち回っていた。

おそらく他の利用客に不安を与えないという姿勢を貫いたのではないだろうか。さすがは一流百貨店だ。

三越従業員さんの「思い」を訊く

追い返された塚口は再びマイクを手にした。

「受け取ってもらえませんでした」「三越さんのために言っているんです。マスクのお願いはいずれ自分達の首を締めます」「マスクをさせようとしてワクチンを打たせようとコロナ騒動を起こす者達は、三越を買い取って潰してここを更地にして新しい施設を建てることも簡単なんです」とかワケのわからんことを喚き始める。

メモ起こしが面倒なのでうろ覚えではあるが、本当にこんな内容なのである。

心なしか、なおも出入口付近でその演説の様子を監視していた従業員さん達の顔色に「(あんな奴の相手を真面目にしなきゃいかんのか…)」という徒労感が見て取れる。

<i>(受け取ってもらえない抗議文を読み上げる塚口ら)</i>

(受け取ってもらえない抗議文を読み上げる塚口ら)


実際、対応にあたった従業員のおじ様の一人が、私のすぐ横でため息を漏らしていた。

「大変ですね」と声をかけると、「はい…」と疲れた声が返ってきた。

「通報したりしないんですか」との問いには、「あの(演説の)場所はこちらの敷地外ですので…」とのこと。

私は、こうした集団を見てきたライターであることを告げて「今日の彼らの(デモの)動きは把握されていたんですか」と尋ねてみた。

すると「ここではちょっと…。すみません。よかったらまた正式な取材で」と謝らせてしまった。こちらもすぐに無礼を詫びたところ、「電話で教えてくれた方々もいまして…。確かこの団体は何度か来ています。他の場所でも(デモを)やっているみたいですね」と自ら話してくれた。

毅然とした見事な対応だったことを伝えると、「いえ、私たちはただ他のお客さんに安心して利用してもらいたいだけなんです」と事も無げに言った。

めちゃくちゃカッコいいな。

当初にSNSで「予告」されていたこの不毛なデモと襲撃は、15時から17時までの予定だったはず。20分も過ぎていた。

私が「彼らが築地署に申請して街宣の手続きをとっているとすれば、もう時間は過ぎていませんか。確認してみては」と伝えると、従業員さんは「そうですね」とすぐに店舗内に行き、他のスタッフと慌ただしくどこかに電話で連絡をとったようだった。

警察が来るかとも思ったが、その後の動きはなく、塚口たちは40分過ぎた頃には完全撤収した。

それを見届けるように従業員さんも通常業務に戻る。そしてすぐに何事もなかったかのようにお客さんの案内をしている姿には、やはり感動を覚えた。

***************

ここからはこの騒動を受けた所感を短めに書きます。

彼らが目的外で店舗に侵入したり、最後に時間をオーバーしたせいで、後日デモの申請が通らなくなるか、それとも他のもっと大きな展開があるかは今はまだ分かりません。(時間はもともと長めにとっていたかもしれない)

何はともあれ、銀座三越さんは本当にお疲れ様でした。

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