【書評】会心の暴露。「参政党と神谷宗幣 不安と熱狂の正体」は、さや(お母さん)含む保守業界史録
今回は『参政党と神谷宗幣 不安と熱狂の正体』(25年10月1日発売、祥伝社)を紹介する。
著者の古谷経衡(ふるや・つねひら)氏は、時事問題、ネット右翼、サブカルなどに強い評論家であり、TVやラジオにも多数出演している。

『参政党と神谷宗幣 不安と熱狂の正体』10月1日発売、祥伝社。
日本人ファースト
核武装は安上がり
男女共同参画は間違い
彼らはどこからやって来て、
この国をどうしたいのか――
無名だった頃から神谷氏やさや(塩入清香)氏を知り尽くした参政党研究の第一人者(AERA
結論から言うと、私にとっては今年読んだ中で最高の一冊になった。
多くの学びを得たり、応援したいと思ったりする書籍は他にもあったが、ここまでニヤニヤできる本はない。参政党を見てきてよかったとすら思う。
おそらく当レター読者の皆さんの大半も、参政党を疑問視する人なら誰もが「やっぱりな…」と膝を打つ。ぜひ購入して欲しい。
この先どうなるのかという不安や嫌な気持ちが、これを読んで「知っているから楽しめた」の優越感に変わった気がする。
神谷氏とさや氏の過去
古谷氏は、参政党研究の第一人者と言っても過言ではない。
22年参院選の1議席獲得により、初めて世間が参政党を認識しなくてもいいのに認識してしまった際、古谷氏はいち早くYahooニュースでのエキスパートとしての記事を配信し「オーガニック右翼」と表現していた。今回の著書の中でもこの記事のことは語られている。
当時から参政党を観察していた私は、その的確な表現だけでなく、こんなにもしっかり分かっている人がいてくれたと感服した。
参政党の集会などを雨宮純さんらトンデモ・ウォッチャーの皆さんと眺めながら、「どうするよこれ…反ワクチンとクソ陰謀論が政治にも進出してきたじゃねえか。えらいことになったでオイ…」と嘆いていた頃だ。
陰謀論集団をまともな政党として扱い過ぎ(国政政党にしてしまったので仕方ない面もあるが)と今も感じる私にとっては、古谷氏のように冷静に解説してくれる人がいることは救いだった。
今も折に触れて読み返している記事だ。
古谷氏は、かつて属していた保守業界で、神谷氏と塩入清香氏(さや=皆さんのお母さん)と番組で共演するなどの親交があった。
よって、駆け出しの頃の彼らの言動を、ここまで書いちゃっていいのかと何度も感じるほどに存分に振り返っている。会心の暴露だ。しかし、それでいてゴシップ的な読後の不快感がないのは、文章が丁寧で品性を感じるからだろう。
神谷氏を「兄貴」と慕っていた古谷氏だが、早々にその「中身の無さ」に気付く。今も参政党支持者を除く多くの人が感じることかもしれない。
私が特に好きだったのは、さや氏とパチンコ屋さんの話だ。「なんじゃそりゃ」と、電車の中で笑いを堪えるのに必死だった。
古谷氏が違和感を抱いたエピソードの数々は、いずれも神谷氏とさや氏の本質を突いているものばかり。昔のこととして開き直るのもなかなか難しそうだ。
若い頃にどんなことをしていようが、一般人でいればこんなに取り上げられることはなかったはず。公人となった今では擦られまくるだけである。
全てが現在の両者の姿勢にそのまま表れている。打算や虚栄心が見抜かれ、それを最もうまく言語化できる評論家に知られてしまっていることが運の尽きと言うべきか。
まさに「参政党の正体」だ。
揉め事の面白さ
そして当書は、神谷氏らを生み出した保守業界の回顧録でもあった。
特に古谷氏を気鋭の若手論客として見出したチャンネル桜(社長・水島総氏)は、