参院選候補者が首相や米山議員らに病名つけて揶揄。他党いじりの漫才にも沸いた参政党の政治資金パーティー「飛躍」(2)
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天下一演説大会
物販ブースに行かせるためだったのか、やけに長めの休憩時間が終わった。
次に始まったのは「天下一演説大会」。今夏の参院選に出馬予定の方々が演説する。優勝者の支部には賞金30万円が送られるとのことだ。
全国から「演説のうまさ」で勝ち抜いた5人が登壇した。客席では、各支部から来ているらしいそれぞれのファンが黄色い声援を飛ばしていた。

(スケジュールより)
トップバッターは茨城の女性。「報道がおかしくて…みんながコロナを怖いと思っていて…」と語り始め、「ワクチンを打って欲しくない」と両親に話して絶縁状態になったことなどを声を詰まらせながら語った。
そんな悔しい思いを胸に、参政党を通じて歴史を学び直し(!?)「学校で習ったのと全然違う!」と感銘を受け「大東亜戦争で日本はアジアを救うために…」
あの、もういいかなこれは。もういい。もういいよ。
次いで石川の女性。小柄で可愛らしい人だったが、なんと20歳の子がいるそうで会場から「ええー」と感嘆が上がった。航空自衛隊出身とのことで、こちらも声を震わせながら「生まれてよかったと思う日本を子どもに残したい」と参政党員が大喜びするフレーズなどで会場を沸かせた。
次は唯一の男性だ。例の「創憲」の責任者をやっている京都の弁護士。元党員らが参政党を訴えた裁判でも党の代理人を務めていた。「グローバリズムの巨額マネーの台風が吹き荒れている」「日本は籠城に耐える食料とエネルギーの自給が必要」とかなんとか語っていた。演説は普通にうまくないなと思った。
続いて大阪の女性だ。10年前に「大東亜戦争の真実を知って衝撃を受けた」。そこから毎日のように「世界中ではお金のために誰かの命が奪われている」と泣いて過ごしていたそうだ。交際相手に鬱陶しがられてしまい(そらそうやろ)、そんなことを胸にしまいこんで生きてきた時に、ついに参政党に出会い…って、こんな人ばっかりやないかい!
この女性は「みんなでイメージすれば必ず日本を変えることができる。スピリチュアルな話ではなく量子力学で証明されていますよね」「利権で動く人達と私たちの思いのどっちが強いかは分かりきっています!」と叫んだ。「参政党にハマっちゃう人」の見本のようだ。
最後は佐賀の女性。衆院選も含め、ご夫婦で立候補して何度も落選しているらしい。ジャンボタニシ発言で有名になった例のおば様と同姓で同じ九州だが、調べてみると血縁関係はないようだ。
「自主独立しませんか!?」「国民のための政治をしない政治家には退場してもらいましょうよ!」などとアジテーション。ハキハキ話して会場を煽ったことが評価されたのか、優勝はこの人だった。
演説がうまい方々ということだから、これから党員のSNSなどで「この演説がすごい!」などと、わざとらしく動画などが拡散されて名前を見る機会もあるだろう。
別に見たくないし、何かの間違いでも国政で見たくはないんだが。
漫才バトル
演説大会が終わると、パーティーでは恒例になりつつある「政治漫才バトル」が始まった。現役の議員らがコンビを組んで登場する人気コーナーだ。

(スケジュールより)
基本的には悪ふざけなので、一つ一つに詳しく触れることはしない。
例えば、トランプが撃たれた場面を真似して耳を押さえたけど電話していただけとか、ゼレンスキーは大統領選で勝てるかと聞かれて「スキーやから選挙も滑りまーす」とか。
あとは「自民党は自滅党やー」みたいな他党いじりのネタも続いた。会場にはある程度ウケていたが、私は何度も「うわぁ…」とうめいた。
優勝したのは現役地方議員のコンビ。つかみで、参政党に入った理由を「大阪都構想をやりたくて」とボケて「入る党を間違っとるがな!」とのツッコみが…いや、これらは文字にするとキツいんだけど、関西出身の二人だけあって割とテンポがよかったのよ。
「ザイム真理教」を新興宗教に見立てるボケの連打で会場を爆笑させていた。やはりタイムリーなネタはウケる。耳に残るフレーズ「Z!」(宗教的な掛け声)も繰り返し、戦略的にも強かったと思う。
いかん、M-1後の素人解説のようになってしまうな。
優勝者には参政党グッズ5万円分。演説大会の30万円との対比でずっこけさせ、シャレがきいていると思った。
出場者全体として、観客を喜ばせるような内輪ネタが多かった。
「さん」と言うところで必ず「参政党!」と嬉しそうに言ったり、党員(とウォッチャー)しか分からないような人の物真似があったり、所属地域をディスりあって「神谷さんの出身地」でマウントをとったり。
こういうのばかりなら、まあ微笑ましいかなとは思った。
…えらく優しいやないか黒猫ドラネコのくせに、と思ったそこの君。なかなか鋭いな。問題はここからなんだよ。
AIイラストを使った揶揄
漫才が終わって、次期参院選の比例公認候補者たちによる演説のコーナーへ。
ひとしきり悪ふざけをやったから、きっとここから選挙に向けた真面目な話が続くのだろうと思っていた。
しかし、これがまあ酷かった。

(スケジュールより)
登壇したのは岩本まな氏。参政党からは初めて国政に挑戦する女医だ。
コスプレのような白衣風ワンピースをまとい、聴診器とスマホを持って登場。「AI助手のチャッピー」に病気を診察させるとのネタを始めてしまった。
スクリーンには石破首相を模したAI画像。「架空の国の話ですからね」とかなんとか言い訳をしながら、首相の食事風景を揶揄したイラストに切り替えると、「顎関節症」との診断結果を大映しにした。
同じ手法で、小泉進次郎議員には「ポエム性言語揺らぎ症候群」。米山隆一議員(立憲民主党)には「昭和男子」「日光皮膚炎(ニヤケ)」。国民民主党の玉木雄一郎代表には「党内感染痛風フリン隊」と続けた。
ジョークにしても度が過ぎている。客席は概ね喜んでいたが、「これは大丈夫なのか…?」といった表情をする人もいた。
仮にも医師の身でありながら、人のことを病名で揶揄するネタをやってしまうとは……。今夏の選挙に出る候補者が、政治資金パーティーの壇上でこれをやったことも驚愕だ。岩本氏は自身のブログなどでもこの日のことを嬉しそうに報告している。
揶揄された方々は、きっちり参政党の責任を追及してもらいたい。
(以下の限定部分では、ほかの公認候補者の主張、芸能関係の過去の騒動などについて触れています。ご興味がある方はぜひメンバー登録を)
ちなみに米山議員の「ニヤケ」については、知らないと何のことか分からないだろうが、参政党員(とウォッチャー)なら知っている。
3月の法務委員会で参政党の吉川里奈議員が質問した際に、後ろで笑っていた様子が映ったことが発端で、米山議員は参政党員に嫌われているのだ。「私たちの吉川さんを笑うなんて許せない」と、怒りと共にSNSでスクショなどが拡散されていた。
「昭和男子」が何のことかは知らん。というか、国会議員のほとんどが昭和生まれだろ。

(衆議院インターネット審議中継ライブラリより)
米山議員が笑った理由は定かではないが、今回のAIイラストによる病名診断の揶揄は