「核、持ちましょうよ」に喝采。幸福の科学の暴露もあり、あの人の歌声でフィナーレを飾った参政党の政治資金パーティー「飛躍」(3)・完

5月17日におこなわれた参政党パーティーのレポート(3)・完です。
黒猫ドラネコ 2025.05.31
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「核、持ちましょうよ」

参院選候補者の演説が終わり、ここから2人目のゲスト講演だ。

丸谷元人氏。過去のパーティーにも出ていた参政党御用達の講師である。

司会者から「豊富な軍事知識、経験を持つ、テロ対策、危機管理スペシャリスト」との紹介があった。

(パーティーのサイトより)

(パーティーのサイトより)

丸谷氏は参政党の「目覚め」を称えるようにして、「財務省の事務次官を相手に講演した時も『国民的認知症です』と言ってしまってすごい顔をされたんですよ」などとドヤ顔。

異様にテンションが高い。数年前にパーティーでこの人の講演を聞いた時とはまるで印象が違う。参政党にウケるような「話芸」にシフトしているのだろうか。

国際的枠組みなんて通用しないと語る丸谷氏は、「国際秩序ってなんですか。インドやパキスタンやアフリカに秩序なんてあるんですかって話ですよ。彼らには掟はあるけど秩序なんてない」と、ヘラヘラしながら失礼なことを言い出した。

「日本人はルール至上主義を直さなきゃいけない。ルールだから常識だからって一生懸命に従ってるわけでしょ。羊さんみたいな考え方はやめた方がいいと思います」

…はい、じゃあ今からこのパーティーのルールを破って録音も撮影もするけど大丈夫ね?

オーガニックの物販に行ってその場で金も払わずに食べていいのよね?

ルールや常識に従ったらダメなんでしょ? 

何を言ってんだろうね。

丸谷氏は終始テンション高めに語り「創憲」の話を持ち出した。そして、党員の思いを確認するかのように言った。

「核、持ちましょうよ、ね」

このパーティー中で最も自然な流れで会場から拍手が沸き起こる。参政党が核保有に賛成しているのが明確になった瞬間だった。

「核を持たなきゃいけない。最小限の核抑止力。最小限ですよ。でも一発じゃない。同時に核廃絶を訴える。だって被爆国なんだから。抑止のための保有をして、廃絶をやるんですよ」と丸谷氏。

何を言ってるのかさっぱり分からない。

さて、ここで大事なことを一つ。参政党は来たる参院選ではこの主張をしない。核保有を堂々と言わないで曖昧にするはずだ。

選挙でマイナスになりそうなことは決して言わない。それが最近の参政党である。

1時間にわたる丸谷氏の講演が終わると、司会から選挙に向けたクラウドファンディングの案内があった。スクリーンに目標額「4500万円」と大映しになる。

このパーティーのチケットだって一般席2万円やぞ…まだ金とるんかい…。

ここで2度目の休憩。「それでは、物販コーナーに行ってらっしゃい!」と司会から声が飛んだ。

「どうなんだよその言い方は…」と、私は席を立ちながらつい口に出してしまう。前の席のババア…もとい、おば様に聞こえてしまったらしく振り返って怪訝な顔をされてしまった。やべっ。

ちょうど、「参政党グッズおたのしみ袋(5000円)購入で吉川りな議員のサインがもらえます」みたいなアナウンスがあったので、「へえーサインもらえるのかあー」と明るく呟いておいた。

あっぶねえあぶねえ…。

幸福の科学の裏側

トイレは混むし物販コーナー前はぎゅうぎゅうで身動きがとれないわで、再開時間もグダグダ。そんな休憩明けに始まったのは最後のゲスト講演だ。

出たよ及川幸久氏。

最近は参政党にべったりのご様子で、「日本を救えるのは参政党だけ。これを言うために、やってまいりました」だそうだ。

(パーティーのサイトより)

(パーティーのサイトより)

トランプ政権の話や、欧州での極右政党の台頭、そしてディープステートの解説などなど。気付けば私もアレな内容を平然と聞いている。

聞き慣れてマヒしていることに気付いてちょっぴり怖い。


穏やかな低い声で畳みかける及川氏の話術に、会場も引き込まれているようだった。さすがはガチの宗教家…。

そう、この人は、あの幸福の科学の外務局長を務めていたのだ。

それに関して、会場みんなが反応して面白かった瞬間があったので共有したい。

及川氏は、参政党に関する「噂」があるとして、Xの投稿をスクリーンに映した。

(及川氏がスクリーンに映した投稿スクショ)

(及川氏がスクリーンに映した投稿スクショ)

参政党のバックに幸福の科学がついていると断言する内容だ。

「『なるほど』『腑に落ちる』とか下(リプライ欄)に書いてある。うまい論理なんですよね」と及川氏。

この投稿自体はみんな知っているようで「ああーこれね」と、呆れ笑いが飛ぶ。かぶせるように及川氏は「私が神谷代表とライブ配信をやったのがマズかったのかなあ」と自虐的に話した。

みなまで言わなくとも、知っている人達は当然「ウフフ」となるが、あまり笑いは広がらない。空気感的に、及川氏の前歴を知らなかった人もいるのだろう。

そう思った次の瞬間だ。

「幸福実現党という政党があります。母体は宗教法人・幸福の科学。私は、そこの幹部でした」

客席が一斉にピクッとなり、ほんの一瞬だけ間が空く。

「(自分で言った…)」「(言ったよな今…)」「(言っちゃった…)」

全く隠してはいないのだが、あらたまって言われるとやっぱり驚いてしまう。

知っていた人も知らなかった人も一様にざわついたのがあまりにも面白く、私は下を向いて「ぐうぅー…」と笑いをかみ殺した。

及川氏は「中にいたから分かる」「広告塔みたいなもんだったから」などと言い、投稿のどこが嘘かを解説していった。それによると、幸福実現党が候補者擁立を見送ったのは、参政党を支援したからでは当然なくて、単純に「お金がなくなったから」だそうだ。

つまり幸福の科学に余裕がないということをハッキリ言ってしまった。ぐうぅー…。

「こんなに選挙やってたらお金がなくなるんですよ。そして2023年には創設者の大川隆法総裁が亡くなってるんです。これで完全に寄付金、お布施は激減したんですよ」

大川隆法の死去は公式アナウンスされていない。もちろん報じられたので知ってはいるが、まさか参政党の政治資金パーティーで元幹部の口から聞けるとは。


「内部にいた人間として言いますがお金がないんです。幸福実現党のバックは宗教団体。物が売れないから宗教団体もお金がなくなるんです」と続ける及川氏。

「参政党のバックは宗教なのでは」との嫌疑を晴らすために、幸福の科学の裏事情が暴露されまくっている。「ほお…」とか「うーん…」といった会場のざわめきが面白い。

ここに来てよかったと初めて思った。最高だ。

バックが宗教団体ではなく国民なら勢いが萎むことはないから大丈夫みたいな論理で、及川氏は参政党を持ち上げた。その後もグローバリストがどうこう、ロスチャイルドなんじゃかんじゃの話が続いたが、もはや何も頭に入らない。

死後のエル・カンターレが、裏切り者の及川氏に仕返しすることはあるのだろうか。

そんなことばかり考えてしまった。

(休憩時間中、参政党支持者と交流する及川氏)

(休憩時間中、参政党支持者と交流する及川氏)

代表あいさつに涙涙

客席から鳴り止まない拍手、揺れる多数のオレンジ色の旗、日本国旗…。

「新代表」神谷宗幣議員のごあいさつだ。まずは党の代表戦に勝って信任を得られたことへの感謝を述べた。

(パーティーのサイトより)

(パーティーのサイトより)

そして、沖縄戦への言及で炎上したことについて「もう参政党しかないって分かったんじゃないですか」「大東亜戦争は続いているんです」「私は退きませんから。骨は拾ってください」

そんな言葉の数々に、聴衆は何度も手をたたき、うんうんと頷いた。

他党から「合流しないか」などの誘惑があることを明かし、「全て蹴っています。皆さんとの約束が嘘になるから」と話す。会場中からは拍手とともに涙声で「よし!」「そうだ!」などの叫びが上がり始めていた。

参院選で5議席を目指していることなどを述べた神谷代表は「できるできないじゃない、やるんだ。やるって決めましょう。あとは突っ込んでいく。命の使い方ですから」と説いた。

「神谷さえ潰せばいいと思われている」として、トランプ暗殺未遂事件なども持ち出して覚悟を語っていく。

「葬式は来なくてもいいけど残された妻と子は皆さんが面倒見てくださいね」などと冗談めかしてはいたが、党員たちはそんな決意が嬉しいらしく、笑いに涙がまじっている。(マジなのよこれが)

と、まあフェスの締めは毎回こんなもんである。何度も見てきたので私は慣れている。

そんなこんなでフィナーレの時が来たようだ。

もう20時になろうとしている。スケジュール上では終わっている時間だが、そんなこと気にしているのは客席では私だけだろう。

まさかの歌唱力に悲鳴

神谷代表が語りかける。

「私のポエムをもとに親友が2曲を作ってくれました。自分への応援歌、そして皆さんへの応援歌です」

客席から「ポエム…!?」と驚きの声が上がった。

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