参政党の歴史を振り返る【特別企画】

これまで参政党について書いたレターをまとめています
黒猫ドラネコ 2025.07.01
誰でも

どうも、黒猫ドラネコです。

おかげ様で当レターは、メール登録者数の総計2万人を突破しました。拡散してくださる皆様のおかげです。本当に感謝しかありません。

というわけで、2万人突破の特別企画をお送りします。

いま最もホットなあの政党、参政党について。

読者の皆様ならご存知の通り、その政治資金パーティーなど有料イベントにあきれるほど(自腹で)参加して内情を書き続けてきたライターが私です。

(都内で行われた参政党の集会より)

(都内で行われた参政党の集会より)

今回はこれまで出した記事のリンクを貼りつつ、歴史をざっくりと振り返っていきます。

いろんな意味で参政党のことが気になっている人も多いと聞きましたので、ぜひ当レターをご活用ください。

(記事配信当時の挨拶や前置きなどは削除している場合があります)

なお、次回配信は「参院選の反ワク・陰謀論者な候補者一覧」です。ぜひメール登録して最新記事をお待ちください。

これからもトンデモ集団などについて、有益な情報を流せるように頑張ります。

***

(以下、敬称略)

【2022年】

参政党を初めて認識したのは22年の春頃だ。

共同代表(当時)の歯科医・吉野敏明が「波動機器メタトロン」を使っているということもあり、反マスク・反ワクチンの主張を繰り返す新興トンデモ集団の一つとして注目し、演説会のウォッチに向かった。

反ワク・陰謀論集団の神真都Qが接種会場を襲撃して逮捕者を出したばかり。参政党は、神真都Qに愛想をつかした反ワク・反マスク勢の受け皿としてネット上で盛り上がりを見せていた。

神谷宗幣、吉野、松田学、武田邦彦、赤尾由美の「参政党5レンジャー」を中心に新橋などで演説。

その内容は反ワクにとどまらず、スピった話、反医療、ナチス擁護まで幅広く、「なんじゃこりゃ」となった。

神真都Qのようにゴリゴリの陰謀論者ばかりが集まったわけではなく、参政党は「5レンジャー」それぞれのファン層でもある反標準医療の者、オーガニック信奉者、スピ系自然派、オリジナル自己啓発セミナー業者などを取り込んだ。

そこにディープステート(DS)やらグローバリストやらが仕掛けたのだ!という「コロナは茶番」系の陰謀論を投げかけ、「このままでは日本が危ない」「投票したい政党がないから自分たちで作る」「おはよう」などと煽ってSNSを駆使し、支持者を増やした。

党の看板である松田、吉野が、親しい反ワク医師らとコラボしながらアレな主張を展開。党の発起人である神谷は事務局長としてフィクサーのポジションにいた。

突飛な主張でYouTubeの再生数を稼ぐ、オーソドックスな陰謀論ビジネスを展開している程度に見ていたが、この5月に吉野が主導する形で第1回の政治資金パーティー「イシキカイカクサミット」をパシフィコ横浜で開催。

反ワク・陰謀論インフルエンサーらが多く登壇し、大箱を埋められる人気集団として、その界隈での評判は高まっていた。

参院選が公示された6月、マジで選挙に出ることが分かると、週刊誌なども取り上げ始め「1議席ぐらいは取るのでは」との予測が出た。

「龍馬プロジェクト」(地方の若手議員らの集団)での人脈などがあった神谷らの尽力で、会社経営者、元教員などの肩書きの候補者が多数出馬。

党員数は8万人近くに達したという話まであった。

党員だけの広がりでは、いくらなんでも比例議席獲得目安の100万票はないと思っていたが、その予測は見事に裏切られる。

選挙演説、支持者集会で「仕組まれたコロナ禍」「ビルゲイツによる人口削減」「地震兵器」などの珍説までも撒き散らし続けた末に、マイクおさめでは、芝公園に1万人近くが集結。

安倍晋三元首相が銃撃された翌日の言い知れぬ緊迫感と熱狂が渦巻く中で「安倍さんの遺志を継ぐのは参政党」(松田)「日本をなめるな×4」(神谷)など名言も飛び出した。

結局、政党名で130万票を獲得して比例で神谷が当選。ついに国政政党になってしまった。

8月、第2回の政治資金パーティー「予祝」を開催。

予祝とはスピった意味合いが強く「あらかじめ祝えば願いは叶う」というもの。国政政党になることを見越して予定されていた大規模集会だ。コロナ禍でも6000人ほどの「目覚めた中高年」がほぼノーマスクで幕張メッセを埋め、歓喜の涙を流してその門出を祝った。

(記事内に①からのリンクあり)

神谷、吉野が調子に乗って「アンチは議論しに来い」などと動画で煽ったことに端を発し、秋頃から冬にかけてNHK党による参政党への妨害が激化する。

街頭演説会には必ずN党と黒川あつひこ(当時N党幹事長、つばさの党)らが表れ、それまで参政党の動画を積極的に配信してきた者も、両陣営の小競り合いをコンテンツ化。

ここからしばらく、参政党が真面目にやりたいのにN党らが茶化し続けるという抗争が繰り返された。

【2023年】

参議院議員の神谷は存在感を増し、春の統一地方選挙に向け、候補者に選挙活動のレクチャーなどを開始。むちゃくちゃなスピーチをしていたド素人の連中が街頭に立ち続けてマシになっていく。

元区議など経験者もチラホラいた。その演説内容は神谷、吉野らの受け売りなので反ワクやらオーガニックのアレな感じのアレなやつだが、よく思想を染められ…もとい、よく訓練されていると感心した。

N党との騒乱は継続。神谷は支持者や候補者に向けた講演で、妨害勢力を鬼滅の刃の「鬼」と表現するなどしていた。

表向きには応戦せずに逃げるのに支持者の前では強弁する神谷に対し、黒川陣営は車を追いかけたり、車の前に飛び出したり、神谷を守ろうとする候補者の若者を罵倒して泣かせたりした。

(記事内に①からのリンクあり)

吉野が大阪府知事選に出馬を表明し、「小麦は戦前はなかった」「メロンパン食ったら死ぬ」などが大きく話題になったのもこの頃。参政党のヤバさがようやくSNSにも広がりをみせる。

3月、第3回の政治資金パーティー「春のBAN政り」をベルサール高田馬場で開催。松田代表のチェロ、赤尾のバレエや、謎の一発芸などの出し物が充実していた。

いったい何を見せられているんだと混乱した。

(記事内に①からのリンクあり)

神谷の特訓や、決起集会の意味合いもあったパーティーの効果か、4月の統一地方選では90人以上の地方議員が誕生した。反ワク・インフルエンサーと化していたアカウントや、マルチ商法出身者らも含まれている。

選挙中の「サウナ熱波師による祈祷」「祈りで緊張をほぐす候補者」などのホラーな動画が注目された。

この頃から参政党は地方支部のネットワークをうまく構築して拡大。無投票になりそうな候補者が少ない市区町村にも候補者を出し続け、今日に至るまで140人以上の地方議員を生み出した。

しかし政党として認知されてきたとはいえ、本質が陰謀論集団であることは変わらない。

4月にはボードメンバーの田中義人(北海道)が岸田首相襲撃事件に「支持率上げのための仕込みかも」と投稿して炎上。

思想の強さも表に出て、7月には神谷が「LGBTなんかいらない」と発言した。

同じ頃、元党員らが「政治に参加できなかった」として党を訴えた。

参院選で候補者を出しまくり、続く統一地方選でその地方支部の見直しをしたひずみのようなもの。それまで支部を支えた人が理不尽に替えられたりもしたそうだ。

余談だが、原告団の支援をNHK党が担っていたので、訴訟が代理戦争のような雰囲気になったのは残念なことだった。(のちに原告が敗訴)

なお、この頃にNHK党から黒川らが離脱したが、それでも参政党への演説妨害は収まる気配はなかった。

8月末、松田代表が辞任して神谷が新代表に就任と発表。松田の発信の過激さなどを咎めたとのことだったが、ここから内部でのゴタゴタが表面化し始める。

9月、第4回政治資金パーティー「Road to 衆院選 HERO's Rising」を東京ビッグサイトで開催。司会を芸人の和泉修が務め、須藤元気と神谷の対談があり、神谷の動画チャンネルのファンだという俳優・沢村一輝がサプライズ登壇した。

パーティーではボードメンバーの変更などが発表され、代表を降ろしたばかりの松田をステージに立たせて(発言はなし)円満をアピールするなど、党員の不安の払しょくに躍起になっていた印象だ。

(記事内に①からのリンクあり)

松田は残ったが、党を支えた「5レンジャー」は完全瓦解する。トンデモ発信の元凶だった吉野、武田邦彦らも抜けた。

彼らを切ってイメージ戦略に入ったのか、しかし農家への侮辱的な言及があったとして神谷が炎上したのもこの頃だ。

秋頃になると、離反者が「神谷の独裁」などの暴露を始めるようになる。ファンが多かったメンバーの離脱によって党員数も激減したとみられた。

【2024年】

前年からの内輪もめの流れで「文春砲」を食らった。神谷の秘書がパワハラ的言動を苦に亡くなったのではないかというもの。

秘書と親しかったらしい武田が動画で涙を流したことで、離反者の怒りはピークに。しかし党側からも、武田への「認知症」との暴言や、セクハラめいた言動の疑惑などが流され、諍いは泥沼の様相を呈した。

そこに追い討ちをかけたのが「ジャンボタニシ」である。

地方支部のメンバーが自然農法とばかりに田んぼに撒いていることが分かって大炎上。農水省が注意喚起を出し、「JAにも推進されている」と開き直る党員の投稿に対し、JA福岡市が否定の声明を出すなど騒動になった。

3月、苦境の中で東京ブロックの政治資金パーティー「春フェス」開催。参加者はおよそ450人という小規模だった。

ここで、元看護士で主婦の吉川りなが衆院東京15区補選に出馬すると発表された。

前年秋から、吉川ら女性党員を「5レンジャー」に代わる「東京ファイブ」として売り出していたのだが、ほぼ話題にはならなかった。

(記事内に前編のリンクあり)

4月、衆院補選で吉川は9000票に届かず完敗。ほとんど存在感を示せず終わった。

それまで参政党をターゲットにしていたつばさの党にさえ愛想をつかされる有様。(ここで黒川らは参政党襲撃のノウハウを他党に駆使して逮捕される)

6月、参政党は都知事選に候補者を出さず、田母神俊雄の応援に回った。

他の反ワク勢力が「共闘」するお祭り騒ぎの中、トンデモ系の聴衆からも「参政党がああなっちゃったからねえ…」と、凋落を感じさせるコメントがあった。

8月、第5回の政治資金パーティー「SUPER CONCENTRATION」は神戸で開催。

初めて首都圏以外の場所だった。秋の衆院選の重点地区を近畿に定めていたこともあったのだろうが、客入りは思ったほど伸びず、やはり勢いはしぼんでいたようだった。

このまま終わっていくのかと思われつつ、迎えた10月の衆院選。

直前になって他党から迎え入れた鈴木あつしが当選し、重用していた吉川も九州ブロック比例への配置が奏功して初当選。さらに、ノーマークだった北野ゆうこが、女性候補一人だった滋賀3区で幸運にも比例復活した。

女性国会議員2人が誕生して注目も浴び、やや光が差してきた。

憲法改正論に対し、独自の「創憲」を展開し始め、12月にはフェスを開催。

全国の党員が憲法案を持ち寄るという試みで、そのエグい内容に有識者からは呆れられながらも、党員の結束を高めていた。

(記事内に前編のリンクあり)

【2025年】

「同じ方を見ている」らしいトランプがアメリカ大統領に返り咲き、「これで流れが変わる!」と意気込む参政党の面々。

れいわ新選組ばりの街頭演説用モニターを初めて用意するなど、なんとか工夫して民衆に訴えかけたい意図は見えたが、集まるのは少なくなった党員ばかり。党勢拡大は厳しいように思えた。

1月から2月にかけ、神谷ら国会議員が全国行脚。陰謀論を開き直るような講演を開くも、勢いが戻る気配はない。「参政党モバイル」の宣伝も始め、お前らは開き直ってそっち方面に行ってしまうんか…とも思われた。

トンデモ陰謀論の匂いを消したいような動きが目立つようになった。

この期間までに起きた反ワク大規模集会、財務省解体デモ、令和の百姓一揆などの「いかにも好きそうなブーム」には神谷がなんか乗り気ではない。(神谷がこうだと党員はほぼ行かない。松田とかは行くが)


「選択的夫婦別姓」(お母さんは家にいるべきと考えているので別姓なんか大反対)や「外国人問題」(縄文、江戸が黄金時代だと考えていて日本人こそ至高の民族)の政治的話題は積極的に取り上げるようになってきた。

勝負をかける初の都議選に向け、支持拡大を図りたいと思っていたのだろうが、4月の東京支部「春フェス」ではバカ高い屋形船イベントを支持者らに繰り出すなど、やはり迷走していた。


5月、唐突に初の党代表選を実施。

吉川議員、ボードメンバーの川裕一郎、そして神谷代表というメンツで、別に争うでもなくそれぞれ尊重し合うかのような演説会などを開催し「いったい誰が新しい代表になるの!?」と党員を盛り上げ、普通に神谷が選ばれた。

ウォッチャーはみんな「フフッ」ってなった。

同じ5月に第6回の政治資金パーティー「飛躍」をベルサール高田馬場で開催。第3回と同じ場所で、何らかの明るい兆しが見えていたようには思えなかったのだが…。

勝負の都議選、参院選に向け、いろんな分野の人材を取り込んだのだけは分かった。

そして奇跡は起きた。

「外国人問題」のブームや「米騒動」も影響したのか、国会での吉川議員の質問などの動画が保守層を中心に拡散されて注目され始めていた。

そんなタイミングで、若者のインフルエンサーらに積極的に働きかけ、動画広告などを拡げていたことがじわじわと実り始める。

ほぼ時を同じくして、野党第一党をうかがっていたはずの国民民主党が盛大に自爆。幸運に幸運が重なった形で、行き場をなくした野党支持が参政党に転がり込むことになった。(ほんとふざけんなよ国民民主)

地方選挙の快勝もあり、その勢いで初の都議選に臨んだ参政党は、なんと4人中3人も当選したのだった。

【2025年、参院選直前】

メディアへの露出が増えた今、来たる参院選では「6議席獲得」の予測も出るほどに支持が急上昇しているという。

国政政党になって3年…ついにオレンジ色の鳳凰は飛翔の時を迎えた。ずっと生温かく見守ってきた私も感慨深いものがある。

NHK党やつばさの党に狙われ、元党員らに訴えられ、内ゲバあり、離反者が出て、農家を侮辱して炎上し、文春砲を食らい、ジャンボタニシを撒き…いろんな苦難を経てとうとう……というか、なぜか「選択肢」として認識される位置にまできてしまった。

「日本人はどうかしちまったのか」と突き放してばかりもいられない。「触れちゃダメな人達」ぐらいな雰囲気すらあった数年前のようなトンデモ陰謀論臭を出していないから、「参政党って意外といいかも」と思う人が出るのは無理もないのかもしれない。

選挙ではうまく隠しても、その本質は反ワク・陰謀論の集団であることはたくさんの人が知っている。こうなったからには、たくさんの目でこのトンデモ政党を監視してほしい。心からそう願う。

変なことを言っても「まあ参政党だし」とスルーしがちだった言論人やジャーナリストは、いよいよ遠慮なく参政党の言動をボコボコにする時がきたと思っていいのではないか。

それで支持者が離れるとは思わないが、目覚めちゃった人はもう放っておいて、今は「話題になっているけど参政党っていいのか?」という目を向ける一般の人に「いいわけねえだろ」と知ってもらうことが肝要だ。

引き続きメディアの方々、警戒感を強める他党関係者はなんでも聞いてきてほしい。

私よりはるかに詳しい強力なウォッチャーたちも紹介できるし、参政党の流れを最も知るライターとして、いつでも答える準備がある。

(黒猫ドラネコ) 

Xアカウント ⇒ @kurodoraneko15

(参政党の応援に来ていた鳥)

(参政党の応援に来ていた鳥)

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