参政党さん、色んな業種に余計なお世話をかます。妨害騒動もあった新橋での演説会
**************
お花畑な演説会
11月に入ったとは思えない暑さの昼下がり。
3連休2日目の新橋SL広場には、100人ほどの高齢者を中心とした聴衆が集まっていた。「キックオフ街宣」と銘打って、全国各地で参政党の演説がおこなわれたのだ。
代表の神谷宗幣参議院議員が久々に新橋に立つとのこと。参政党フリーク(??)の私もふらっと立ち寄ってみた次第だ。
代表の到着までに、党員スピーチが始まっていた。
区議会議員と、国政改革委員と呼ばれる候補者たち。議員はこれまでもよく見た顔ぶれだが、委員は前回の選挙で落ちたり、新たに党に公認された方々である。
トップバッターを任された委員の中年男性が「20年以上も病気の(治療の?)アドバイスをやってきたけど、靴下の重ね履きで健康になれるんです」みたいな謎の演説を始めてしまう。
「もともと薬というものは産業廃棄物の処理で作られ、薬を必要とする病気なんて実はそんなにない」みたいな話をぶち込み、マジ最高に参政党を体現しちゃってんなと思ってテンションが上がってしまった。(んん?私だけか…?)
ちなみにこの人は医療関係者でもなんでもない。
その後は、東京ファイブという党内の女性グループの候補者の一人が「アンチが湧くけど絶対に負けねえからなッ!」と実に威勢よく叫んだが、その直後に演説した穏健派らしき区議が「対立は不毛。敵を作ってはダメ」みたいに言って台無しにするグダグダな一幕も。
順番考えろよ…。お前らそういうとこやぞ。

(新橋での参政党演説会、壇上は区議会議員ら)
アーユルヴェーダ講師なども普通に登壇し、「政府がお注射をどうこう」の反ワクチン的な話も次々に披露され、参政党が参政党であるためにあるような時間だった。
他にも何人かの「仲間がいるから絶対に負けません」みたいな内容がおよそ1時間ほど続いて、広場にはオレンジ色のお花畑(たぶんオーガニック栽培)が広がっていく。
「はよ終わってくれや」とうんざりしていると、ようやく広場の裏手にボスが車で到着。
拍手と指笛に迎えられて神谷代表が登壇した。
いつもなら「皆さんこんにちは!」みたいに元気よく始まるが、司会から紹介された後に「…はい、えー本日も連休の中日にもかかわらず…」と、いきなりため息をついたようにも聞こえるような静かなスタート。
おいおい、どうしたどうした。気付いたのは私だけなのか、党員らは嬉しそうに「待ってました!」とか絶叫して拍手喝采。
お前ら心配してやれよ…。

(ややお疲れ気味だった神谷代表)
神谷代表の言い訳
全国を回って3日間で9回も演説をするとのことで、やはりお疲れなのだろう。
およそ250人ほどに膨れた聴衆に向ける笑顔もどこかぎこちなく、いつもより背中が丸まって見えた。
神谷代表の威勢の良さが消えているのは、最近の党内のゴタゴタ続きで離脱者が出ているせいもあるのかもしれないが、ネット上にかつてない規模のバッシングが起こっていることも影響があるのだろう。
化学肥料や農薬について言及した演説が拡散され、その内容が事実と異なるとして農業従事者らを激怒させてしまったのだ。
著書「参政党Q&A」の中でも慣行農業を貶めるようなむちゃくちゃなトンデモ説があったことまでも掘り起こされてしまい、炎が上がった。

(参政党の本の内容よりスクショ)
それらについての弁明の演説を繰り返すも、「謝っていない」「逃げている」などと猛烈に叩かれている状況だ。
今回の演説でも同じで、必死の言い訳が大半を占めていた。
「なるべく科学薬品に頼らない方がいいと話をしていると農家をディスってるんじゃないかと怒られることもある。それは違います。全ての農業者を支援して農業やってくれる人を増やさないといけない。それが最優先で順番を間違えてはいけない。切り取らないでください」
「どうすれば農家が増えるか。生活が安定する状況を作ること。オーガニックとかはもっと後の話です。健康に繋がる話しですので、『できれば』という話。まず既存の農業、漁業をどう応援していくかと考えないといけないし、そこに税金を投入すべき。叩く意図は全くないので誤解のないようにしていただきたい」(以上神谷氏)
怒っている農家の方々は別に切り取って誤解した訳でもなく、「農家は体に悪い物を使って悪い物を作っている」との意味不明な流言を咎めているのだ。神谷代表の(つまり参政党としての)化学肥料や農薬についての認識が現場とは違っているから指摘して怒っているだけ。
しかし、神谷代表はなぜか終始、相手側の誤解という主張を譲らない。
地方と連携して農作物を買い上げるべきとの説を披露すれば、「子ども達が食べるものですからなるべくオーガニックなものにしてください、と。薬はなるべく使わないでくださいというような形で。それが安心安全な食糧として学校給食になればそれでいいじゃないですか」
党員の手前だからか、どうしても「体に悪いものを止めて」とでも言いたげなのだ。
だから農薬使っても体には悪くねえし、オーガニックじゃなくても安全な食糧だっつってんだろうが…。
「仕組みを作ろうと言っているだけであって、慣行栽培の人達がやっていることが悪いとか、すぐ農薬とか肥料を使うの止めなさいとかそんなこと言ってないわけです。ぜひ理解してくださいね」
「参政党は農家を叩くと言っているけど、それは間違い。我々は応援したいと思っている。労働対価を認めてお金を払って経済が右肩上がりになるように制度設計をしましょうと言っているだけですからね。誤解せずに受け取ってください」
謝る気なんてさらさらなく、ここまで「誤解しないで」みたいな説を延々と言えるとは。
自分らが嫌悪しているはずのダメな日本の政治家の典型みたいになっているのだが、そのへんは大丈夫なのだろうか。
本人は気付いていないのだろうが、なんなら演説中に「慣行栽培 ”でも” いいんです」とナチュラルに言ってしまっていた。慣行農家を下に見ていることは全く隠せていないのだが、これも切り取りになるのだろうか…。
全方向にケンカを売る参政党
どうも神谷代表は余計なことを言わないと気が済まないらしい。
今の農政の仕組みがよくなくて食糧危機で都会はピンチになるとの解説をして、「食料がなくなっても地方はそのへんに植えとけば芋でも食べられるんですよ。僕も庭で芋を育てたり米作ったりしてますけど家族で。土地があるからなんとかなるんですよ」とか軽口をたたいてしまう。
そのへんに植えて生える芋は参政党員だけで食ってくれや…。こんな具合だから「農家を舐めている」と言われることになるのだろう。
林業への言及では、とうとうウケ狙いに走った。
「二酸化炭素がダメと言っておいて山を切り拓いてメガソーラーとか、風力発電とか。SDGsはどうなったんですか。自然の中に巨大なゴミができるかもしれない。だからクマとかサルとかどんどん出て来て人を襲うんじゃないですか。クマもサルも被害者ですよ。もう一回政府も農林水産省も『平成狸合戦ぽんぽこ』とか見た方がいいですよ!」
いや「そうだー!(大拍手)」じゃないんだよ党員も…。
「宮崎駿さんが訴えているんですから。メッセージとして。生態系を無視して人間が経済合理性だけでやってきたらしっぺ返し食らう話でしょう? 一昔前までアニメや映画もそういうのがあったはずなのに今はなくなって、ボーイズラブが流行ったり、アクションものだったり。悪いとは言いませんが、文化と芸術から社会のあり方を考えるとかやらないと。繋がっているんですよ全部。農業も漁業も国防も経済も文化もエンタメも。そういうところに国民の関心が向くように意識啓発をやっていきたいのが参政党です」
だから「そうだー!(大拍手)」じゃねえのよ党員よ…。今もそういう作品あるだろうが。思い付いたものを何もかも繋げてんじゃねえよ…。
さらに漁業に関しては、漁獲量の減少について「原因を他責にしている。どうやって自責にしていくか。他の国と違って小さい魚でも平気でとっちゃう。制限をしっかりかけ、保護しながら育てて取る。データで管理して国がやるしかない。漁師の皆さんじゃ無理」などと述べていた。(ちなみに国は既に20年から改正漁業法で管理を始めている)
また、医療についても、新型コロナ対策の反省をとの話では「普通に自然感染して免疫を作って、抗体を作って我々の免疫を信じて、まあ手洗いとかはしたらいいけど、治験中の注射なんか使わなくてよかったんじゃないの、と。そういう考えですよね」と、相変わらずのトンデモ反ワクチン話を披露した。
参政党がこういう集団なのは既に知れ渡っていると思うのでこのへんで省略する。

(最後は元気に1、2、さんせいとー!で締めた神谷代表)
神谷代表や参政党の方々は批判されるとすぐに「切り取りだ」などと言うが、こんなにもそれぞれの業界で働いている方々に無礼な発言ばかりならそりゃあ批判もされるだろう。
何から何まで「参政党が考えたさいきょうの仕組み」を披露して、あまり賢くなさそうな支持者にウケればいいってもんじゃない。
ド素人が全方向に、仕組みがどうこうで何が悪いからこうしたらいいと広めるのは本当に余計なお世話だと思う。だから農家さんに怒られるのだろう。
ついでだから、ちょっと目に付いたことを厳しく言いたい。
神谷代表も党議員も、広場に設置したブースの裏手にある点字ブロック付近の荷物をどけさせろ。
運営スタッフがいるテントのすぐ裏なので実害はなかったのかもしれない。しかし国政政党としてこうした行為は恥じるべきだ。
妙な演説ばかりして「これが参政党の考えなんです」とか悦に入っていても、文字通り自分達の足元が見えていないんだから説得力も何もない。
また「切り取りだ」とか「粗探しだ」とかなんとか言い訳してもいいけどさ。

(参政党ブースの裏側)
妨害勢力登場に警察も出動
さて、相変わらずな神谷代表の演説の最中、聖地・新橋ではすっかりおなじみの光景だが、妨害する勢力が登場していた。
過激派参政党アンチのような数人が罵詈雑言を叫びはじめたのだ。満を持して、「妨害はお止めください」と書かれたボードを持った党スタッフのおじ様達も結集。必死に防戦を開始する。
そのうち聴衆も、私たちの神谷さんを守るんだとばかりに、練り歩く妨害勢力に足を引っかけようとしたり、持っていた日本国旗を広げてガードをし始めてしまう。
妨害勢力から「その国旗の使い方はいかんだろw」とか言われ、心配そうに見ていた他の党員も「さすがにそれは…」と声を出してしまうワチャワチャの状況だ。
ここから最終的には警察も出動するバトルが繰り広げられてしまう。