ついに国政政党の参政党。応援弁士が河野太郎大臣”本音”を勝手に暴露していた

こ、ここからが本当の地獄だ…
黒猫ドラネコ 2022.07.17
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どうも、黒猫ドラネコです。

暑さに加え、豪雨がきていますね。毎年のようにおそろしい災害が起こっていますし、もしもの時のために皆様も身を守れるよう備えてくださいね。

参院選から1週間が経ちました。やはり議席をとってしまいましたね…。トンデモ政治団体の参政党です。まあ私は1議席は固いとは思ってましたけど。

え? 前は「議席とれない」って言ってたって? 記憶にないな…。

冗談はさておき、結果的には全国に支部を作られたのは大きかったのかもしれません。ネット上だけの支持ではそこまでの広がりがないだろうと思ったのですが、そのネットですらあまり見ない人たちも動いたということでしょう。

支持者には自然派、オーガニック好きな子育て世代が多かったとの分析がありました。そうした層は、熱心にYouTubeを見て熱狂する人とはまた違った動き方をします。口コミや地域コミュニティでの活動を展開したのでしょう。「既存政党ではダメ」「ゼロから作る」のような文句で、これまで選挙に興味のなかった層も取り込んでいった、と。

それが47都道府県にあるとなれば、カルト的なネット民と合わせて、170万に届いた得票数には何の疑いもありません。

ただ、今回の結果によって、今後はより多くの人からの「監視の目」が注がれることになります。

早くも厳しめのテイストの記事がたくさん出ており、非常に興味深く読ませていただきました。踏み込んだ内容もあって、参政党を知る上で重要なものばかり。これまで警鐘を鳴らしてきた私も勝手ながら肩の荷が下りた思いです。選挙前は大手メディアも含めてこうではなかったので。

さて、というわけで、今回は遅ればせながら、選挙最終日に聴いた奇妙な応援演説についてを。後半の有料部分では、参政党の今後について思うことを綴ります。

********

「聖地」最終演説に謎の応援弁士

「私は誰ですかっ!?」

嬉々とした壇上からの問いかけ。待ってましたとばかりに「よしりーん!」という嬌声が飛んだ。いつの頃からかは知らないが、参政党の演説ではこうしたコールアンドレスポンスのムーブが加わるようになっていた。

新橋SL広場。ここで以前、私が初めて演説を聴いた5月の頃は、聴衆が200人ほどだったと思う。

当時は雨が降っていた。スタッフが握る傘の下、共同代表の吉野敏明氏は選挙演説の始まりの地であるこの場所を「聖地」と呼んでいた。そして、「期日前には4万人でここを埋め尽くしたい」というようなことを言った。

私は参政党の候補者らの主張はバカバカしいものばかりだと思ってはいたものの、その勢いだけは馬鹿にできないと考えていた。さすがに4万人は非現実的だが、選挙最終日は必ずこの広場の様子を確認すると決めていた。

それが参政党の支持の広がりの目安になると思った。

あの時とは対照的な、うだるような太陽光線の炎天下。確実に1000人以上は集って広場のほとんどを埋めている。後ろの方では、演説の輪から離れた木陰、駅施設入り口付近の涼しい場所で、オレンジの服を着た支援者がひしめき合っていた。ほぼマイクの声は聴こえない。一体感を得たかったのだろう。はたして今、他の政党の演説でこのような光景はあるのだろうか。

冒頭で「よしりーん」と言わせたことでも分かるように、参政党のやっていることはもはや選挙演説ではなくなっていた。

オーソドックスに「最後のお願いです!」などと自ら動き回って叫ぶことなんてない。つまり「広く訴えかける」ことはとっくに放棄している。わざわざ演説を聴きに来る、投票するに決まってる人達に、「信者」に向けて語り掛けるのみだ。

「聖地」での最後の集会にもかかわらず、初めて謎のゲストが駆け付けていた。

「よしりーん!」の合唱に続けて、共同代表の吉野氏は、隣に立つ赤髪で細面の中年男性を笑顔で指して促す。

「この人は誰ですかっ!」

応援弁士で登場した赤髪の男性は…

応援弁士で登場した赤髪の男性は…

立候補者ではない。

参政党の支持者でなければ全く分からないであろう人物だ。それでも聴衆は当然のように叫ぶ。

「マレさーーーん!!」

…なんでこいつらはみんな知ってるんだ? 初めて聴きに来た人や、たまたま通りがかった人であれば確実にそう思っただろう。

このMarre(マレ)という人物は、以前にも触れた都内ノーマスク・カフェの経営者。そして、イベントや動画などでワクチン忌避を煽るバンドグループHEVENESE(ヘブニーズ)のリーダーである。現在の参政党の主軸となる人脈のほとんどは、このバンドと同カフェが主宰した「We Rise」という反ワクチン・ノーマスクイベント登壇者と重なっている。

(We riseサイトより、宣伝ロゴ)

(We riseサイトより、宣伝ロゴ)

吉野氏はこのマレ氏を「私の師匠で大ファンで本当に尊敬している」と熱く紹介し、何度も拍手を促した。

「時間ももったいないし、みんなマレさんの話を聴きたいと思うので」

いやいやいや…お前は何を言ってるんだ。最終日の「聖地」での最後の演説だろ。参政党に入れようか迷ってここに来た人がもし(万が一)いたとしたら完全に置き去りやないか。

そんなマレ氏がマイクを持ち、応援演説が始まった。

「デマ太郎大臣」と呼び”本音を暴露”

「師匠と呼ばれたら、弟子が命をかけている時に応援に来ない選択はないんです」とマレ氏。

聴衆からは大きな拍手が起きる。徐々にエンジンもかかりはじめたようで早速、安倍元首相の襲撃事件を持ち出し、「口を揃えて『民主主義への挑戦だ』と言うけど、首相の声も閣僚の声もメディアの声も全く心に響かない」と滑らかに語りだした。バンドマン兼牧師(?)らしいよく通る声である。

熱弁をふるうマレ氏

熱弁をふるうマレ氏

「なぜならば、そもそもこれだけの人がいたるところに集まっている(参政党の)選挙活動が、報道されないことそのものが、メディアそのものが言論封殺機関に成り下がっている証拠ではありませんか!」

「(聴衆)そうだそうだーーー!!」

…うーむ。参政党は、選挙を通じてこうした主張を繰り返してきた。

ともかく、参政党のことがそんなに報じられなかった理由は、1議席とれるかとれないかの単なる政治団体だったからに他ならない。選挙期間中であればなおさら、「ここがこんなに盛り上がっている」という宣伝のような報じ方はできないに決まっている。要は自分達の扱いに納得していなかっただけの話だ。

そうでないのなら、メディアを巨大な敵に見立てて信者さんを煽るお得意の手法だろう。

マレ氏はいよいよ本領を発揮。コロナとマスク社会に延々と言及した。

ジェラード屋に入って買おうとしたら「マスクのない方はご入店お断り。当店のルールです」と言われたエピソードなどを繰り広げつつ(…なんなの?普通に店のルール守れよ)

「マスクを外せと言えない人にこの国を託してはいけないと、こんな当たり前のことに気付きましょうよ!」

「(聴衆)うおおお!!そうだー!!」

さらにワクチンの「強制」については、ワンオクターブほどに上げて声を荒げた。

「自分の体の中に、長期的な治験もない薬物を入れるのが国からの圧力によっておこなわれるのは憲政史上無かった。共産主義のやることですよ。医療的な暴挙でとんでもない強制社会。民主主義の崩壊とは、このことを言ってるんじゃないですか。今こそはっきりと声に出して言うべき時であります!」

「(聴衆)うおおフォー!そうだそうだーー!!!」

うるっせえなあもう…。こんな調子でノーマスクが9割9分の聴衆からは指笛まで飛び出し、大喝さいが続いた。

もうこのあたりで私は暑さだけでなくクラクラしていたが、マレ氏は続けざま「紛争地や途上国に行くと、必ず日本人はすごいと言われる」「先人たちが築いた日本に感謝して誇りに思って次の世代に繋げないといけない」のような話を15分以上も展開。

なぜ先人たちが築いた公衆衛生の結晶であるワクチン政策はダメなの…?というツッコミを胸の奥にしまいつつ、国際的な日本人の評価がどうとか大和魂どうとかの話は、この人たちが大好きなやつだけど、個人的には特に重要ではなかった。

雑な感想しかなくて申し訳ないが、すごく雑だなと感じて聞いていた。

しかしワクチンの話でいうと、かなり問題と思われる部分があった。切り取りだとか言われたくないので、録音の文字起こしをそのまま載せることにする。

ヘブニーズ・マレ氏 「デマ太郎大臣(河野太郎氏)のところの大臣室には、うちの関係者が行きました。第一秘書が迎えてくれた。そしてこうじゃありませんかと、なぜこんなに強制的にワクチンやるんですか?(すると)第一秘書が言った。我が大臣も、つまり当時の注射大臣(ワクチン担当相=河野氏)もわたくしたち(秘書)も、『全く同じ考えです』と言ったんだよ!でも、『大臣は立場があるからワクチンを滞りなく普及するのが立場だから役割だから…言えないんです。国民のみなさんにはもう、気付いていらっしゃいますよね』と言った。こんな人が大臣だったんです!そして、自民党のある議員は僕に言いましたよ。『これはワクチン・アライアンスとの戦争なんだ、とはっきり分かっている。でも、言えない。立場があるから』。そしてこう言った。『暗殺が…こわい』と。これは本当の話ですよ。嘘をついてもしょうがない。こういう人たちが今もパフォーマンスでマスクをして民主主義への挑戦だとか、国を任せてくださいと名前だけを連呼している。これこそ茶番でしょう。こんな茶番の選挙活動にはうんざりしているのが我々じゃありませんか!」

(聴衆)「うおおおフォー!!そうだそうだーー!!」

以上、参政党の演説をお聴きいただきました。皆さま本当にありがとうございました。お疲れ様でした。

とりあえず河野太郎さんは、すぐに第一秘書に事情を聴いた方がいいし、もしマレ氏の嘘だったら秘書の名誉のためにもきちんと対応した方がいいと思う。これは公の場である選挙演説で発せられた話なのだ。

強引かつ好意的に解釈するのなら、「強制」に限った話なら多少は納得いく。つまり本来「ワクチン強制」などはどこにもないのだが、やおら「強制するなよ」と強く抗議してきた相手を宥(なだ)めるために、第一秘書さんがやんわりと同調したと。

しかし仮にそうであっても、この話をそのまま分かりやすくすると、河野太郎大臣(当時)は「本意ではないけどワクチンを強制するのだ」と考えていた(けど黙っていた)、との秘書の「暴露」を広める形になってしまっている。しかも選挙の演説で。

驚きだ。あれだけ頑張ってワクチン普及に尽力してくださった方が、実際には、わ、われわれ国民を…うっ…ずっと…だ、だまして…よくも強制的に…うっ、うう…教えてくれてありがとうマレさん…参政党さん…一生ついていきます。

みんな!早く目を覚まして!

ってなるかボケ。

あーもうむちゃくちゃだよ…。

このあと吉野氏がこのマレ氏の応援を受け、「説得力があった。魂にどれだけ誠実であるか」とかの熱い思いを語ったりしていたが、普通にどうでもいいと思ったし、もう未来の自分がこれを記事に書くのめんどいだろうなと思ったので録音も止めた。割愛する。

芝公園でのマイク納めは1万人超

同日夕方。私は勤務の都合で少しだけ場所を離れた後に、いよいよ東京タワーの真下でおこなわれる芝公園での参政党のマイク納めに向かった。

短い滞在時間なのは分かっていたが、とりあえずどれだけの人が来ていたかを確認するためだ。

芝公園でのマイク納めの様子

芝公園でのマイク納めの様子

たいへんな人出だった。

後で1万人以上と知ったが、やはり新橋の比ではなかった。年齢層で言えばやはり中高年が多く、子連れもいた。マスクをしていないのは当然で、かわりにグッズやオレンジ色のものを身に着ける人も多かった。

聴衆の反応がいいのも相変わらず。本当に分かっているかどうかは置いといて、「そうだー!」といちいち言ってくれる。実にいいお客さんだ。演説者も気持ちがよくなるのは間違いない。

こうなると当然、結果的に1議席だったとしても、もはや政権奪取を視野に入れたも同然のように言う者も出てくる。

武田邦彦氏なんかは「次の選挙で野党第一党を」と語っていたし、松田学氏が「安倍さんの志を継ぐのは参政党ですよ」と語って聴衆が熱狂し…。

ノリノリで語る松田学氏

ノリノリで語る松田学氏

一応、そうしたキツいシーンだけはいくつか記憶して、私は夜勤へと戻った。

どっと疲れが出た。これは翌日の投票は無理かもしれない。期日前投票に行っていてよかった。

私は今回の選挙期間中、動画なども含めて参政党の演説ばかりをかなり多く聴いてきた。投票の際にも頭によぎったのは、そんな参政党の熱い演説や熱狂する人々の様子だった。

決して流されたわけではない。しかし自分の頭で考えて強い意思を持ち、真剣に色々と振り返って検討した結果、私は比例では「参政党」と書いて投票した。

わけねえだろ。

【追記】光の同志である陰謀論・オカルトライターの雨宮純さんも、当日の様子などを書いています。詳細はこちらをぜひ!

(以下は有料登録で全文読めます)

黒猫の見解「参政党が追い込まれる時」

かくしてトンデモ政治団体だった参政党は議席を獲得し、政党要件をも満たした。

虚しさを押し殺して一つ褒めるとすれば、マイノリティを煽った人集めの手法、とりわけYouTubeやTikTok動画などで主張(中身はともかく)を広げた活動だ。

今後、多くの政党も見習う必要があると思う。政治不信の人や、政治に疎い方々にとっては「選挙に行こう」と興味を抱かせるには十分なものだった。

参政党のキャッチコピー

参政党のキャッチコピー

だが、改めて言うまでもなく、それ以外の点では参政党には何一つも賛同できるものはない。

バリバリの反ワクチン界隈、自然派スピ系、ニセ医療との繋がりなどの中から演説中に繰り出された候補者の数々の与太話は、呆れるものばかりだ。

応援弁士の発言とはいえ、前述したような河野太郎大臣(当時)秘書の発言など、根拠不明な話ばかりを国政政党として発しても許されると思ったら大間違い。

これからさらに世間の目は厳しくなる。

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