【傍聴記】国を相手に裁判開始。反ワクチン勢も応援に駆け付ける
新型コロナワクチンの接種後に亡くなった方の遺族や接種で健康被害を受けたとしている人らが国を訴えた裁判が19日午後、東京地裁で開かれた。
原告は国に対し、9100万円余りの賠償を求めている。
ワクチン被害者の心情陳述
この日は第一回の口頭弁論。
事前に裁判所内で傍聴整理券が70枚ほど配られ、およそ100席あった103号法廷は開廷10分前までにほぼ空席が目立たなくなり、最前列の報道記者席も全て埋まった。
原告側は弁護士含め10人、被告の国側は同6人が出廷。冒頭で原告側から「ワクチン被害者」として氏名等が秘匿された4人からの意見陳述があった。
いずれも証言台からで、まずは女性が、ワクチン接種後に亡くなったという夫の氏名と年齢と接種日、死亡日を読み上げ、遺体の様子について「警察には死斑だと言われたが不審に思った。何度もお葬式に行ったことがあるが見たことがないものだった」と述べて、「国やマスコミの情報は不十分。主人は無念だったと思う。責任をとってください」と訴えた。
次に39歳の息子を亡くした男性が「河野大臣、京大の山中教授、専門医らのことを信じて判断して2回目を打って亡くなった」「国が全てのメディアを使い、接種を薦めただけでマイナスの情報を周知と広報しなかったことは重大。死に至ることもあると書かれていたら慎重な息子は打たなかった」と話し、「一時金が同一世帯の者しかもらえず、独立した者の遺族がもらえない制度は理不尽」などと主張した。
続いて車いすの男性。ワクチン接種後に重い障害が残ったと述べ、「主治医からワクチンが原因と言われた」「国は適切な情報提供をしていない」「人体実験をしていると言わざるを得ない。私たちは犠牲者」「謝罪と補償を求めます」などと発言した。
接種直後に倒れて体調不良に悩み、生活困難で借金をして苦しんでいると主張する女性は、「医療機関を多数受診してもデータが少ない、心因性と言われてきた」などとして「河野太郎大臣にワクチン後遺症のことを訴えたらSNSでブロックされた」と証言した。
最後に原告席から青山雅幸弁護士が「切実な声が論述されました。国が今まで真摯に向き合ってきたことがあったでしょうか」と訴えかけ、「菅総理大臣(当時)と田村厚労大臣(同)が国民へ接種の周知と広報に取り組むとして莫大な予算を投じていたが、死亡や深刻な障害をもたらす副作用のことは報じられなかった」とし、河野担当大臣(同)が人気ユーチューバーと対談したことなどを持ち出して「若い世代には接種のメリットが少ないにもかかわらず勧めた」「ワクチンを打たなければ、おそらくコロナでは後遺症がなかった」「軽症化が進んでも国や厚労省の責任が問われず、ワクチンの見直しもされない」「被告は国民への義務を果たすため公明正大な訴訟活動を、裁判所は十分な審理をおこない、司法に課せられた使命を果たしてほしい」などと述べた。
なお、事前に被告側から裁判長へ、これらの原告の陳述について質問(心情であることの確認?)があり、5人の陳情を終えたあとに裁判長が「進行のため必要な手続きがあったものと理解している」とした。
また、裁判長から原告に「訴状に死亡給付金、賠償の対象で『権力行使』とあるが、被告(国)のどういう行為を指すのか。被告の答弁にも関わるので明確に」との指摘があり、原告側が1カ月後をめどに提出すると回答。
それを受けてからの国側からの答弁はさらに2カ月後とのことが確認された。
年内に103号法廷を使える余地がないそうで、進行協議の機会を設けるとのこと。それが12月頭になるようだ。
以上のような内容で、第一回期日は20分あまりで終了した。
裁判所内での反ワク集団の様子など
この傍聴は当初は抽選の予定で、傍聴運が全くない私は身構えていたが、当日に確認すると希望した全員が入れることになっていた。
予想していたよりも原告の応援に集まった人は少なかったようだ。そして見渡した限り、おそらく傍聴席の全てが反ワクチン思想の人で埋まったわけでもなかったと思う。
以前、陰謀論集団・神真都Qの最初の代理人を務めた弁護士らが国を訴えたケース(即棄却)では、煉獄カズアキ(現コロアキ)や陰謀論インフルエンサー「自分の頭で考える人」らを筆頭に、そういう感じの人達が多数集結し、傍聴券を得られなかった反ワクさんが裁判所前を埋め尽くすなど騒然としていたが、今回は来た全員が法廷に入れるほどの数だった。
開廷前に早々と駆け付けていたのは、反ワクチン寄りの報道を積極的にしてきたCBC(中部日本放送)アナウンサー。名古屋から原告の密着取材で来たようだ。
関西からは、イベルメクチンを推進してきたこの界隈の有名医師(現在は歌手?)が現れ、不慣れなのか裁判所入り口で時計やイヤホンを外すように言われて何度も止められていた。
感染症専門医への誹謗中傷で訴えられて本人訴訟(来月判決)に臨んでいる反ワク女性が、そのイベルメクチン医との再会を喜んで駆け寄るなどしてはしゃいでいた。
最近の反ワクチン運動の主軸でもある「国民運動」からは元自衛官の佐藤和夫氏らの姿もあり、その場で名刺を交換し合うなどしてワイワイと歓声が上がっていた。
そうして開廷前の裁判所内ロビーの一角は一時、原告の応援に来た反ワクチン集団のたまり場となった。
スマホで撮ろうとして注意される様子(裁判所敷地内は撮影禁止)も確認できた。マナーがいい集団とは言い難く、周囲の人も困惑気味。
ただ、その集団もさすがに法廷内に入るとみんな空気を読んで静かだったのでホッとした。
(以下のサポートメンバー限定部分は反ワクチン活動についての黒猫の所感など)