今度は総務省前にジョーカー議員ら。「日本人皆殺し計画」信じるデモ隊は口汚く叫び続け…
すっかり厚手の上着がいらなくなった3月25日の夕刻。
「財務省解体デモ」なんてもう古い! 時代は総務省前だ!
誰かがそう言ったかは知らないが、アレな感じの人々が続々と集まっていた。ピーク時でおよそ120人も集結したのは「情報流通プラットフォーム対処法(通称・SNS規制法)」に反対するデモの参加者だ。
ジョーカー議員らが登場
開始予定の午後6時前。総務省前の狭い歩道は動画配信者らが陣取っていた。
そこに颯爽と現れたのは日本保守党(元祖)の石濱哲信代表、そしてジョーカー議員でおなじみの河合ゆうすけ戸田市議らだ。

(総務省前に到着し歓声に応える河合ゆうすけ戸田市議)
彼らは「言論の自由を守る会」として今回のデモを主催。
ターゲットになった総務省は中央合同庁舎第2号館内にある。警察庁なども入る建物で、セキュリティは厳重。なんというか、普段より安心して見ていられる。
ふいに、私が最も信頼するウォッチャーK氏から「今日はあんまり面白くなさそうですね」みたいな声をかけられた。食い気味に「もう見た目で分かりますね」と同調してしまった。
「そんなことないよ!」と強く言えない自分がもどかしく、そして切なく、今年初めて感じる暖かい春の夕陽が優しく頬を照らすのであった(なんなんだこの文章は)
てなわけでデモ開始だ。
マイクを持った河合議員は「今日は『しばき隊』いないね?」と笑顔で第一声。同議員の街宣はカウンターデモなども頻繁におこなわれ、つい先日もさいたま市内でのクルド人の祭り「ネウロズ」に入り込もうとして衝突があったばかりだった。
妨害がないことを確認した河合議員は、まず4月から施行されるSNS規制法に「中国や北朝鮮みたいに言論統制をされる国になる」と懸念を示した。
そして「SNSの力で我々は真実を知れるようになった」「今までなら兵庫県もメディアの偏向報道と組織票でド左翼の稲村が当選していた。SNSの力で国民が真実を知ったから斎藤知事が勝った」などと話し、「自分達に都合の悪いことはすぐ(法整備を)やる政府を許すことはできない。今日は思いっきり1時間ぐらいずっとシュプレヒコールやってやりましょうよ!」
はしゃぎ気味な大声で、聴衆も「おおー!」と沸いていた。
どうした石濱氏
何人かが演説したが、ここは当レターでは毎度おなじみ石濱哲信氏をピックアップしたい。
超ド級の珍説を撒き散らしながら話がやたら長いことで「陰謀論校長先生」の異名を持つ御仁である。
やはり元祖・日本保守党の党首として許せない省庁なのだろう。
「総務省は私が日本保守党を名乗っていた時に、百田新党(こちらも日本保守党)を承認したんです。どうして同じ名前をつけられるんだと抗議したら口ごもって終わってしまいましたよ」
なんと担当者の名前まで明かしながら怒りを表明した。

(演説する元祖・日本保守党の石濱氏)
今回のデモについては「歴史に残る大きな言論封殺に対する危機を訴えて活動。歴史に残る一日」と話す石濱氏。
期待(?)を裏切らず、「民主主義や多数決というのは、『彼ら』が私たちの安定した国を壊すために作った隠れた作戦の言葉です」「いわゆる金融ユダヤの人たちが方針を多数決で決めてると思いますか?決めてませんよ。彼らは独裁にある」とかなんとか言っていた。
聖書に書かれた何やらで決めているのだそうだ。ふうん。(ツッコめよ)
いよいよ勢いが増したか「世襲の政治家も朝鮮人で今の経団連会長も朝鮮人」と断言する石濱氏。しかし、このあたりは平常運転なのだ。マジでこうなのよいつも。
「はっきり言います。なぜ朝鮮半島の人間が私たち日本人の命と財産を奪っていくのか、最後に奪われるのがこの『情報』です。許せないという言葉も上げられなくなる」と、新法への憤りを示してスピーチを締めた。
…終わり!?
み、短い。およそ7分間ほどか。以前までは余裕で20分以上は話していたはず。どうした石濱氏!
すっかり日は落ちたが、もしかして比較的早く帰れるのではないか。そんな警備や公安の皆さんの淡い期待は、実はこの後すぐ粉砕されてしまう。
「日本人皆殺し計画」と他党への珍説
集団は「言論弾圧反対ー!」「言論の自由を守れー!」などとシュプレヒコールに入る。
河合議員や石濱氏らが拳を突き上げ、参加者も嬉しそうに呼応した。
動画配信者が熱心に撮影している。その前を「SNS規制を許すな」と手書きした小汚い布を持って何往復も走ってアピールする男がいたりと、なかなか見ごたえが…まあ、ないな。

(拳を突き上げる石濱氏、河合議員ら)

(総務省に向かって叫ぶデモ参加者)
およそ1時間後の午後8時から別の場所で講演会との案内があり、デモは解散の流れ。
片付けが始まって河合議員が参加者に応対し、にこやかに記念撮影や挨拶などしていた。すると、そのマイクから信じられない言葉が飛び出す。
「まだやりたい? じゃ、もう少しやる?」
日ごろ財務省前に来ているような欲求不満な方々(だいたい同じメンツ)が、こんな短時間の叫びで済むわけがなかったのだ。
…よかったな参加者たち。
ここでマイクが渡ったのはやっぱりこの人。
「ここはぜひ石濱先生に」と呼ばれ、私と警備の皆さんの胸中「なんでだよ」のツッコミは届かず、石濱氏のアンコール公演が満を持して開幕である。
「2015年に非常に厳しい現実に気づきました。それは『日本人皆殺し計画』です。日本人皆殺し計画が進んでいるのに気づいたんです」
「残念ながら私たちが税金を払って養っている公務員たちは一人残らず、日本人を皆殺しにする計画に参画しております」
はあ……。警備しながらこんな話を聞かされる警察の皆様が気の毒で仕方ない。(いつも本当にお疲れ様です)
歩道の真ん中は歩行者優先で空けられているが、相変わらず小汚い布を持って何往復もする男がいて、しかも前を横切るのを躊躇するような石濱氏の笑いナシR-1グランプリは、30分も途切れず展開された。
さっきの短い演説は一体なんだったのか。
ただ、「こうでなくちゃ」とちょっぴり思う自分もいる。悔しい。
「(ワクチンが)mRNAと聞いた途端に遺伝子組み換えで殺人してると言った。証拠を集めてから言っても遅いから意味がない」
「NHKの中には中国の公共放送があってインチキ放送で我々の財産をとっていく」
「帰化した裁判官や検察官がいるから外国人犯罪が不起訴になる」
と、まあ、このような石濱氏的に色々な石濱氏的な様々が石濱氏的に惜しみなく披露されるのだった。(ちょっとは惜しめよ)
さらに、政治団体・日本保守党(元祖)の党首としても黙っていられない様子で、アレなエッセンスを詰め込んだ言葉の刃は他党へと向く。
「国民民主党がもてはやされていますが、なんで彼(玉木代表)が日本人皆殺しと公言しているワールドエコノミーフォーラムのダボス会議に行くんですか?おかしいでしょう」
「維新の党は何のため作られたか。日本を占領して皆殺しにした後、愛知県から西を全部、中国共産党の東海省にするんです。その省の都が大阪だから大阪都構想。そのための維新の党なんです。だから橋下(はしげ)。橋本じゃないですよ。橋下なんです。それを指導したのが竹中平蔵で…」
このような「根拠?なにそれおいしいの」みたいな話をデモ参加者は信じるのだろうか。いくらなんでもこんな…いや待て、ウンウンと深く頷き「そうだー!」とか熱心に叫んでしまっている。
ああもう…。
そんな石濱節の最中、中学生らしき男の子が一人、周りのアレな大人達に「感心な子だ」みたいに肩を抱かれ色々と「悪の省庁」について聞かされたりもしている。
ああ、もうダメだ。保護者は何してんだよ…。この子はSNSで見てこんな場所に来ちゃったんじゃないのか。
SNSを規制しろ。
過激な叫び
石濱氏の二度目の大演説が呼び水となったか、ややおとなしめだった集団は過激化した。
反ワクチン街宣でよく見かける必勝ハチマキにサングラスの茶髪男性が叫び、自前の拡声器を持った数人がデモの最前列になる。

(日が落ちてから盛り上がりを見せたデモ)
いつの間にか財務省前にもよくいる方々も集結。声も枯れよとばかりの大音量で、総務省の庁舎に向けて雄たけびを上げた。
「お前らみんな朝鮮人だってのはバレてんだよおおッ!」
(以下はメンバー限定。差別的な罵声、その後の集会で披露された講演内容、そして起こった「潜入者」とのハプニングなどを書いています。興味のある方はサポートメンバー登録してご覧ください)