「覚醒」の中高年・高齢者、早稲田をデモ行進。「我々の命を奪おうとしてるんだ!」どんどん濃くなる反ワク大会(前編)
快晴に恵まれた秋分の日。
午前9時を過ぎ、少年野球の試合で賑わう戸山公園の一角に、中高年・高齢者たちが集まって色んな旗や横断幕を準備し始めた。
毎度おなじみ、国内の反ワクチン・陰謀論集団が一つになった通称「国民運動」だ。

(戸山公園の一角を埋めた反ワクさんたち)
東池袋、日比谷、有明、日比谷・霞ヶ関ときて、新宿・早稲田で迎える第5回大会。今回のネタは「エボラウイルス研究施設を作るな」だそうで。
従来の反ワクの主張にそれを加え、「財務省解体」「自民党解散」「小池都知事辞任」「多文化共生反対」「WHO脱退」「国連も脱退」など色とりどりのガラスみたいなアレな主張を胸に、「許せない!こうなったらデモ行進だ!」と昨年から続く、いつものやつだ。
有明でのサクラ騒動(デモ参加者をお金で水増し)から早くも1年が経過。まだ尾を引いているらしく「金銭授受による参加禁止」が掲げられ、今回は若者の集団は見かけなかった。
開始前の様子と参加者数
公園入口の受付では、1000円以上の寄付で「WHO脱退」などがデザインされたうちわをもらえる。行進後、うちわに林千勝氏(作家)らのサインがもらえる仕組みになっていた。
物販のテントもあり「立ち上がれTシャツ・極悪テドロス(WHO事務局長)バージョン」が6000円。純粋に任意の寄付を募って缶バッジなどを配っていた以前に比べ、商売が露骨になっている。

(1000円以上の寄付でうちわがもらえる受付)
集合時間の10時には公園の一角が埋め尽くされた。
「●●梯団の参加者こちら」と指示が飛び、ステージ前に体育祭みたいに並ばされる中高年・高齢者たち。
それぞれの梯団は、反ワク・陰謀論をネタに頭がよくな…失敬、ピュアな方々を煽って動画再生数を稼ぐインフルエンサーの養b…失敬、ファンで構成される。
4人横並びがおよそ100列ずつ、7、8隊を形成。目立っていたのは「萌絵(深田)梯団」で、揃いのTシャツを着て統一感があった。

(萌絵梯団の看板)

(並ばされる萌絵梯団の皆さん)
事前情報では、警備の関係上4000人限定の行進とあったが、梯団数と集合場所の面積から考えても参加者数は4000よりかなり少なかった印象だ。
それでも十分な迫力はあったので、今度こそ正確な人数を発表して欲しいと願っていたが、参加者の投稿ではやっぱり盛られて「1万6000人以上」「3万人か」など倍々ファイト。
うん、知ってた。
「覚醒」のステージ
出発前の集会がスタート。
司会者の女性が「近隣住民が開催を不安に思っていたけど、気持ちは一緒ということで理解してもらえた(?)」「物騒なデモと思われないよう愛を持って」「子どもは日本の宝なので行進中は怖がられないよう優しく声をかけて」「コールは行進が始まってからにして」などの注意事項を述べていく。
「ワクチン接種で亡くなった全ての人に捧げます」として黙祷がおこなわれた。
が、静寂に包まれる公園の後方から「寄付お願いしま~す」「テドロスTシャツ~」など受付の声が聴こえてくる。黙祷やれよ。

(司会者と参加者)
「覚醒」と書かれたステージに立って先陣を切るのは「国民運動」共同代表の林千勝氏、井上正康氏コンビだ。
メインテーマ「エボラ研究施設反対」は林氏の肝入り。しかし、サクラ騒動や参政党躍進で(参政党は日和るのでこういう集会に党として出ない)集客が不安だったのか、痛恨のやらかしがあった。
林氏はX上で自ら、デモ宣伝を色んな人のリプ欄に貼りまくり、それが影響したようでアカウントを凍結されてしまっていたのだ。
しかしステージ上の林氏は「言論統制が厳しい。私も凍結されました。しかし皆さんがイーロンに訴えてくださって解除されました」と感謝。
そして「政府が言論統制したい理由ははっきりしています。オールジャパンでこんなに多くの方が集まるのを阻止したいんです。だけど今日、皆さんは集まりました!」
その叫びで聴衆を沸かせ、これにて一件落着である。
いや、まだまだ煽るよ林センセイ。
「こないだ落選した武見やなんとかファルマだけじゃないんですよ。自民党も、立憲から国連も国際組織、移民組織もJICAも、アフリカ開発会議も知事も市長も全部が一体で我々の命を奪おうとしてるんだ!このことが露見するのを恐れている。そして国民が動き出すのを恐れている。動き出そうじゃないか!」
そ、そうだったのか…全てが敵…!色んな組織と誰か分からんが知事も市長も…
これに参加者も火がついたようで「うおおおー!」と大盛り上がりだ。(いいお客さんやでホンマ)
御年80にして反ワクさんの絶大な支持を受ける井上先生も、相変わらず元気。
「なんでも陽性になるPCR検査で恐怖を煽られプランデミックが起こされる」とかなんとか言って、「日本国史上始まって以来の、最後の関ケ原のコーナーをズリ落ちていきつつある中で、日本がどう踏みとどまるか世界が見ています」と独特の表現を放ち、歓声を浴びた。

(井上氏と林氏)
それぞれの梯団代表やゲストも登壇。主な人達のお話をざっくり紹介していこう。
自称キチガイ医の内海聡氏は無所属連合を立ち上げて戦った参院選を振り返り、「次(の衆院選出馬)はないと思う。でも小池とはまた戦いたいと思っている」と都知事選の再挑戦を匂わせた。
同じように日本誠真会を創設して選挙に出た吉野敏明氏も登壇。
「日本は滅びるかもしれない危機的な状況。エボラウイルスがばら撒かれるのもワクチンを接種するのもあってはならん」と話して、「国連すら脱退した方がいい」と述べた。
その吉野氏とステージに立ったのは元自衛官の矢野義昭氏だ。
「ビル・ゲイツによる人口削減」も持ち出し、「エボラ出血熱は西アフリカ中心だがアフリカホームタウン構想をなぜ今の日本で言うのか考えると、意図的に国民がモルモットになろうとしている」などと語った。
新キャラ的存在だったが、主役に躍り出そうな陰謀論値(陰謀ローンチ)の高さである。

(吉野氏と矢野氏)
この集団にデモのノウハウを授けた新党くにもり(チャンネル桜)水島総氏は、「ジャパンがホロコーストされる時代が来ている」として、「エボラ出血熱も戦争も移民も全て繋がっている。移民政策は体を張って阻止する」と宣言。
「グローバリズムと戦う精神科医」の田中陽子氏も「日本人が移民に置き換えられようとしている」と大声で述べ、「多文化共生ありきで巨大資本が投入されています。その先に日本人の穏やかでささやかな幸せな暮らしがあるでしょうか!?」と問いかけて参加者から「ナーイ!」の鮮やかな合いの手を引き出した。
なお、最も目立っていた深田萌絵氏は壇上から「萌絵梯団」Tシャツの売り上げのうち10万円をこの集会に寄付すると言い、喝采を浴びていた。
これに対して私の傍で見ていたおじさん二人組が「やっぱりアイツ儲けてんな」「あの子は怪しいよね」とボソボソ言い合っていた。
何かと疑り深い人たちはお金の話が出るとこうなるのかもしれない。微笑ましい一幕である。

(デモ参加者)

(掲げられたプラカード)
(以下の限定部分では「え、ここはスルー!?」という行進の模様、終着地で行われたメインイベントや、プラカードや仮装などを取り上げた特別ギャラリーを届けします)
いきなりクライマックスのはずが…?
さあ、ステージには盛り上げ隊長の池田としえ氏(元・日野市議)が登場。
「人類の悠久の歴史の中、世界中の人々にワクチンという毒物を打ちながら来た中で、本当に気がついている人はごく一部。助けようと立ち上がる人々もごく一部、そのごく一部の私たちが立ち上がる今日の日に何を未来になすべきか…」とかなんとか声を張り上げたが、出発時間になってしまい、梯団が続々と公園出口へと向かう。
池田センセイの大演説を制止して林氏がマイクを奪い、「第一梯団の出発です!」と高らかに宣言。
おなじみホラ貝の「プオーン」もとどろく中、池田先生は「ハイ・ハイ・ハイ・ハイ!やれやれやれやれ~それそれそれそれ~!」と踊りながら、出発する同志を鼓舞していった。(何を見せられてんねん)

(池田としえ隊長の鼓舞)
公園を出たデモ隊は、いきなり道中のクライマックスを迎える。
箱根山通りを下ってすぐ「日本版CDC(米国疾病予防管理センター)」とされる国立健康危機管理研究機構の庁舎が立ち並んだ間の狭い車道を行くのだ。
「さあ声を上げる時…」
歩道にはウォッチャー勢や公的機関の撮影係が数人、絶好のスポットとして固唾を呑んで見守る。そんな中、悪の枢軸(と思っているはず)の建物に見おろされたデモ参加者たちは
あれ……?
激しい罵声も何もナシ。う、嘘やろ…。なんでなんで??