<詳細レポート>参政党、寂しい客入りの春フェス「敵はディープステート」「自民党は参政党が正しいと思っている(?)」
桜満開の隅田川沿いで、夕刻開始の酒宴に沸く人々。すぐそばで、まさかこんな集会が開かれているとは思いもしなかっただろう。
4月5日(土)、墨田区役所に併設する「すみだリバーサイドホール」にオレンジ色のグッズを身に着けた中高年が続々と吸い込まれていった。
参政党・東京ブロックの政治資金パーティー「春フェス」の開催だ。
18時から21時まで、主に都議選に向けた決起集会の様相。特別講師のトークなどが組まれていた。
いつも通り仕方なく参加させていただいた次第だ。「講演中の撮影はご遠慮ください」とされた門外不出の状況をレポートし、感想を述べていこう。

(会場入り口)
寄付叫ぶ人々、おにぎり販売
桜の下でオレンジ旗を掲げる邪魔なおっさんなどを横目に、いざホールに入場。
私の後ろをオレンジ色ジャンパーのおじさんが通り過ぎ、背中に「立ち上がれ」とかなんとかデカく書かれていた。慣れているとはいえ少しチビりそうになった。
受付では予約した名前を確認され、再入場の時に提示する紙リストバンド(もちろんオレンジ色)を渡された。付けるのがツラいからポケットにしまう。
定員650人の会場はパイプ椅子が並べられ、組み立て式ステージがあるシンプルな造りだった。
席を数えると全部で328ほど。開始時間が迫っても空席が目立つ。最終的に250人もいれば御の字で、過去のイベントと比較すれば寂しい客入りだ。

(開始5分前の会場)
チケット価格は一般席1万円(当日券)が最安。集会前には、隅田川を往来する屋形船での党ファンへのおもてなし的なこともやっていたそうで、参加費2万5000円だ。ひええ。
そして会場最前列のダイヤモンド席は10万円という高額である。ひえええ。
椅子の背もたれに「ダイヤモンド席」「ゴールド席」などと紙で貼られており、一般席との違いは感じなかった。グッズなどが特典で付くらしいが、これで数万円の差は…。
なお、屋形船も高額席も、やはり満席にはならなかったようだ。
会場後方はいつもの物販コーナー。神谷宗幣代表の書籍や、参政党街宣車ミニカー(4000円!)などが売られている。
「外国資本がどうちゃら」と言うくせにTシャツがMade in Chinaだったことをいじられたせいか、純国産に切り替えて値段が5000円にまでハネ上がっていた。ニヤニヤしてしまう。

(グッズ販売場)
横の寄付ブースでは、スタッフのおば様たちが「1000円以下なら名前を書かず寄付できます!1000円札をサクッと入れるだけで大丈夫です!」などと叫んでいる。どういう声掛けだよ。
ボックスに札が投入されるたび「ありがとうございまーす!」「わー!」の歓声と拍手が上がる。
相変わらず、ここは集金への「圧(あつ)」がこわい。
さて、イベントは夜まで。夕食をどうするか考えた参加者も多いはずだ。
ご安心を。会場内で、無農薬米おにぎり2個セットが大量に売られている。話のタネにと様子をうかがって値段を確認してみた。
ななな、なんと驚愕だ。

(おにぎり販売)
な、700円だと……!?
そもそも参加費1万円も払っていることを考えれば、やけくそで買えなくもないが…。
いや待て待て。こんな冷えたおにぎり2個を700円で買わせる奴らにこれ以上儲けさせるのはいかん。目を覚ませ俺。おはよう!やかましいわ。
嬉しそうに我先にと買っていく参加者たち。「お前は買わないの」みたいな目線に耐え、私だけは空腹を我慢して終了後にうまいメシを食いに行くと心に決めたのだった。
「敵はディープステート」
さあ、いつも通り君が代斉唱から開幕だ。
司会は党所属の区議会議員。つばさの党やNHK党などにターゲットにされていた時期に、過去のマルチ商法関係者との関わりなどを探られていた人物だ。
今やすっかり攻撃も止んだもよう。任された司会の立場をエンジョイしていた。
まずは衆議院議員の吉川りな氏の挨拶から。「選択的夫婦別姓に反対」の主張で国会で頑張っているとの報告などがあった。
続けて6月に迫った都議選の候補者4人が登壇してスピーチ。党内で「都政改革委員」と呼ばれる方々だ。
壇上では目に涙を浮かべ、「パンデミックが始まってすぐ茶番だと思った。ワクチン反対を妻に分かってもらえず離婚した。そんな時に参政党が現れて人生で初めてと言っていいぐらいワクワクした」的なことを語る者までいて、ものすごいアレな感じだ。
こんなん議員にしていいわけねえだろ。
せっかくなので、ここで全員の顔や名前や主張を紹介…する必要は一切ない。割愛する。
党所属の都議はいない。東京各地の区議や地方議員をじわじわ増やしてきただけに、初めての都議選に力を入れたいらしい。
有権者の皆様には賢明な判断をお願いしたいところで
いや、ごめん。もうはっきり言うわ。参政党の都議なんていらない。4人全員きっちり落としてほしい。
続いて、オレンジ色の着物で区議会議員の女性が司会で登場。ここから「東京の未来を考える」とかなんとかで「増加する外国人犯罪」についての講演だ。
都政改革委員と並び、ゲストの坂東忠信氏が登壇。警察で18年の勤務経歴があるという坂東氏はX上では保守系インフルエンサーと化しており、反ワク・陰謀論など真偽おかまいなしに引用するイメージがある。
全体を通じて事実か誇張か分からない話が多かった印象だ。外国人犯罪者が不起訴になることを「左翼がハードルを上げている」とか「通訳がいないから」みたいなことを語っていた。
プロフィールが確かなら23年前に30代で警察を退職したようだが、そのぐらいの経験で在留外国人捜査の裏話などをベラベラ披露しちゃう人が今も警察にいなくてよかったと心から思う。
個人的には参政党に加担するところも含めて尊敬するところが全くない。
短い休憩時間を挟み、参院選の候補者「国政改革委員」たちが登壇。
党の元代表の松田学氏の姿もあった。大チャンスだった前回の衆院選すら自ら開拓したブロックに別の候補者を立てられ、不遇の時を過ごしておられる御仁だ。
そんな松田氏は壇上から「簡単なことしか言ってません。敵はディープステートですから。敵は海外勢力なんです結局」などと高らかに宣言していた。
あんたマジでそういうとこやぞ…。

(元代表の松田学氏=中央、2023年夏撮影)
「ディープステート」発言を壇上で聞き、初めて参政党からの出馬を決めた女医さんがほんの一瞬だけ納得がいかないような表情を浮かべたのを私は見逃さなかった。
あなたは「陰謀論は分からない」みたいな否定的なことをブログに書いてたもんな。
(以下の限定部分では、参政党なりのトランプとの交渉指南なども飛び出し、軽妙なトークに拍手が広がったコーナーの詳細と黒猫の雑感などをお送りします)
「自民党議員はみんな参政党支持」…?
さあ、お待ちかね本日のメイン。神谷代表と田母神俊雄氏によるトークライブだ。
田母神氏は「77歳になりますが、76歳にしか見えないと言われます」の持ちネタ、自虐や小ボケも披露し客席を笑いで包んでいった。上機嫌な元航空幕僚長からの「参政党が伸びないと日本はよくならない」に喝采が起きる。
壇上の二人は椅子に座り、40分以上も語り合った。
まず神谷代表が「自民党には参政党ファンが多い。いろんな先生がやって来て『応援してる』って言うんです」と、会場(私以外)を喜ばせた。
「皆さん心の中では参政党が正しいと思ってる」のだそうだ。選挙で議席を伸ばせば「雪崩のように自民党から人が(参政党に移って)来ると思う」と神谷代表。
続けて「だけど参政党みたいなことを自民党で言ったら公認が取れなくなりますよね。大臣でそんなこと言ったら、撃たれちゃうんですよ…」と会場(私以外)を「ああ…」と震撼させた。そして