【傍聴記】医師へのSNS投稿で賠償命令。反ワクチンさんが本人訴訟で主張したこと
感染症専門医の岡秀昭教授がSNS投稿者の女性に損害賠償を求めていた訴訟で、東京地裁は19日、女性に24万2776円の賠償命令などの判決を言い渡した。
岡教授は埼玉医科大学総合医療センター総合診療内科・感染症科教授。
メディアを通じてコロナ禍での医療情報などの発信を続けていく中で、いわゆる反ワクチンのアカウント群のターゲットにされてしまい、理不尽な誹謗中傷や行き過ぎと思える揶揄を現在も受け続けている。
本人訴訟
投稿者の女性はワクチン接種に反対の思想を持ち、岡教授らを名指ししての不穏な投稿を1年半ほど前から繰り返していた。刑事告訴もされ、書類送検されているが起訴か不起訴かは不明だそうだ。
こうした状況にもありながら、この投稿者は弁護士をつけずに岡教授との裁判に臨んでいた。
本人の口からどのように反論するのか気になった私は、第一回期日からずっと傍聴に参加してきた。
ちなみに「本人訴訟」の割合は日本では意外と高いようだが、弁護士をつけなければ裁判ができない国もある。
東京大学社会科学研究所の『本人訴訟の分析(2021年)』によると、「言いたいことが言わせてもらえない」「状況が分からない間に進んでいる」「結果に納得ができない」のような感想を持つケースが多いそうだ。
傍聴初心者の私にとって「被告が代理人をつけない」裁判を見るのは初めてで、実に興味深いものだった。
主に双方の書面の確認ばかりの珍しくもない民事裁判のやりとりの中、しかし被告なりに独自の主張を展開しようという意図は随所に見えた。
それらは争点とは全く関係ないものではあった。
そして、書面にはあったのかもしれないが「ワクチンの害」などについて法廷で陳情する機会も全くなかった。
ただ内容はともかく、自ら発言するという度胸だけは、皮肉でもなんでもなく誰にでも備わっているものではないとは思う。弁護士費用の節約ということでなければ、よほど自信があったのだろう。
以下に記していくのは、私の目から見た裁判の様子である。
匿名アカウントを用いた一般人である被告のプライバシー保護の観点からも、情報を全公開はしない。あくまでも私の目線からのレポートで、傍聴席からの所見の一端を述べるのみだ。
これ以上の詳細に興味がある方は当事者の発信を待つか、裁判記録を閲覧してほしい。
内容としては、第一回期日での印象的な出来事、そして被告が結審前の「切り札」的に、原告側の「疑惑」を追及しようとしていたことなどだ。
やはり本人訴訟の難しさを感じるばかりだった。
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