「神様からメッセージが降りて…」スピセミナー、潜入したらヤバかった(前編)
どうも、黒猫ドラネコです。
血管が細く、点滴や採血で看護師さんを困らせてきました。
今回のレターはまたもや潜入記。
フォロワーさんからオススメされ、たまたま場所も予定も合ってしまったので…。割と小規模な集会だったので注意しつつ、ニヤニヤしながら観察してきました。
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それではさっそく前編からどうぞー。
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浄化された空間
大企業のオフィスが立ち並ぶ都内某所。まさに都心の駅直結のビルである。
綺麗なエントランスから入ってエレベーターを降りるとすぐに活気を感じた。大小いくつかの会議室から、講師や参加者の声が漏れ聞こえてくる。
わあ~楽しそ~う!とか言ってる場合ではない。ここはどうやら「そうした胡散臭い方々」ご用達の施設らしい。
看板の電子パネルにはそれっぽいタイトルが上から下までズラリ。「〇〇塾」「〇〇トレーナー養成」「若返り〇〇」(いずれも仮称)のように、いかにもな講演が並んでいた。
(エレベーターホール前の案内板、加工あり)
今回、私が入り込んだのは「〇〇特別セミナー」。
名称からすぐにスピリチュアル系だと読み取ることはできない。そして予想に反し「それっぽい風貌の人」も少ないので外から見ても何の集会なのか分からない。思いっきり白装束で集まっているとか、腕にパワーストーンじゃらじゃら付けてるとか、常に両手を前にかざして目を閉じているみたいな人はいない。
年齢層は高めだが、みんな大人しそうな普通の服装のおじ様、おば様ばかり。参加者の男女比率は半々といったところ。若者はいなかったと言って差し支えない。
数えてみたところ100名弱。当初の参加者募集は50名だったが、直前に「好評につき増席!」と告知がきていた。宣伝のテクニックなのか、どこまで本当かは分からない。参加費用は事前振り込みで2000円だった。
白机と椅子が並ぶシンプルな真新しい会議室といった会場の後ろの方に、メガネをかけて紺スーツに青ネクタイの小柄な男性がいた。司会者の女性らと軽めの打ち合わせなどをしている。コイツが主宰か…。
この男性はY氏。ツイッターで顔をよく見る。その理由は、昨年夏の参院選でかの有名な参政党から出馬(もちろん落選)していたからである。妙なセミナーをやっているとの噂はタイムラインによく流れてきていた。元地方議員で、50代前半の地味めな人だ。
実は私のところには今回のセミナーのタレコミとして、このようなDMが届いていた。
「霊能力者だかが『浄化のパワー』を会場に送るので、前回は会場の半分が眠ってしまったとのことです。嘘やサクラならいいのですが、(そんなに眠るってことは)何かをバラ撒くのかもしれないので警察を呼べるようにしておいてくださいね」
君は黒猫ドラネコをいったい何だと思っているのか…とは思いつつ、まあ会場でどんな事件が起こるのか期待してありがたく参加してみようと思った次第である。(危ないので素人は真似をしてはいけません)
前でも後ろでもない適当な位置に着席させてもらった。幸いにして変なガスが噴き出されそうな装置も見当たらない。(当たり前だ)
司会者から「セミナーの録音録画はおひかえいただきますようにご協力お願いします」とアナウンス。いつもながらこうした潜入で撮影ができないのは残念だ。
一応、開始前に撮った写真を上げておく。
(青ネクタイが主催者のY氏、加工あり)
定時になると、司会者の紹介を受けて拍手が起こった。13時から16時までの予定だ。Y氏はにこやかに「本日はありがとうございます」と始め、慣れた様子で進めた。
正面のスクリーンに、オレンジ色の日の丸をバックにしてのセミナータイトルが映る。参政党をイメージしているのかは分からないが胸クソ悪…失礼、日本人として気分がいいものではない。
まずはY氏の自己紹介が表示された。
19〇〇年、静岡県生まれ。胎内記憶あります
19〇〇年、市議会議員初当選
20〇〇年、神様から呼ばれる
20〇〇年、県議会議員当選
20〇〇年、未来手帳が届く
20〇〇年、大和の時代が来るよ
2019年、政治家引退。降りて来る情報を元にプログラムスタート
何事もないように軽快に語り始めるY氏。覚悟はしていたが、先制パンチはなかなか強烈なボディーブロー。しかも緩急をつけた連打だ。ぐっと吹き出すのを堪える。
Y氏は生まれた時から死ぬ寸前だったところ、有名な霊能者に名前をつけてもらってから命が助かり、代わりにその霊能者が亡くなる(マジか)という体験をたくさんしてきたという。もともとそんな不思議なことが多い環境で育ったらしい。それは政治家になってからも続いたそうだ。
「未来が見える方々に政治家を辞めろと言われて悩んでいたところ、運転中に後ろから猛スピードで追突されまして…」
おお、それっぽい話やな。どうなったどうなった。
「むち打ち症になりまして」
す、すごい普通やな…。無事でよかったけども、人生が変わる大けがをしたとか、間一髪で無傷だった、とかじゃないのか普通は。
「この時に、米国人の未来が見える先生から『政治家を辞めないと肝臓がんになる』と言われたんです」
そうか。事故とむち打ちがどこいったかは置いといて、なんでそいつらそんな脅してまでも政治家を辞めさせたいんや…。それでどうなった。
「そしたらですね、なんと人間ドックで見たら肝臓に腫瘍ができかかっていたんです」
できかかって…いた…? うん、まあ細かいことはいいや。それでそれで?
「今度は長野県の神社に呼ばれた時に車の運転をしていると、とつぜん頭の中に『大和(だいわ)の時代がくるよ』って言葉が流れてきて」
おう、肝臓がんの話は終わってたんか。おうおう。話がとっ散らかっててさっぱり分からんが…で、流れてきて?
「車の中で『大和(だいわ)の時代って何!?』って一人で叫んじゃったんですよ」
運転中にそんな電波受信して叫んじゃうから追突されるんじゃねえのか…。
とまあ、万事こんな調子で、謎のスピリチュアル鉄板(?)トークが展開されていくのである。
「先生」と「神様」
ここから「見えない世界を大事にしよう」みたいな話になる。
「自分の体験上、見えない世界が9割を占めている」として、それに沿って経営学と歴史とスポーツをごっちゃにしたような講座の流れに。とりあえず、松下幸之助の「勘」の話から、東郷平八郎が「運」について語ったこと、高校時代の大谷翔平の未来図なども持ち出して「成功する人になるための心得」みたいな感じで進んでいった。
大谷選手がグラウンドのゴミを拾っていた画像をスクリーンに出し、「WBCの優勝にも見えない世界が関わっていたんですね」などと結び付けた時には、思わず「ゴミみたいに雑な話やな」とつぶやいてしまった。あっぶねえあぶねえ。聞こえてないやろな…。
で、これらの話は全て、事前にプレゼンをしてY氏の「先生」にチェックを受けているそうだ。
話の中で頻繁に出て来ていた「先生」というのは、とにかくすごい霊能力のある人で、何やら神様からメッセージが降りて来るらしい。Y氏以外にはあまり姿を見せたがらないのだが、前述のDMのタレコミにあったように「この会場を浄化のエネルギー」で包んでくださっているみたいな人なのだ。
…「人なのだ」とは書いたものの、別に私が信じているわけじゃないから呆れずに読んでほしい。
その先生から細かいチェックを受け、「ここがよくないね」「見えない世界的には誤解を受けるね」などとセミナー内容を直されたらしい。直されてこの内容なのか。じゃあY氏に罪はないな。
打ち合わせはZOOMでやるそうだ。ここは特にツッコまないで先にいこう。
「先生が両手をあげて『あ、いま降りてきてるからちょっと時間いい?』となって『こうした方がいいよーって言ってるよ』という説明を受けながら打ち合わせをしています」
はあ…。まあ内容はともかく、このセミナーは、
神様→先生(ZOOM)→Y氏→会場の皆様
との構図らしい。
なんやかんや神様のお墨付きということなので、これは非常に有意義なイベントでしかなく、ああ本当にこのセミナーに来てよかった。浄化パワーで、ふわぁ~(昇天)
悪質な「滅び」の脅し
続いてスクリーンには「文明の転換期」というテーマが。
「文明の中心地は常に経度22・5度ずつを移動していく」というこじつけトンデモ世界史のお出ましである。スピ好きな人にはおなじみの話らしく「ガイアの法則」などとして本も出ているようだが、ヒカルランドあたりがすごく好きそうな話だ。
文明には1600年の寿命があるらしく、人類最古のシュメール文明からこれまでに、西洋と東洋の文明が800年周期で交互に繁栄と衰退を繰り返してきたという。今現在はイギリスのアングロサクソン文明(?)で、それが衰退期に入っているそうだ。
なぜ私がこんなにも頑張ってこんなもんを必死に読者の皆さんに分かりやすく伝える努力をしなければならないのかさっぱり分からないが、だいたいスピ入っている癖に、社会の教科書に出たような文明だけを取り上げているのが解せない。
きっと大好きなはずの「アトランティス」「ムー」「レムリア」の各文明についてはどう扱うのか。ほかの超古代文明が発掘された場合はどうするつもりなんだ。真面目にスピをやれ!
ともかくY氏によると、その22・5度だかの文明移動説から考えて、
「今度の新しい文明の中心地は日本。明石とか淡路島などを中心とした近畿関西圏あたりと世界には知れ渡っていて、外資系企業は目をつけている」
あーそうなの、へー…。
つまり現在の「アングロサクソン文明」から、「明石・淡路島文明」になっていくということか。明石焼きが主食になったりするんかな(発想の限界)
そもそも「文明」の定義をちゃんと分かって話しているのか。ツッコミどころ満載やな…とか思いながらメモしていると、突如として悪質な話がぶっこまれた。
Y氏は「文明の転換期には必ず災いが起こる。資本主義や価値観など古いものが一掃されないと新しいものはできません」のように言い始めたのだ。
「次の文明の日本が世界に先駆けて大地震や津波や火山噴火などを経験しないといけないのかもしれない。すでに様々な予兆が…」