現地で何が!?反ワクチン訴訟リポート
どうも、黒猫ドラネコです。
久々に制限のないゴールデンウイーク、皆様はいかがでしたか。私は世間の休祝日と無関係の日々なのですが、唯一の休みだった3日にイベントがありました。
前回も宣伝した通り、ネイキッドロフト横浜にて、「陰謀論とニセ科学~あなたも騙されている~出版記念トークショー」に出演。なんと著者の左巻健男先生じきじきのご指名だったらしく、はりきってナビゲーター役を務めてまいりました。動画配信の視聴者数なども一定の水準で、内容の評判もよかったようでホッとしました。
左巻先生に軽快なトークを展開していただき、あっという間に終了。「水ビジネス」「EM菌」「怪しいがん治療」から、書籍にはない「テスラ缶」「バクチャー」「地球平面説」まで盛りだくさん。一つずつでイベントができるようなネタばかりで、ちょっと語り足りないぐらいでしたね。
ツイキャス配信コメント欄にあまり反応ができませんでしたが、皆さまからの色んな体験談や感想も実に読みごたえがありました。今後の参考にさせていただきます。
ご来場いただいた方、視聴チケットを購入いただいた方、誠にありがとうございました。
5月17日までアーカイブ(録画)視聴が可能です。
まだの方はぜひとも、左巻先生の知識量と、それに圧倒されながらも頑張ってついていく黒猫ドラネコ、進行のロフトスタッフ幸さんの働きをご覧ください。
黒猫作成の「危ない」スライドに沿って展開しています。あなたのお気に入りの陰謀論・ニセ科学ネタもあるかもしれませんよ!
宜しくお願いします!!
さてさて、今回のレターは少し長めになりますが、先月末に現地取材した「反ワクチン裁判」の顛末を綴ります。
これもねえ…もういい加減にしたら?という感想なんですが。果たして現地はどんな様子だったのでしょうか。前半部分はネットに完全無料公開で観察記。後半部分は有料会員向け「黒猫の考察」でお送りします。毎回このスタイルで配信しております。
次回テーマは「(仮)全部ヤバいよ参政党」を予定。何か速報性のある他の動きがあればそちらを書きますのでご了承ください。
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反ワクチン訴訟とは
東京メトロ・霞ケ関駅の地下から省庁が立ち並ぶ方面へと上がると、街路樹の緑が眩しい。初夏と言ってもさしつかえない気候になった。朝9時前の空気が心地いい。
目的は傍聴だ。「新型コロナワクチン特例承認取消訴訟」。その第3回口頭弁論である。この裁判がどういうものかといえば、こちらの記事をご参照いただきたい。第2回がおこなわれた1月の報道だ。
極めて簡単に説明すると、反ワクチン派のアレな人達の昂ぶる気持ちがアレになっちゃって、もう国を相手におっぱじめてしまおうぜってなった、無理筋の裁判である。
第1回では自身も反ワクチン・ノーマスク派の木原功仁哉(きはら・くにや)弁護士が騒動を起こした。法廷で制止を振り切ってなぜか「衆院選出馬宣言」をぶち上げてしまったことで退廷を命じられ、係員によって外に放り投げられたらしい。
それで第2回は「そんな裁判所の横暴は許せない!仲間よ集え!」とばかりに、憤った反ワクチン・ノーマスク勢が大挙して訪れたという。もう何ともアレな案件であってだな…。
木原弁護士について詳しくはこちらの記事をどうぞ。
つまり新型コロナワクチン接種を「薬害」と思っているアレな人達が集う第3回である。
しかしこれって別に「ワクチンの被害者」が始めた訳ではなく、そっち方面のアレな医者や議員らが原告なのだ。そこにがっつりアレな弁護士がついている。完全にお察しではあるが、まあ裁判をやる権利は誰にでもあるわけでね。
私は1月にも傍聴目的で出向いたがあえなく抽選漏れ。今度こその思いで、夜勤明けの重い体を叩き起こして参上した。200人近くの反ワクチン・ノーマスクさんが取り囲む事態になった前回のことを考慮してか、地裁前には公安警察と警備係が合わせて15人ほど陣取り、睨みをきかせていた。
ところが拍子抜け。抽選券配布が始まって私が到着した午前9時前の段階で、ノーマスクさんがほとんどいない。ど、どういうことだ…?
路上ではいつも通りそれなりの中高年4、5人が佇んでいるのみ。この1週間前、神真都Q(やまときゅー)の一連の逮捕劇があった。さすがに世間の目の厳しさにみんな二の足を踏んだのだろうか。
私は抽選までの待ち時間で反ワクさん達の視線を集めるために、こんなアレな本まで準備したというのに。
(あまり面白くなかったです)
「おや、あいつはマスクをしているのにあの本を読んでいるってことは、もしかして”目覚める”寸前なのか…? 声をかけようかしら」とか思わせるという高度な(?)ネタだったのに。見てくれる人がいなければ台無しだ。
いいよもう。ブックオフに売りにいくから。
玄関前の特設会場で手首に巻く抽選番号タグを受け取る。「ご苦労様です(本当に本当に)」と心から会釈をした。この長いストロークの抽選券取得にしても、ワクチンを接種していないノーマスクさんが大量に訪れることを見越し、裁判所は厳戒態勢を組んでいる。
毎回たいへんな思いをされて余計な作業に臨んでいる職員さんには頭が下がる。他の来場者に迷惑がかかるので、前回に引き続き午前中はこの裁判のみにしているという。その調整だけでも相当な労力だろうに。
ただ、傍聴の当選発表はおよそ1時間半後。かなり待たさせる。なぜ毎回こんなに待たされるのかはよく分からない。こればかりは再考をお願いしたい。
というわけで暇ができた。せっかくなので近くの日比谷公園に行こう。木漏れ日のベンチに座ってパンとコーヒーを。ああ、なんという良い朝だろう。これから変な裁判を見なきゃいけないツラい気持ちが晴れてくるようだ(自分で行ってんだろ)
春の日比谷公園
昨夜からの雨が上がった。曇り空から少し日が差して、朝の湿った自然の匂いがする。健康的な気分だ。
日比谷公園は私が新入社員の頃、省庁での研修で昼休憩の時に何度か訪れていた。ゆっくり散策するのは本当に久しぶり。あの頃よりもずいぶんと綺麗になった気がする。年齢を重ねて、こういう場所に憩いを求める気持ちが増えたせいもあるだろうか。
(広々として都会の喧騒を忘れる)
(噴水も花壇もよく整備されている)
(中央広場の大噴水。奥の茶色い建物が日比谷公会堂)
(はにわ像。昭和40年に宮崎県立平和台公園との姉妹公園の証で寄贈)
(中央広場に寄り添うように満開のネモフィラ)
しばし散歩してからベンチで優雅に朝食をとり、懐かしくも新しい都心の名所を堪能した。
時間がゆっくりと過ぎる。このところの忙しい日々で、すっかり落としてしまっていた大切な何かを、新緑と花々が思い出させてくれる。
4月中旬から、中央広場の傍らの大きな花壇でネモフィラが見ごろだ。淡く控えめなブルーでも、たくさん集まればこんなに色鮮やかになる。花言葉は「可憐」「どこでも成功」「あなたを許す」。日本の中枢で働く方々、都心のオフィスでこれから汗を流す皆さんに、小さな集団でエールを送るような賑やかな景色を眺め、私も励まされた。
本日の黒猫ドラネコのニュースレター、いかがでしたか?
皆さんもゴールデンウイーク明け、あまり無理をせず、時にはリフレッシュしながら頑張ってくださいね。それではまた次回お会いしまし
…って、まてまてーーーい!コラコラコラコラ~ッ!(`o´)
反ワクチン裁判はどうなったぁーーー!?
そうなんだ。ほんの暇つぶしだったんだ日比谷公園は。そろそろ時間だ。果たして傍聴ができるのかどうか。地裁前に戻って抽選結果を見よう。
いらん小競り合いと裁判の顛末
結論から言おう。傍聴券、あっさりハズレだ。ちくしょうめ。
抽選結果のボード前には先ほどよりもノーマスク連中が集まっていた。それでも、前回1月の200人集結には全く及ばない。数えられただけで40人弱。明らかに少ない。
やっぱり神真都Qメンバーの逮捕報道は大きかったのかも。ナイスQ。
抽選資格は、番号から考えてもおそらく80人程度。傍聴席は26だったから、3倍程度の確率を外してしまったとなると、もう縁がないとしか言えない。
前回同様に諦め、裁判所前のノーマスク集会の様子でも観察するとしよう。ここでは偶然にもこの裁判を取材しに来ていた尊敬しているフリージャーナリストの先輩方にお会いし、ついにご挨拶ができた。これだけで今日は収穫ありだ。
朝よりも公安や警備の数が増えている。ノーマスク集団は55人ほどに増殖。「言論統制がー」とか「マスクではウイルスがすり抜けるから意味がー」みたいなことを確認しあっている声が聞こえる。笑いそうになる。タクシーで登場したおばさま3人組は、地裁前の通りのど真ん中でスマホをいじり始める。「到着なう」ってか。おめでてえな。
不思議だったのは、このおばさまのうち一人が、首から空間除菌の青いカードをぶら下げている。マスクはしないのにそれは信じるんかい…。地下鉄出口方面からは「ワクチン治験中」と書かれた黒いトートバックを持った別のおばさまがやってきた。「ワクチン治験中」と書かれた黒いトートバックを持ったおばさまがやってきたのだ。大事なことだから2回書きました。
おっと、そして現れましたよ。陰謀論インフルエンサー「目覚めてる庶民」だ。さすがに10万フォロワーの超有名人らしく笑顔で迎えられている。折しもこの裁判前にあなたの記事を書いたんだよ。読んでくれたかしら。
記事では30代後半から40代ぐらいのやや体格がいい男性と書いたけど、お顔を拝見するとちょっぴり揺らぐ。なんだか痩せたのかなあ。まあ、若く書いといたから勘弁な。
あとの顔ぶれは、普段から小学校前でクソチラシ配ってる声のでかいおっさんとか、色んな反ワクチン・ノーマスクの街宣などで見たことがある感じの方々。みんな地裁前で「勇者たち」の到着を今か今かと待ち構えている。
さあ来ましたよ。
この御三方。左から南出喜久治弁護士、中村篤史(ナカムラクリニック)氏、木原弁護士。小雨の降りだした中で拍手喝采だ。
反ワクチン側のフリージャーナリスト(いるのよこれが)らの取材で決意表明をした後、声援に送られて颯爽と地裁へと乗り込んでいった。
ここからは前回と同じで、そんなに待たずに済む。20分ほどだっただろうか。私の裁判のイメージは、古畑任三郎の明石家さんま犯人回の熱い法廷バトルだが、実際にはそんなに白熱することもなく割と早く終わることが多いようだ。
ただ、今回は待っている間に、まったく不毛な小競り合いがあった。
反ワクチン側ジャーナリスト(ノーマスク議員とともに飛行機搭乗でもめた人)が「なぜこの裁判の時だけこんなに規制して裁判所内に入れないのか」という内容で、入り口付近で職員に絡み始めたのだ。
実にめんどくさい。反ワクジャーナリストさんは怒りにプルプル震えながら、対応していた裁判所職員に意味不明の人格攻撃。「そうやって毎月の給料を待つだけのロボットなんでしょ」「そんな仕事で家族に胸を張れるんですか」みたいな罵倒を繰り広げる。
しかもこれに便乗してノーマスク数人が「責任者の名前を教えろ」「どうしてもっと人数が傍聴できる部屋を用意しないのか」「国民の声を聴きましょうよ」みたいにやいのやいの勝手なことを言い出している。この界隈のヤバさを如実に物語る一幕だ。
ただ、裁判所側も少しこの連中の対応だけに慎重になり過ぎていることは確か。お互いにフラストレーションが溜まっていることはよく分かる。
しばらくこうして「春だなあ」とか思いながら時間を過ごしていると、原告の3人が地裁前に戻ってきた。
小競り合いのジャーナリストも慌てて囲み取材を開始。60人以上には増えたであろうノーマスクの聴衆が取り囲む中で、一般のメディアといえるのは、私とトンデモを追う系のライターさんお2人。あとは目についたところで、囲みの外からキー局の女性記者がハンディカムで撮っていたぐらいだろうか。
興味津々のノーマスク勢に向け、南出弁護士が熱弁する。
お得意の「マスクや消毒は気休めなのに、裁判所はなっとらん」などの主張から始まり、最後には全く関係ないウクライナのゼレンスキー大統領の悪口までまくし立てる。さながら、即席の陰謀論セミナーだ。オラ、最前列で何度も深く頷いてんじゃねえぞ目覚めてる庶民。
内容にはさほど興味がなかったが、8月に判決が出るらしい。掻い摘んで言うと、「国は原告の(ワクチン特例承認取り消しなどの)一連の主張を一切認否しない」。そして「訴訟要件を満たしていないと全面的に却下される可能性もある」そうだ。
そりゃそうだろうよ… これだけ騒いだ連中は受け入れられないだろうが。
不服そうな反ワクチン側ジャーナリストから「裁判所は機能していないのでは?」というアレな問いかけ。南出弁護士は、国に対して追加の損害賠償を求めることを表明し、「違法判決だから控訴理由にはなる」となぜか不敵な笑みを交えて答えたが…。
仮に訴訟要件を満たしたとして、ずっとこんな争いをするつもりなのだろうか。何をどう賠償させるのか。あんたら何の被害受けたんだ…?
続いて木原弁護士は「日本の司法はこんな状態だとみなさん覚えておいて」と、もはや覚悟したようなコメント。どう考えてもダメだったときの予防線だ。オラ、悔しそうに眉間に皺寄せてんじゃねえぞ目覚めてる庶民。
ちなみに木原先生はこのあと、場所を移動して「ワクチン危険」でおなじみ国民主権党と夢の(?)コラボ街宣。厚労省前で、職員や通行人に向かって演説を始めた。
結局こちらでも「マスクはワクチンを打たせるための小道具に過ぎないんです」などと、大音量なのにちょっと何を言ってるかよく分からない持論を展開。
「ここが正念場」「参院選に出る」「ワクチンは危ない、マスクはすべきでないという勢力が一議席でもとることが効果的」などと大いに語った。あんた神戸やろ。どこで選挙活動してんねん。オラ、そのあたりどうなんや目覚めてる庶民…は、もうどっか行ったか。
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黒猫の考察「反知性のパフォーマンスでしかない」
ここまで軽い感じで書いてきたことで、「馬鹿にしやがって」と怒る人もいるかもしれない。反ワクチンの人が読んでいるかは知らんが、深くお詫びしない。そもそも反ワクチンと信ワクチンが真っ二つに分かれているとでも思っているなら、根本的に間違っている。
ネットで群れたごくごく一部の反ワクチン・ノーマスク思想の人々が増長し、それらが一般社会に難癖をつけているのだ。それって、例の神真都Qと何が違うというのか。