【告白】「『波動測定器』使いだった私が、分解を依頼した理由」。オキさんからのメッセージ
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既に視聴済みの方も多いとは思うが、まずはこちらの動画を。
トンデモバスターの桑満おさむ先生による、「波動測定器」をいじり倒す内容だ。分解して詳しく調べてみたりして見事にインチキを暴いてくださっている。
実は桑満先生にこの機器を提供してくださったのはオキさん(仮名)というかたで、私のフォロワーさん。
性別や年齢など一切の個人情報は伏せるが、ネット上でのやりとりだけでもとても実直で丁寧で他者に対する敬意を忘れない良識ある人という印象がある。波動でビジネスをしていたが、そこから正しい意味で「目を覚ました」人だ。
昨秋、オキさんから「数百万円する波動測定器の処分を検討している。気持ちに踏ん切りをつけるためにも、もしよかったら分解でもしてインチキを暴いてもらいたい」というような連絡があった。
そこから様々な打ち合わせを経て、最終的に私から桑満先生に打診した次第だ。
分解をするにあたってSNS上で立ち合い人を募集し、多くの方から興味があると連絡を受けた。しかし機器自体が特徴的なものだったこともあり、個人情報保護などの観点からも素性がはっきりしていて信用できる桑満先生とその繋がりの方々を指名させていただいた。
(ご興味を持ってくださった皆さまには、個別に全員にお断りの連絡ができず不義理をしてしまいました。お詫び申し上げます)
youtu.be/hTUha7F-7sw
じきに、同じく桑満先生のYouTubeチャンネルで、今回の機器の分解を受けての新たな動画も公開される予定。対談する内容で、私も出演させてもらっている。お楽しみに。
それにあたって、オキさんがメッセージを寄せてくださった。許可を得て、このたびここで全文を公開させていただくことにした。
後半のサポートメンバー限定部分ではこの件に関する私の見解と、改めてオキさんの決断やその勇気について記す。
まずは「加害者」も「被害者」も減ってもらいたいとの思いを汲み取りながら、ストレートなメッセージを読んでもらいたい。
オキさんの手記に見出しなどをつけて構成してお届けする。
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波動測定器を入手したきっかけ
人生の辛い時期で体調を崩し、どうにかしなければ、どうにかしたいと焦っていた。
自分の心や体に何が起こっているのかを知りたくて、その一心で調べ始めた。病院にも通っていたが、焦りと苦しさゆえに代替医療にも興味を持って色々と試して、そこで同時にハマっていくスピリチュアルな世界があった。
その世界で知り合ったのが、「波動学校(仮)」の主宰者だった。
キラキラしていてみんなの憧れのような人で、そんな人が主宰するコミュニティに惹かれるのに時間は要らなかった。
「波動」のコミュニティの存在を知った時は、本当に希望を感じた。私も人の役に立てるかもしれない、体も楽になるかもしれなくて、もうひと花咲かせられる、と…。
興味があるとその主宰者に告げた時、まずはメーカーの社長と面談の機会があり、一通り説明された時に「一緒にやらないか」と声をかけてもらえた。
そのことに、承認欲求を激しくくすぐられた私は、その場で泣いてしまった。
いつかは独立して、自分のコミュニティも持てるかもしれない。そう言われたことも大きかった。
現代医療や「一般の考え方」を敵とみなす。そうすることで、自分は特別なことを知っている存在で、世の中の役に立てる能力がある…と。大きな挫折を感じ、社会からの脱落を体験したその頃の私は、ますますそんな世界にハマっていった。
大金なので少し時間はかかったけれど、機器を購入した。単体として販売はされていない。あくまでも、「波動学校(仮)」の教材としての貸与と謳っている。
すでに相当なお金を注ぎ込んでいた。だけど、私はそれでも楽になりたかった。
気持ちの綻びと「資格商法」
代替医療やスピリチュアルの世界では、「エネルギー」「波動」「量子力学」なんて言葉が常用されていて、それらが人生を作っていくという大筋がある。
「波動調整」をすると人生が変わり、波動が乱れるようなものを取り込めば、途端に病気になったり人生がうまく回らなくなったりする、と理解していた。波動を調整することこそが大切なんだ、と。当時はそう思っていた。
ただ、波動測定器を使っても、まず自分の体調が良くならなかった。(認めなかったけれど)。また、個人セッションを始めても、その人たちが特に何か変わることもなかった。
もちろんプラシーボ効果は抜群。なので、その時は高揚感や安心を感じてもらえた。
しかし、自分も医者ではなく、テキトーなことを言っている気がしてならなくて、それでお代をもらっていることには良心が痛んでいた。
何人もセッションをして、心のなかでは、どんどん自分が詐欺師のような気がしていた。
そしてある時、波動コミュニティの中で資格制度が始まった。
「波動調律エキスパート(仮)」の資格を得るため、コミュニティ内の人達はまたお金を払うことになり、主宰者はボロ儲け。
その制度が出来たのは、私が独立したがっていたのが大きかったのでは、と思っている。主宰者は「誰も独立させない」と考えていたのではないだろうか。
どんどん嫌な気持ちになっていた。詳細は割愛するが、ちょっとしたイジメもあったように感じた。
そうして気持ちに綻びを感じていたところ、コミュニティに癌のステージ4の方が入会した。
「最後の希望だ」。そう思ってご夫婦で入会され、一縷の望みで波動測定器を購入したとおっしゃっていた。
耐えられなかった。怒りで体が震えたのを覚えている。なんでそんな状態の人にまで売るんだ、と。
病気を抱えていたり、世の中に挫折を感じていたりしている人を囲って、綺麗な言葉で歓迎している。そういう世界が心の底から嫌になった。人の命がかかっているのに、自分のビジネスや思い込みが優先で……。
もうここにいられないと思った。
機器の解体を託したのは
この波動測定器は大々的な宣伝をしていない。
紹介制で、面談も必須。ちょっと名前が通っているような人にも販売しない。それは、明るみに出ると困るようなことをしていると、コミュニティの主宰者もメーカーの社長も自覚があるからだと思う。
そうやって情報を内だけに留め、コミュニティ内での一体感や仲間意識を植え付け、自分達を特別な活動者だと思わせている。
参加者はさまざまで、主婦、教師、会社員、そして看護師や医師もいた。メーカーや主宰者の悪質さはもちろん、コミュニティに参加している医療従事者は特に困った存在だ。
そのような世界を暴かれている方々に、この波動測定器を託そうと思った。
今思えば、コミュニティの主宰者もメーカーの社長も、人心掌握のプロのような人たちだった。そして一種のカルトのようなものだと理解している。
本人達がよければいいとかいう人もいるだろうけど、私はそうは思わない。
だって、嘘だから。
最も苦しかったこと
一般社会に戻って、日々冷静になっていく中でも、私はトンデモ医療やエセ科学や、そうした世界への怒りが収まらなかった。ここまで心身が回復するのに時間と大金がかかって、随分と遠回りしてしまったと思っている。
スピリチュアルだとかトンデモ医療だとか、そういうコミュニティでは当たり前のようにMLMビジネス(マルチ商法)が盛んなことも懸念している。
健康食品、水素水、投資案件…そういったものがいつも無邪気に勧誘されている。アムウェイに誘われた時は、「世界を救うビジネスだ」と言われた。
苦しかったのは、自分の間違いを認めること。そして、それを周りに発信することだった。
吐くほどに辛かった。きっと人はここが乗り越えられないし向き合う勇気を持てないのだと思う。一度そういう世界に入ってしまった人は、外に出ていくのは難しい。でも、それでは自分の人生も世の中も良くはならない。今はそんなふうに思っている。
私は一旦全てを失ったけど、後悔は一切ありません。
(オキ)
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黒猫の見解、オキさんの勇気を称えたい
トンデモと名高い機器を使って(当時は分からなかったとしても)商売をしていたことは、やはり「加害者」側だったことを否定できない。
しかしながら、それでもオキさんは批判を受けることを覚悟の上で語ってくれた。