トランプ次期大統領が嫌い【コラム】

別に隠していない。私はドナルド・トランプ次期大統領が嫌いだ。

こういうタイトルと書きだしにすると、「そんなこと言いながら実は大好き」みたいなツンデレ記事になりがちだが、本当に本当に嫌いなのだ。

どうしてそんなに嫌いかというと、最大の理由は世界中の陰謀論者を増長させているから。日米関係がどうなるとかアメリカの政策で世界がどうなるからとかではない。

もちろんトランプの支持者が全て陰謀論者なわけではないし、変な奴らが勝手に支持をしているだけの向きも大いにある。しかし、トランプ自身がそれらを利用したいためか、Qアノンなどを放置し、時には共闘や賛同を匂わせながら妄信バカのアイコンになったせいで、2021年にはあの議会議事堂襲撃事件が起きたわけだ。

でかい神輿をかついで行進やっているぐらいの話では済まない。

そうしたアホどもへの加担が、どれだけの人を苦しめてきたことか。

それさえなければ、もしくは、「あまり不確かなことで持ち上げるのは迷惑だから止めろ」とハッキリした態度をとってくれていれば、強烈にキャラが立つ面白い爺さんだぐらいにしか思わなかったことだろう。それこそ強いアメリカに似合う人だと。安倍元総理との友人関係とかも素敵なものだと思っていたし。

個人的には他国のトップが何をどうするかに口を出す気はなく、侵略戦争でも仕掛けてこない限り、自分の国の中は好きなようにしてくれというスタンスである。それがその国の人達の選択なんだから。

歴史も文化も生活様式も違うし、日本としても良いところだけを取り入れることができたら、それで構わない。

そんな浅い個人的な見解と自覚した上で強調するが、アメリカに追従すべきだという意見には全く同意できない。アメリカだけが世界基準でもなく、合わせる必要もないわけで、昨今の反ワクチンさんの「流れが変わる」みたいな狂喜乱舞に辟易している。

その関連で大きな話題の一つ。反ワクチンの世界的権威にして陰謀論者のロバート・フランシス・ケネディJr.（ロバート・ケネディ・ジュニア。以下RFKJ）が厚生長官に就くとの発表があった。

以前から噂はあって、世界中のワクチンがストップみたいなバカげた話も沸き上がっていたが、やはり公衆衛生の専門家たちも戦々恐々…というと反ワクさんがまた勝ち誇っちゃうので、多くの人がすごく呆れている状況だ。

ちなみに今回のレター記事を書き上げて、さて予約配信の時間という段階になってこの登用が発表された。

だから「今後どうなってしまうのか。本当にRFKJなんか保健部門の要職に就かせるの。いくらなんでもそりゃないんじゃないの。トランプだってバカじゃないんだし」みたいな内容が全て書き直しになってしまった。その点でもむちゃくちゃムカついている。

日本で言うなら、反ワクチン活動にご執心な原口一博議員や池田としえ日野市議が厚労大臣になるようなもの、との例えがあった。それらでも分かりやすいのだが、日本で最も近いのは、嫌われ医師の内海聡だろう。

それも、安倍氏や麻生氏のような華麗なる政治家の家系出身で血筋だけは抜群なうつみんが総理大臣になりたがり、自民党総裁に気に入られているという、そんな妄想でも震えがくる世界線だ。

ごく一部を除き、世界のRFKJへの評価は「アブない奴」である。

「由緒正しき家柄の人をアタオカ扱いとは何事だ」みたいな感じで言っている人までいたが、それはどう考えてもおかしな論調。ケネディ家が名家なのはその通りだが、しかしその中にあって奇行が目立つRFKJが一族の面汚しとされていることは反ワクさん以外みんな分かっている。

「ケネディブランドを信用しろ」と言うなら矛盾も甚だしい。そのブランドの人達がこぞって「アイツはうちの恥だ」と言っているわけだから。