チャーリー・カーク氏「早く結婚し6、7人産んで」。参政党の1200人が「Make Japan Great Again」に沸いた高額講演会(後編)
▽前編はこちらから
この記事をまとめていた11日早朝(日本時間)、チャーリー・カーク氏が銃撃され亡くなったとの衝撃的なニュースが飛び込んできた。
今回の講演の中でも「帰国したら水曜日に何千人の前でディベートする」と明かしていた。まさにその場所での悲劇だった。
私の思いは以前にも表明したが、たとえ多くの人の恨みを買っている人物であっても、どんな事情があろうと、暴力によって封殺され、ましてや命が奪われていいはずがない。
今回の記事は、日本での彼の言動をそのまま記すことが適切と判断し、当初からのテイストを変えていない。このたびの凄惨な事件を考慮した内容にはなっていないことをご留意願いたい。
「日本がなくなってしまう」
休憩時間が終わり、司会からの紹介と同時に聴衆は立ち上がって拍手を送った。
およそ1200人が待ちわびたチャーリー・カーク氏は、にこやかに手を挙げ、親指を立てて大歓声に応えた。
このイベントのため参政党はかなり有能な通訳を雇ったということで、カーク氏が話してから丁寧な日本語の音声が流れる。
初来日というカーク氏は、宿泊先のホテル設備や自動トイレに感激して「未来に来たのかと思った」と嬉しそうに話し、会場もニッコニコ。
続けて日本の清潔さやバス運転手ら労働者の勤勉さを称えたまではよかったが、「仲間と散歩している時に、私より背の高い人を見つけられるかとゲームをしました。見つけられませんでしたね(笑)」と、「日本人はみんな俺より低身長」をツカみに使った。
このあたりに31歳のデリカシーの無さと人種的偏見がにじみ出る。「日本人ファースト」と言いながらアメリカ人のイジりにヘラヘラする客席もどうかと思うぞ。

(党のイベントHPより)
さっそく講演テーマへ。
「日本が危険に晒されている。『そのような勢力』が定着すれば20年後にこの国は無くなってしまう」「日本はそれがいかに危険かを知らない」とカーク氏。
そう、敵はグローバリストである(参政党とかこの人たちの中では)。アメリカから来た反グローバリズムの旗手は「参政党(Do it yourself)」の党名を称賛し、共闘を訴えた。
さっきまで眠そうにしていた客席では、熱心にメモを取る姿をたくさん見かけるようになった。
カーク氏が保守系団体「ターニング・ポイントUSA」を立ち上げたのは13年前。
「大学時代の1年間の休暇が生涯の使命になった」。18歳で始めた運動で、今や2500支部を持ち、何十万人ものメンバーがいるとのこと。
オバマ政権の頃から左派が大勢を占める社会を草の根の活動で変えていったとのエピソードが紹介された。
今も続いているが、彼は各地の大学のキャンパスを訪れ、テーブルにマイクを置いて学生たちに「議論しましょう」と促していく。
「不法移民は強制送還する、新型コロナのロックダウンはおかしい、イエス・キリストを信じていると言って、それらが大きく賛同されるようになったんです」
そう胸を張るそのスタイルは、リベラルな考えや、それまでの常識などをひたすら論破していくもの。
ディベート動画を見た限り、差別的な言説と陰謀論まみれだが、それがSNSや動画を通じて評判になり、全米に知れ渡るようになったのだという。

(ターニング・ポイントUSAのサイトよりスクショ)
「皆様に希望のメッセージを伝えるため来日しました。政治的な意思と決断、そして勇気を持って進めば不可能はありません」とカーク氏。
客席ではずっと頷く人がいて、会場内に「ふんふん…」とか「そう。そうなんだよなあ~」という野太い共感の声も聞こえるようになっていった。
「みんな専門家による上から目線の新型コロナ政策に辟易していた」との発言からは、やはりパンデミックと極右勢力の台頭がリンクしていることが分かる。不満を持った人々に動画やSNSで働きかけ「ネットDE真実」に目覚めさせてきたのだ。
同じような手法で、動画やSNSを駆使して国政政党になってしまった俺達の参政党さんが羨望のまなざしを送るわけだ。
「子どもを6人7人と産んでください」
カーク氏はひたすら「グローバリズムの悪事」を解説していく。
「全ての国や文化の違いを消したい彼らは、地球上の国を識別できない塊にしようとしている」
宴会で色んな種類の料理があるのを混ぜて泥の塊にするように、世界をそうする企みだそうだ。以前の参政党の講演会で、神谷代表がグローバリズムを「おせち料理」に例えたことのそのまま。
おそらくこの界隈の共通イメージなのだろう。
カーク氏は日本の「移民」にも言及。今より増えてからでは不可逆的と警告した。ロンドンやパリの次には日本がグローバリストに狙われているらしく、「政治の力で道徳心のない、治安を乱す移民が増やされる」。
移民が増えているイギリスを例に、「20年もすれば純粋なイギリス人がマイノリティに」「西洋の文明諸国で起きている現実です。支配階級が外国人を使って国を台無しにする。日本でも起きうることを止めなければ」と恐怖を煽った。
「メディアに耳を貸さずに集まっている」と参政党を褒めちぎるカーク氏は、日本の出生率の低迷にも言及。
「今日お集まりの方、動画を視聴している方は若くして結婚し、可能なら子どもを6、7人と産んでください」「日本はもっと子どもが産めるはずです」
なぜそう言うのか。少子化こそグローバリストが悪政を進める根拠との理由だった。「赤ちゃんや子どもを見るたび、グローバリストの元気が削がれていると思いましょう」と笑顔を振りまいた。
ここまで色んな事が「グローバリストがー」によると、宗教じみていて怖い。
カーク氏自身も二人の子の親で「誰がもっとも子を持てるかスタッフと競争しているんです」と、ニコニコしながら言った。
個人的にはこういうのは男性だから気軽に言えるのだと思う。私はフェミニストではないが、この会場の中に「お前がしんどい思いして産めや」と怒る女性はいないのだろうか。
まあ、いないんだろう。参政党だもの。
「神」と「MJGA」
アメリカ現政権を持ち上げ、「バイデン大統領はアメリカを嫌っていた。国民に悪いことが起きてほしいと思っていた」と、こき下ろした。
「少し銃弾が逸れたおかげでアメリカは(グローバリストの支配を)回避することができた」と、トランプ氏の暗殺未遂を持ち出す。
「アメリカはまさに悪だった。暗闇から守ってくれたのは『神の手』だと信じています」
言葉通り、カーク氏は熱烈なトランプ信者であり、そしてキリスト教福音派の信者。その信仰心の強さが、政治活動へと繋がっていたのだろう。
最近の参政党への妨害について「家族、友人、そして神との関係を持っていれば乗り越えられる」として、自身が批判をくぐり抜けてきたのも「個人的なイエス・キリストとの関係にあります」と話した。
唐突感のある「神」への言及は、「神谷」を信じる党員に響いただろうか。この文章のキレと同じで、会場の反応はいまいちだったように見えたが。
カーク氏は、グローバリストとの戦いで日本と協力し合うことを誓い、「Make Japan Great Again」と決めゼリフで結んだ。
客席は「おお~」と大感激。1時間強の講演での予想できた締めの言葉だったが、万雷の拍手とスタンディングオベーションがまた送られた。
「すごい、生で聴けた」と隣のおばあ様が呟く。…トランプと間違えてないか?

(党のイベントHPより)
神様から呼ばれ…「ハラキリ」の話も?
興奮冷めやらぬ会場。
次のコーナーまでの準備の間に、再び及川幸久氏が登場した。司会の後藤せいあん氏(青森県議)と15分ほど「繋ぎ」のトークを展開する。
宗教家(元・幸福の科学の幹部でエル・カンターレ=大川隆法の信者)の及川氏は、カーク氏を「日本人に警告するため神様から呼ばれてやってきた感じ」と絶賛し、