「訴えてみろ」「被告に入れろ」製薬会社前に押し掛けた反ワクチン高齢者ら。挑発的デモの一部始終
オフィス街に響く罵声
(会社前に停められた街宣車)
東京・京橋の大通りに面したビル街に、突如として謎の音楽が大音量で響き渡った。発生源は路上に停まった街宣車のスピーカーだろうか。
22日金曜日の午後、中央区にあるMeiji Seikaファルマ本社前の歩道に、ワクチン反対の主張を繰り返す集団が押しかけた。
ピーク時にはおよそ90人が集結して年齢層はかなり高め。高齢者ばかりだった印象だ。
彼らは手作りのプラカードなども掲げながら、15時すぎから日が暮れるまで居座ってビルに向かって罵声を浴びせ続けた。
(集まった高齢者たち)
(主張も強め)
「Meiji Seikaファルマはレプリコンワクチンの真実を全て開示しろ」
そんな横断幕を掲げる集会を仕切っていたのは、政治団体「新党くにもり」だ。
代表の水島聡氏が自ら何度もマイクを持ち、そのたびビルを指さしながら「もしも被害があったら社長や幹部は責任をとって腹を斬れ」と声を張り上げた。
「Meij Seikaファルマの諸君!会社の中から立ち上がりましょう!」「あなた達はお父さんでしょう、お母さんでしょう。子どもの未来のために、日本人として人間として会社内部からレプリコンをやめる形になってもらいたい」などと大声で呼びかける水島社長の煽動に、集まった中高年や高齢者も大いに沸いていた。
Meiji Seikaファルマ社はこのほど、同社が製造販売するレプリコンワクチンをめぐるデマに対応することを公表。
まずは「日本人はモルモット」「3発目の原爆」「生物兵器まがい」などの発言を繰り返してきた原口一博代議士(立憲民主党)らを名誉毀損で訴える方針を示していた。
今回のデモは、その動きに対抗する形でおこなわれたようで、新党くにもりなどが「有志」に呼び掛ける形で反ワクチン集団を束ねて決行された。
ちなみに今回もレプリコンワクチンについて、「原爆でたくさん死んだことを繰り返してはならない」などの話があった。この界隈のトレンドみたいなものである。
「訴えてみろ」
水島氏が街宣車の上から挑発的に叫ぶ。
「原口議員たちを名誉毀損で訴えると言いながらなぜやらないんだ。やれよ早く。私達を入れなさい被告に。裁判の中でこの会社の実態を、このレプリコンワクチンの疑義を明らかにするのが一番効果がある。国民の命を守る手段になっていく」
「訴えるなら訴えなさい。喜んで応じたい。これを国民的な問題にする。公衆衛生が思うがまま金儲けのためにおこなわれていいのか」
聴衆もそれに呼応して「そうだ!」「やってみろ!」「訴えろー!」と思い思いに強気な言葉を発していた。
あーあ。
(挑発的なスピーチをした水島聡氏)
水島氏は、「グローバリストが世界的に健康や命を商売のターゲットにしている。人口抑制や生物兵器の形でコントロールされ利用される未来を止めなきゃいけない」「Meiji Seikaファルマの諸君がやっていることは大きな問題を孕んでいる」などと主張。
概ね「危険なワクチンで金儲けをするな」みたいな話が展開されていた。
興奮気味な人も多かったので暴動や建物への侵入などが最も心配されたが、いつもの警察の皆さんもしっかり監視してくれていた。仕事とはいえこんなデモの情報までキャッチしているのは頼もしい。
ただ、このデモ全体としては、主張の内容はともかく、ある程度の統制はとれていたと思う。
新党くにもりは今春の池袋デモから始まり、現在の国内の反ワクチン集団の主流となっている「国民連合・国民運動」と繋がって大規模デモを仕切り続けていて、やはりこうした集団を束ねるノウハウがあるのだろう。
いつもながら旗や横断幕も感心するぐらいしっかり作られており、一般歩行者の通路を確保するために声をかける人も何人かいた。
集会のお世話をするスタッフのおば様もいて、テーブルを出して飲み物を配ったりもしていた。
ちなみにお菓子も配られていたが、お約束のように明治の商品はなく、はちみつきんかんのど飴(ノーベル製菓)やホームパイ(不二家)などだった。ちょっと良いチョイスではある。
がっつり寄付を求める「支援箱」があったことには触れないが、しっかり消毒液スプレーや除菌シートが置いてあって「あ、ワクチンはダメなのにそこはちゃんとするんだ」と思った。
(デモのテーブルに置かれていたもの)
多彩なゲスト演説者
さて、水島氏の仕切りで、まずゲストスピーカーとして街宣車に上がったのは、井上正康氏(大阪市立大学名誉教授)。
水島氏から「YouTubeからも警告が来ている(チャンネルBANされてしまう)ので言葉は気を付けてくださいね」みたいな耳打ちをされてからマイクを持った。(聞こえてんねん全部)
何人かの名誉教授とともに反ワクチンさんからの尊敬を集める井上氏は、レプリコンワクチンについて「注射された人の体内で無限増殖する可能性がある。やがて増幅しなくなるという論文もあるが、そんなエビデンスはありません」と断言。
「研究室の手を離れたら何が起こるか分からないのを日本で初めて接種しようとしているのがレプリコンお注射というものでございます。日本が誇るべき企業が間違いをおかさないでほしいと心から願っています」とMeiji Seikaファルマのビルに向かって呼びかけた。
(支持者に囲まれた井上正康氏)
井上氏は、「体内の遺伝子が増幅されると打たれた人の体が『お注射製造工場』になってしまうということを意味しております。ベネズエラ馬脳炎の実験では、蚊が血を吸うとマラリアのように遺伝子が拡散される可能性があるということも分かっています。レプリカーゼとして、チャレンジングな医学的な研究と多くの方は誤解されているが、根本的なミスであるということ」などと演説。
ベトナムもアメリカも認可しなかったものが岸田元首相のせいで入ってきたみたいな話もしていて、まあ相変わらずなご様子だった。
このほか、くにもりに近いのであろう愛国なんちゃらのおば様がスピーチ。
ワクチンの仕組み自体を否定するような演説が展開され、「遺伝子そのものを変えてしまう恐ろしいもの。遺伝子組み換え人間になってしまう」と発すると、聴衆が「ワクチンじゃないぞー!」と叫ぶなど、どんどん内容が危うくなっていった。
さすが保守の政治団体らしく「バイデン政権は悪だった」みたいな、それを製薬会社に向けて話してどうすんねんという右寄り政治色強めのスピーチも続いた。
うつみん「人体実験と言っても過言ではない」
最も聴衆が沸いたのは日が落ちてから。
都知事選、衆院選にも出馬した反ワクチン医師の内海聡氏が見物のためにふらりと登場したのだ。
大盛り上がりの中で支持者らしき人と写真を撮った後、どこかにアップするのか猛烈な勢いでスマホをいじっていたうつみん。くにもりスタッフから「ぜひ上がってください」みたいに言われ、「しょうがないなあ」みたいなまんざらでもない様子で街宣車に上がった。
水島氏とがっちり握手を交わした内海氏は、この界隈だけで話題の”シェディング”について「医師としては、伝播による病気は非常に多くなっている。臨床をしていないと分からない。言い切ることはできないが頭には置いて治療をしないといけない。医者の感覚の病気パターンが通用しない」などと演説。
「薬害や公害は疑問から始まる。水俣病も会社の責任だった。同じようなことが行われようとしている。根拠がないと言い張れば反対の立場を封印できる」
「陰謀論と言われる価値観でいえば日本人を減らすとか言われてもしょうがないぐらいの人体実験のようなことがおこなわれていると思います。医学的、利権的で言うなら日本を治験の大国にしたいんです」
「製薬会社とタイアップして会社に都合のいい論文にして、われわれはそれに乗せられている」
まるで全てを分かっている医者みたいなツラをしながら滑らかに語り、集まった人達から「いいぞー!」「応援してるよー!」と大喝采を浴びていた。
(くにもりの街宣車からスピーチする内海聡氏)
(ダブル聡の悪手…もとい握手)
このような多彩な弁士による、いわば捨て身の抗議活動。
歩行者に向けても、Meiji Seikaファルマから原口議員と並んで警告を受けている団体「mRNAワクチン中止を求める国民連合」のビラがずっと熱心に配られ、入り口にいた警備員に集団の中の老人が絡むような場面もあった。
就業どきにビルから出て来た社員らしき人達はほぼスルーだったが、やはりため息をつくような仕草の人もチラホラ。今回とは別の反ワクチン集団も、過去に何度かここに押し掛けている。
普通に働いているだけの人達なのに、本当に気の毒だ。
(ビラを配る様子)
聴衆の中にはこの界隈しか分からないであろう有名人がいた。
また、終盤に聴衆がマイクを持つ場面では、明治HDの株を海外の企業が持っていて世界経済フォーラムなどの悪(この人たちが思っている)と繋がっているとして「CMで女優の綾瀬はるかが全てバラしてる!」と、ちょっと5Gも掻き消せるぐらいのお電波ビュンビュンな感じの発言まであった。
それらの詳細や私なりのデモの総括などは、公益性があまりないと思うので限定部分で触れていく。
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なお、今回のデモの音声を文字起こししたものはMeiji Seikaファルマ社に提供する準備がある。
企業としての毅然とした対応に感謝し、こうした反ワクチン集団の情報を提供して少しでも応援したいと思っている。
(熱心に演説を聞く聴衆)