ついに起きた立花氏襲撃。間近で見た犯行現場の状況は

どんな状況だったかをお伝えします
黒猫ドラネコ 2025.03.19
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14日に「財務省解体デモ」の記事を配信した。

もっと同日のデモを取り上げたかったが、その前にとんでもない事件が起きたため、取材どころではなくなってしまった。

表題の立花孝志氏襲撃事件だ。

同氏が出馬していた千葉県知事選も終わったので、事件当日の状況を詳しく説明する。

なお、現場で撮った映像や写真は報道機関に提供したため、ほぼ無いことをご容赦いただきたい。

当日の状況

夕方開始の財務省解体デモの現場に、私は早めに来て見て回っていた。

昼過ぎから財務省前に陣取っていた黒川あつひこがデモ参加者を挑発して騒いでおり、そのせいでデモ本隊は財務省と外務省の間にある潮見坂の狭い歩道に移動していた。

開始前から既に人は溢れ、交差点では「5Gの害」をメガホンで独演する人物がいたり、ディープステートがどうちゃらと書かれたバイクが走っていたり、ガードレールに腰掛けて歌い出す半そでの人がいたり、ピカチュウの怖いオブジェを飾る人がいたりと多士済々。

本当にここは霞が関か…? まだデモが始まってもいないのに、早くも領域展開である。

こういう場合、どこが最もおもしろスポットかをウォッチャーはまず考える。

財務省裏口に叫ぶ一団より、黒川のカウンターデモを見ることを私は選んだ。

あちら側でデモをやるとの指示も聞かず、事前の情報も見ずに正面で騒ぎ続ける連中がどう出るか。ここが最もアレなポイントが高いと判断した。

黒川のせいで大っぴらに「財務省解体!」を叫べなくなっている。千葉県知事選に出馬しているため「俺が先に来てたから。選挙活動だから。声を被せたら捕まるよ」みたいなことを冷静に言う黒川。

「わざわざ遠くから来たのに!」などの不満や「帰れ」コールを浴びせるデモ隊。

「仲の悪い動物を同じ檻に入れてるみたいだな」とか思いながら観察していると、大通りを挟んだ経済産業省前に「NHKから国民を守る党」の街宣車が見えた。

立花氏も来訪を予告していたのだと、この時に思いだした。黒川VSデモ隊のわちゃわちゃをN党立花氏の演説の背景として写真に収められたなら、どんなに、ああどんなに素敵なことだろう(こういう思考なのよ現場では)

そう思った私は、急いで経産省前へと移動した。

ほんの10分後、そこで凄惨な事件が起きるとは想像もしていなかった。

サイレン響き「刃物だ!」

午後5時を回り、立花氏の演説が始まる。

「財務省デモを支持しているわけではないが、メディアが取り上げないのはおかしいと思う」などと語っていた。

経産省前はN党支持者ばかりではなく「お、立花孝志だ」と立ち止まる見物人で溢れた。

数日前に関西を訪れた立花氏が激しいブーイングを食らっていた様子を知っていたから、そういう場面をちゃんと見ておきたいと私は考えていた。

しかし、ここは驚くほどに静か(対岸の黒川らを除く)。妨害を受けずに注目を浴び、立花氏も上機嫌に見えた。

握手して撮影に応じるとのことで、立花氏は街宣車前から経産省前のやや広い車寄せの方に移動した。握手会に興味がない人は徐々に立ち去っていく。

大通りの向こうで、黒川がデモ隊と激しく揉めていた。「仕方ねえ…あっちに戻るか」と私もその場から去ろうとしていた。

立花氏の握手会の列から目を離して歩きだした次の瞬間。

「ピュイピュイピュイ!」と電子音が、耳をつんざく大音量で鳴った。デモ隊のスピーカーのサイレン誤作動はこれまで何度かあったので「またかよ。うるせえなあ」と思った。

「殴った殴った!」と聞こえ、立花氏がよろけていたのが見えた。誰かが緊急事態を知らせるため防犯ブザーを鳴らしたのかと瞬時に認識する。

それが犯人が所持していた「閃光手りゅう弾」の音だったのは後の報道で知った。

何が起きたか現認できていない。とにかく誰かが立花氏を攻撃したらしい。

「ついに手を出されたのか。騒動になる。撮影せねば」と急いでカメラを構える。

立花氏に向かい、青白く光る棒のようなものを振りかぶる若者。この時は既に一太刀目を浴びせた後だったのも報道で知った。

若者が持っている物が何かすぐに分からず、ライトセーバーみたいな玩具に見えた。それが「ナタ」と判明するのも後になってから。

一眼レフの録画ボタンを押し損ねていることに気付き、「チッ」と舌打ちして押す。

「止めろ!」という怒声と「刃物だ、刃物!」の声が聞こえた。

「あんな玩具っぽいのが刃物?本当か?」と思い、棒で殴った相手を非難するため立花氏の支持者が大げさに叫んだのだろうと半信半疑。

群衆が「刃物だって、逃げよう」「やばいやばい」と口々に言いながら後ずさりし、私の眼前から人だかりが消えていく。

「刃物を持って暴れる奴がいるなら、この状況はマズすぎる…」と心の中では思うものの、レンズ越しのせいか現実空間には思えず、体が動かなかった。

記者魂などではなく「自分の身には何も起きない」との正常化バイアス。あとでちょっと怖くなった。

すでに立花氏と若者の間には何人かが割って入っていた。男性がしがみつき、若者(以後犯人)は観念したようにおとなしくなった。

周囲の人が次々に犯人に罵声を浴びせる。身柄を確保されながら犯人が笑っていた映像もあったが、現場では確認できなかった。

ずっと押し黙って冷淡だった印象。顔色は真っ白く、挑発的な目が怖かった。

警察は動かなかったのか

動画配信者らが一斉に群がり、犯人の顔を映そうと躍起になる。

この十数秒ほどの出来事の間、立花氏の安否は確認できない。が、取り押さえられた犯人に対して、左耳付近を押さえた立花氏が近寄って何か抗議するように興奮気味に言った。

近くにいた警官に制されるように街宣車の方へと戻りながら、立花氏は「110番して」と落ち着いた口調で告げる。

左耳付近を押さえた手のひらから血が見えた。「え、嘘ぉ…」「斬られてる!」「マジで?」と周囲がざわつき、武器による攻撃を受けたのだと初めて分かった。

SNS上で「あそこにいた警察はなぜ動かなかった」との批判があるようだが、あの場にいた何人かの警官は、歩道をあけるように指示をしたりするデモの警備担当だろう。立花氏の周囲だけを常に見ていたわけではないと思う。

流血までの一部始終を現認できていなければ、トラブルとは認識できても、大ごとだとは思わなかったのではないか。

それでなくても立花氏は多くの人の恨みを買っていて、その街頭演説では揉め事も多いと聞く。

だからといって暴力を受けていいはずがないのは当然だが、まずは私同様に「ついに手を出して周囲に取り押さえられた奴がいる」ぐらいに思ってもおかしくはない。

(止血しながら演説する立花氏)

(止血しながら演説する立花氏)

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