【詳細レポート】天皇統治と国防軍…神話を義務として教育制度は戦前に? 参政党が”創憲フェス”で大はしゃぎ(後編)
▽前編こちらから
「シン・日本国憲法」
休憩を挟んで、いよいよ「参政党員が考えた最高の憲法」のお披露目だ。
全国各11ブロックから集まった方々が、ワークショップなどで培った参政党の理念も交え、「憲法案」を発表していく。時間制限が5分間と短い。スクリーンにスライドを映し、大事な部分を簡単に解説していくスタイルで進められた。
こうなったらもう仕方ないので、全ブロックの発表を取り上げていこう。
トップバッターは九州ブロック。女性党員が登壇した。「本当なら17条の憲法のようにシンプルなものにしたかった」そうだが、話し合いの結果、65条になったそうだ。どないやねん。
特徴的な文言は「国防軍を置く」「米作りを中心とした自給自足」「絆を重んじる」「善を奨励し悪を戒める」など。現行憲法にはないものばかりで、やはり参政党らしさが滲む。
先が思いやられるが、司会者からは「模範のような憲法」との評価があった。どういう立場なんだ…。
次いで四国ブロック。こちらも女性党員が発表。まず「天皇の治す(しらす)国」という言葉があった。この言葉は他ブロックでもよく披露された。「シラス」は党員の共通認識らしい。
前文ではなく「御告文」があり、「天皇より天照大御神(あまてらすおおみかみ)をはじめとした歴代天皇へ憲法制定の報告をする文章です」とのこと。なんで天皇陛下が神に報告する文章をお前らが定めるんだって話だが、そんなツッコミをすると行数がいくらあっても足りない。
「17条の和約(約束)」ということや、縦書きだったことで、司会者からは「美しい文章で印象的でしたね」と温かい言葉。一体どういう立場からの評価なんだ(ツッコんでたらキリがないっつってんだろ)
次々いこう。中国ブロック。5県のチームによる話し合いで「大事なのは天皇・皇室。GHQからの押し付け憲法で日本が未来永劫に続くのかと疑問が出た。創憲運動は大切」と男性党員が熱く語った。
それでいてスクリーンに映されたのは「シン・日本国憲法」の文字。「流行りのゴジラなどのトレンドで」という説明に、客席から「クスクス」と笑いが漏れる。このあたりから空気が緩くなっていった。
「天皇が国家元首」で男系継承による世襲という話は参政党の共通認識だ。それと「神話を義務教育に入れる」と言い、スライドには「教育勅語、修身、日本古来の精神性を基本とした教育」の文字が並んだ。さすが偏ってんなあ。
初めて「チン」と鈴が鳴らされて時間切れ。司会者からも「時間が押しています。中国ブロックは出雲があるのでやはり神話は義務なんですね」と雑な感想で、会場に笑いが広がっていく。なんなんだお前らは。本気でやってないのか…?
(神話をフューチャーする参政党集会の様子)
都を京都へ…小卒で働きに?
近畿ブロック。先の衆院選では党の重点区となっていたそうだ。
おじ様の党員が「ポイントを一つだけ。仕組み、システムをちゃんとしませんかという提案です」と始めた。スクリーンに映された「都を京都に移す」の文字に、会場は大爆笑。
しかし、現在の東京一極集中を解消するとした解説があると、一転して感心の空気になった。「ほおぉ…」じゃねえんだよお前ら。
個人的に一番ヤバいと思ったのは次だ。参政党はフリースクールも推奨しているが、その理念も手伝ってか、戦後の教育システムがよくないと言い出した。それは憲法の話か?ってのは置いといて。
6・3・3・4年の学校教育では「人生を設計する時間がない」との理屈で、戦前の教育システムのイメージ図を披露した。小学校の後は中学ではなく様々な進路が示されている。ふむ…。「教育基本法」「学校教育法」が制定されたのは昭和22年だから、義務教育がなかった時代だもんな。
「小学校を出たあとに色んな階層で教育する流れで、早いうちから働いたりして自分の人生が選べるんですよね。若いうちから社会に出て多様なシステムで役に立つ人材が日本全体でできるのでは」
…ハァ!?
戦前みたいに小卒で働かせろっつってんの?? ちょ…おま…何を言っているんだ?
いやいやいや、「おお…」じゃねえのよ観衆!
参政党イベント名物・黒猫ドラネコの魂が抜けてフワリと宙を舞う。おい逝くな!戻って来い!
スクリーンには、稲作を増やすため農家を準公務員にとか、食料自給率100パーセントを目指すとの文字が踊った。
もうダメだ。私の魂は戻ってきそうにない。
それ憲法じゃねえだろ