反ワク「捏造」本の気持ち悪さ。「チームK(一人)」の正体はあのアカウント
18日に日刊ゲンダイで書かせていただき、19日には会社からも公式発表があった。
Meiji Seikaファルマを名指しした「私たちは売りたくない! “危ないワクチン”販売を命じられた製薬会社現役社員の慟哭」(方丈社)が、著者名や中身で「でっちあげ」だらけという衝撃の展開。
私の見方では、もともと反ワクチン活動をしていた一人の社員が面識もない同僚の死を使い、まるで社内でチームが立ち上がったかのように書いた本が16万部も売れてしまったという、あまりにも浅はかな話だ。
騒動の余波は続くだろう。何より、まだ出版社側がここまで何も表明していない。
ひとまず個人的には、抱えていたネタを無事に出せてスッキリしている。皆様の拡散にも感謝したい。
反ワク界隈が大いに沸き、ワクチン叩きの武器にもなっていた同書。自分が思う要点、問題点は先日もニュースレターで全読者に向けて配信した。
新機能を使ってSmartNewsにも外部配信されたので、登録者以外の多くの方にもこの事件は知られたことだろう。
「捏造」が何カ所あったのか
前回より少し詳しく記しておく。
著者が「チーム」ではなく1人だったと確定したので、タイトル「私たちは」からして虚偽だ。そして、故人との接点がないことも分かったので、まるで故人を知っていたような表現も全て嘘ということになる。
そう考えた上で、この本にどれだけ「1人ではない」「故人と接点があった」ように読める箇所があるか、せっかくなので数えてみた。
いや、決して暇ではないけど、やってみたいことの一つだったので……。
例えば「我々チーム全員」と書いていた場合は「我々」も「チーム」も「全員」も、三つ全てが「捏造」になるが、そういう場合は一つとして数える(キリがないので)。「私たち製薬会社」「我々MR」などと普通に大人数を指す部分はもちろん除く。「チームで執筆した」と読むことができる部分だけを数えた。
故人との親交を匂わせる部分の数え方は難しかったが、とりあえず「晃大」と呼び捨てにしている部分などは、「何を知り合いだったみたいに馴れ馴れしく呼んどんねん」として、カウントさせていただいた。
さて、こうした数え方で「捏造」はどれほどあったのか。
なんと驚異の70カ所以上である。
途中で見逃した部分もあるかもしれず、かなり大雑把になった。しかし、少なく見積もってこれだ。あーあ、もう…。
何も信用できない
さて、「1人が書いた」「故人と知り合いじゃなかった」と分かった上で「私たちは売りたくない!」を読み返そう。心の中で「お前一人やないか」「お前、知らんやないか」と何度ツッコんだことか。
特に腹筋に力が入った部分を少しだけ引用する。
「メンバーの一人から、『これはハインリッヒの法則が当てはまるのではないか?』という意見が出てきました。」(70ページ)
「本書の執筆メンバーでディスカッションしていても、全員が『そんなことになったら、とうてい耐えられない』という思いを共通して持っていました。」(194ページ)
「少なくとも、本書を執筆しているチームメンバーは、全員、自分はもちろん、家族や親しい人にも勧めません。」(219、220ページ)
「その話をした時は、チームのメンバー全員がしばらく沈黙してしまいました。」(236ページ)
「晃大へ。晃大。入社してから3年半、大好きな会社のために一生懸命働いてくれてありがとう(略)日本は、きっと大丈夫です。チームK」(238ページ)
いやあ…これはキツいよ。仙水忍ぐらい自分の中にしかいない複数人と何度も話し合いしちゃってるもん。
それと、この最後の呼びかけの胸クソ悪さよ。実は面識がなかった故人への実在しない「チーム」からの熱い手紙が「私たちは売りたくない」のラストなのだ。
これはだいぶシンドい。
例えば、身バレを防ぐためとか危険を回避するためとか、どうしても個人情報を守るためにボカしたりフェイクを混ぜたりは、発信の際には許容されると思う。しかし、さすがに今回のケースは擁護のしようがなくないか。
ワクチンを売る会社にいながら、バッキバキに反ワク活動をして新型コロナ関連で好き放題に発信していた者(後述)が、さも会社の方針に反発する複数がいて義憤にかられチームを組んだように見せかけて「売りたくない」「危ないかもしれないものを売らされる」なんて出版をしたわけだ。
しかも反ワク活動に日夜はげむ外部の者から情報提供を受け、そうした思想活動のために面識のなかった会社の後輩である故人まで「利用」したことになる。どうにもならんぞ。
(そでに書かれた著者「チームK」の紹介)
反ワク界隈を中心に、「そんなことよりmRNA、レプリコンワクチンの危険性に触れた中身を読め」みたいなエクストリーム擁護をぶっ放す知能が粗雑な人もいるようだ。
あのさあ。こんなに虚偽を並べられた本で「俺達が読んで欲しかった部分はここだ」なんて通用するわけがないだろ。
ちょっと1、2カ所が誤っていたってんじゃねえんだぞ。「危険なワクチンに反対するチームができて故人を思って立ち上がった」とかいうコンセプトから嘘だったんだろ。そんなことする奴の言うことをどう信用すんねん。
コイツのせいでお前らが信じて欲しい「ワクチンは危険と見るデータ」が台無しになったぞ。「ああ、あの捏造本にも載ってたやつ(プw)」って言われて、「あの部分だけは本当なんだよ!」って弁明する手間もできただろうが。
なんてことしてくれたんだって思わないのか。
また、今回の事実が公表されたことで「社員が書いていたと証明できた」「亡くなった社員がいたことは事実だと確定した」なんて開き直る奴はどうかしている。
なぜなら、これまでは真偽不明だった話を称賛していたと言っているようなものだからだ。アホにも限度ってものがあるだろ。
「チームK」を騙った社員の正体
さて、当該社員が今後どうなるかだが、Meiji Seikaファルマは大企業だし、社員の「思想」で重い処分をするわけにはいかないと推察する。
ワクチンを売る会社にたまたま反ワク野郎がいて会社を貶める表現活動をしても、おそらく懲戒解雇まではハードルが高い。
また、処分には出版社の言い分も不可欠だろう。ないとは思うが、出版してと強引に言われて止むを得ずなら多少は情状酌量の余地も…いや、どうだろうな。考えにくいが。
どういう処分か、既に処分されたのかは分からない。ただ、自社を貶めて調査と公表までされることをしでかしても「私は辞めたくない」と会社に居続けることはおそらく可能だと思う。
ネット上ではチラホラ分かっている人もいるので答えを書いてしまうが、この社員は「製薬リーマン」などと名乗ってネット上で表現活動をしていた。
「闇のダディ」というアカウント名で間違いないだろう。
現在は活動を停止しているが、それが「私たちは売りたくない」執筆に集中するためだったのか、それとも社内でバレて色々削除して止まったのかは定かではない。
反ワク界隈の動画にも、このように何度も顔出しで出演していた。
(以下の限定部分では、この「闇のダディ」がどういうアカウントで、コロナ禍でどれだけ酷いことを医療従事者や有識者にしてきたか、などを紹介します)