参政党、非公表ミーティングで大はしゃぎ。怒声が渦巻く街宣も<詳細レポート>
参政党が躍進の参院選後、首都圏で本格始動した。
まずは8月23日、さいたま市内の施設での立候補者募集セミナーを実施。夕方からは大宮駅前で街頭演説会を行った。
セミナーには参加できなかったが、大宮駅前は絶好の観察スポット。神谷宗幣代表が久々に首都圏での演説とあって、カウンター勢も数えきれないほど集結した。

(大宮西口で街宣開始)
多くの抗議者と警官、海外メディアも
人通りの多い大宮そごう前。両サイドの歩道から参政党街宣車に向けてプラカードが舞い、「1、2、参政党!4、5、ロクデナシ!7、8、クズの群れ!」のオリジナルソングが鳴り響いた。
やはり今は参政党が告知すればこうなるのだ。

(参政党に抗議する人達)
沿道とデッキを埋める参政党支持者はピーク時で1000人ほどはいただろうか。不協和音が飛び交って演説内容が断片的にしか分からないだろうに留まっている。いつもながら不可解だ。
演説者が立つ街宣車の裏側の狭い歩道では、何度も押し合い圧し合いが起き、ひとときも穏やかな時間が流れない。
「レイシスト帰れ!」「どけオラァ!」「立ち止まらないで!」などの怒声が渦巻く。おそらくこの時間帯の日本国内では最悪の環境だ。

(参政党スタッフと抗議者の揉みあい)
参政党とカウンター勢だけでなく、双方をひやかしに弱小ユーチューバーらが来ていた。彼らは「参政党も嫌いだけど共産党も嫌い~」みたいなことを叫びながら抗議者を追い回したり、逆に追い回されたりしていた。
その背後で、近くの公園の盆踊り会場が見え、「ドドンがドン☆」と聴こえてくる。
なんだか高熱の時に見る夢みたいだ。

(別世界のような盆踊り会場)
埼玉県警がかなりの人数で警備にあたっていた。
街宣車を守るように並ぶ警官隊は迫力があったが、抗議者たちは「どっちの味方だ!」と怒りを露わにする。
まあそこは警察も仕事だから仕方ない。

(街宣車の前に並ぶ警察)
私の目の前で、参政党スタッフと抗議者のつかみ合いが起こり、警察も慌てて制圧に入る。どさくさに紛れて「ジャンボタニシを回収しろ」のプラカードがバキバキに破壊され、この事件に絡んで少なくとも二人がパトカーで連行された。
演説終了後、撤収作業が続いて「早く帰れ」のコールが響く歩道で、警察による現場検証も行われた。
そんな大混乱の現場には多数の記者が来ていた。私に取材をしてくれた顔見知りの方が何人も。熱心で嬉しくなる。
外国の映像メディアもいて、彼らは主に抗議者にインタビューしていた印象だ。参政党がいかに危険視されているかが海外にも報じられるのだろう。

(プラカードを破壊された抗議者)

(演説する神谷代表)

(神谷代表らの演説に声を上げる抗議者たち)
場所非公表タウンミーティングへ
翌24日が私にとってメインイベント。都内での参政党タウンミーティングである。神谷代表の講演と、立候補者募集セミナーが開催される。
やはりカウンターデモへの警戒は強いようで、場所は参加者だけに通知されていた。
…はずが、目黒区内の会場に着くとやっぱり怒声が響いていた。
非公表だろうが、来る人はどうにか調べて来るに決まっている。隠し通せるはずがない。
会場前に並ぶ支持者に向けて「なぜ差別政党に参加するの?」「カモ」のようなプラカードや旗が掲げられ、「差別に加担して恥ずかしくないのか!」などの厳しい声が飛んだ。

(会場前に押し寄せたカウンター勢)
ドキドキ…。今日はこんな中を並んで私も会場内に入るのだ。ただでさえ気持ち的にアウェーなのに、現実的にも参政党支持者として蔑視されている。
いつもより何段階か「罰ゲーム感」が増しているのだ。なぜ、何の罪もない私がこんな目に遭わなければならないのか(自分で参加してんだろ)
ともかく、私もスタッフに誘導されておそるおそる会場入り。
むちゃくちゃ怒鳴られたが、もはや何を言われたかも覚えていない。自分に向けられて初めて分かるが、プラカードも声も視線も全てがクッソ怖い。気の弱い党員は二度と参加したくないだろう。
こうなると完全に抗議者の勝ちだとは思う。

(参加者に向けられたプラカード)
厳重な会場内
やはり入場時の手荷物検査がいつもより厳しくなっていた。
ボランティアのおば様たちを増やしていて、その人達も張り切ってしまうから、カバンの中のハサミはもちろんホチキスですら預かっていたようだ。
やりすぎじゃね? ていうか集会にホチキス持ってくんなよ支持者も。

(入場時に通る寄付ブース)
ホールに入ると、既に席はほぼ埋まっている。参加者の年齢層は、やはり以前よりは若くなっていた。男女比は6:4ほどだろうか。
ここは1月末に「参政党は陰謀論政党なのか?」の自問自答講演会をやった場所。その時は約100人の客入りだった。417人収容で満員御礼の今回とのギャップがすごい。
いつもの集会とは決定的に違うことがあった。視線をむちゃくちゃ感じるのだ。
ステージ前や壁際で何人ものスタッフが等間隔に並んで客席を凝視している。まるで刑務所の集会だ。疑わしい者の排除に躍起になっている様子がよく分かる。だから客席にも緊張感があった。
さあ、では私も、自分を殺して従順な支持者に擬態しなければ。追い出されてはたまらない。いや、むしろ追い出された方が諦めもつくが、それはいいとして。
よし、参政党信者になりきるぞ。1、2、3。(言えよ)
これでいつも通り、私の外側は完璧にオレンジ色を愛してやまない中年男性…。神谷さんありがとうありがとうありがとう。うん、慣れているとも。でも、やっぱり心は拒絶しているのだろう。ときどき涙が勝手に出る。
つらい。どうして私がこんなことを(だから自分で参加してんだろって)

(開始前に満席になった)
スクリーン映像のために会場が暗くなった。
すると、私の少し後ろの席で、おじい様がスマホのフラッシュライトを誤って点灯させたらしく、操作に手間取っているうちに男性スタッフが駆け寄って「撮っていませんか?」と問い詰めた。
講演中は動画撮影禁止とのことだが、「世界に大調和を生む」などと掲げている政党が、じいさんのスマホ操作の一つにピリピリしているのは実に滑稽だ。
神谷代表と参加者が大はしゃぎ
いつものように、導入でスクリーンにPVが流れる。他のイベントでも見たことがあるので使い回しだ。終盤に「参院選で14議席獲得」との金色の文字が出るシーンが足されていた。
いよいよ開演。ステージに大きな拍手が注がれる。半そで白シャツが爽やかな俺達の神谷さんが登場し、かすれた声で挨拶した。
「昨日(大宮)の街頭演説がうるさかったので。最近ノドが弱くなったのか…」
この日もカウンターデモ勢が来ていることに、「うるさくて大変。今日も『お出迎え』がありますね。私は裏口から入るのでいいんですが、全国各地で熱烈な出待ち、お見送りがあります。ジャニーズ事務所に入ってるみたい。おっさんですけど」と会場を笑わせた。
タイムリーな話題で、抗議デモを容認したとかいう共産党への悪口も忘れない。
「選挙後も支持率が上がりましたよね。支持率で野党第一党になったところもある。何もしてないのに、追っかけ(抗議者)が盛り上げてくれたおかげ。それらを裏で操ってるんじゃないかっていう政党が『あれ(抗議)はあり』とか言うんですよ。いや、言っちゃったよ!ありなの!?みたいな。共産党の皆さん大丈夫ですかって(Xで)書いちゃいましたよ」
共産党が抗議デモを操っているわけではないのだが、観客も同調して笑いながら何度も頷いていた。
客席の反応もよく、上機嫌な神谷代表はニコニコが止まらない。
今回の選挙の躍進について自己分析しながら、「一発屋の域を出ていない。この間までイロモノ芸人みたいな感じ。『神谷2時50分』になってました。今は波田陽区ぐらい。古いでしょう。『残念』な感じがしますね。そのうち消えるな、みたいなのがまだあります」。自虐とも芸人ディスりともつかぬ漫談で会場を温めていった。
「メディアに叩かれたから伸びた」として朝日新聞、毎日新聞を名指し。当てつけるように感謝しつつ、「雑誌にも『神谷は日本のトランプか』って書かれたんです。あと、写真(風刺画)でプーチンさんがトランプさんの首に縄をつけて、そのトランプさんが連れている犬の顔が神谷になっていた。けっこう嬉しいですよ。だってプーチン、トランプ、神谷ですよ!」と高笑い。
これにはトランプ好きが多い会場も大ウケで、手を叩いて喜んでいた。
久々に妨害されない集会で、客席も含めて大はしゃぎである。あらためて、中に入って見ているとコイツら本当にキモ
おっと、いかんいかん。
参政党の歴史観などを披露
神谷代表の講演の内容は簡単に言うと「参政党が考えている世界史と日本史」だった。
ここから「グローバリズムと日本の安全保障」をテーマに2時間ほど語るのだが、これがまあ…その…あの…いつものアレなやつで