【潜入ルポ】「歯医者は感染者いない」「ワクチンは医療犯罪」党アドバイザー井上正康氏に喝采
参政党の政治資金パーティー④
どうも、黒猫ドラネコです。
すっかり夏は過ぎていったようですね。
この潜入ルポ連載も第4回に突入しました。
おかげさまで、いずれも好評で順調に読者数が増えていますが、驚いたのはこのレター記事の「業界購読率」の高さでした。
ライター仲間からの評価だけでなく週刊誌記者やネット媒体の編集さんから、かつてない程のペースで連絡が来ております。ちょっと震えます。
分かる人には分かるのだなと。まだ形になるかどうかは分かりませんが、読者の皆様が拡散してくださるおかげで寝る間も惜しい程に忙しくさせていただいてます。
参政党員さんも読んでくれてるかな?これからたくさん報じてもらえるといいねえ!
お楽しみにね!
と、ここで恒例の宣伝を。こちらもたくさん見に来てくれると嬉しいです。
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9月23日(金・祝)の昼、横浜で「スピ陰謀論文化祭2022」開催!
「あなたを陰謀論者にする言葉」著者の雨宮純さんと黒猫ドラネコによるトークショー。
ついに国政政党となった参政党に、初公判を終えた反ワクチン集団・神真都Qの今後は!?あの子宮系教祖やインチキ予言者も迷走・暴走中!?
この機会にしか見られないスライドや、ぶっちゃけ話が満載。オカルトライターの進境を示し続ける雨宮純と、アンチカルト漫画原作者となった黒猫ドラネコが注目のトンデモ案件を語り尽くすイベントです。
配信チケットご購入、ご来場を心からお待ちしております。全てのトンデモウォッチャーにエールを送る秋の祭典をぜひお見逃しなく。アーカイブ配信は10月初旬まで視聴可能です。
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さて、潜入ルポ第四回の概要は次の通り。
▽出た!反ワクチンの旗手、井上正康氏
▽「歯医者に感染者は一人もいない」(!?)
▽「ワクチンは医療犯罪」宣言に最大の拍手
▽5類に落としたその日にコロナは成仏(雑ゥ!)
▽なぜか世界史の授業を受けさせられる中高年たち
▽日本はフィンランド化するのか…
▽この会場の人は「騙されない」
▽いまいちな「目覚め」のための演説
まあ分かりやすい反ワクチン思想をぶっこんで来たところで、とりあえず乗り越えましょう皆さん。覚悟はいいですか?
それでは張り切ってどうぞー!
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出た!井上正康!
ここからは怒涛の講演三連発である。
実は当初の予定では、このあたりの時間で神谷宗幣議員と吉野敏明氏による「漫才」が入っていた(もうキリがないのでツッコまない)のだが、吉野氏が都合により欠席したことで直前に変更されたらしい。
吉野氏が前回のパーティーで見せた、あのカルト的なムーブがまた見られるかと思って期待していただけにガッカリだ。
ごめん。期待していたってのは嘘。
もう…オイラもうこれ以上、お金を払っているにもかかわらずツラい思いはしたくないんだ。
人生とは乗り越えるべき理不尽の連続だ(自分で潜入してんだろ)
とりあえず、これまではイベントの流れに忠実に書いていたが、今回だけは無料部分で出しておきたいこちらの都合で時系列が前後する。三つの講演のうちの最後を最初に持ってきた。悪気はそんなにないのでお許し願いたい。
しかしまあ、よしりん欠席のせいで、よもや反ワクチンの旗手の講演を見せられるハメになるとは…。
やっぱりM-1みたいな出囃子に乗って颯爽と登壇したのは、党のアドバイザーにも名前がある井上正康氏(大阪市立大学名誉教授)。
今や反ワクチン界隈の重鎮である。拝まんばかりに目を輝かせる党員のおじさんおばさん達。
(パーティーのスケジュールより)
井上氏は開口一番、「75年前にピカドンが落ちた広島で生まれまして、少し(頭髪が)薄くなっておりますけども…」と不謹慎な自虐ネタで会場を温めにくる。
私はドン引きだが聴衆は大ウケ。どんな倫理観してやがるんだあなた達は。知ってたけど。
毎朝のように多くの論文やデータに目を通していると話す井上氏。「正しい知識を持って、みなさんに伝道していただきたい。ネイチャー、サイエンスなどの医学論文として出ているものを基本に、テレビしか見たことのないおじいちゃんおばあちゃんでも分かりやすいようなストーリー。これは私の考えではなく、世界がワクチンをどのように考えているか」と豪語してから講演を始めた。
もはや壮大なフリにしか聞こえない。昨今のネット上の反ワクチン思想の蔓延に大きく寄与していると言って差し支えない人物である。
私にとってこれが初めてのナマ井上講演。どんな言葉が飛び出すのだろうか。必死にメモを走らせる。
まず井上氏が発したのは、感染症の歴史など。「スペイン風邪の実態はアスピリンによる薬害」と、現在では否定されている(しかし反ワクチンさん達の間では根強く残る)説もしれっと述べたが、そのあたりの細かい指摘はキリがないので止めておく。
次いで、「日本人は毎年2月にインフルエンザで免疫がついているから新型コロナの感染者が少なかった」という自説。これが「ファクターX」の正体だというのだ。他の講演や動画でもさんざん言っているようだが、いま一つ根拠に乏しい。
全体を通じて「医師」と言うところを「ヤブたち」と表現するなど、感染対策や医療を軽視する姿勢でずいぶん乱暴な内容のトークが続いていく。
井上正康氏 「インフルエンザはワクチンとタミフルが売れるボーナスだった。これが3年間全く売れない。これが陰の医療崩壊」「東京は8月にNYになると涙ながらに訴えた人がいたが、8月にないたのはセミだけだった」「(京大の山中教授が)10万人死ぬとかノーベル賞が吹っ飛んでしまう発言をしたけどもね」
いずれも聴衆は手を叩いて大喜び。その盛り上がりの果てに、こんな内容が飛び出した。
井上氏 「口の中を毎日覗くヤブがいますね、歯医者さん。歯医者でコロナにかかった人は一人もいません。なぜなら、口の中にトゲトゲたんぱくがあるから毎日これを(患者から)吸って、粘膜の免疫軍事訓練をしている職業集団だからです。耳鼻科もことしの4月に1人発症したという報告があるが、ほとんどかかりません」
もはやデマと書くのも字数がもったいないぐらいのただの嘘である。
いくらなんでも「一人もいません」はマズい。科学とかデータ以前の話で、あまりにも酷い。(その1人報告したっていう耳鼻科医もなんなんだ)
これが本当なら、有志の歯医者さんは今すぐになぜ自分が新型コロナに罹っていないのかという研究のために身を捧げた方がいい。英雄になれる。
聴衆のレベルに合わせての話題なのかもしれないが、だとしたらこんな内容の講演でいいとナメられているのではないかとすら思う。参政党さん本当にさあ…。
井上氏が口腔内の粘膜の機能についてこだわっているのはよく分かった。
たとえば、「2年前の国際論文で出ています。意味することは、歯ブラシをきちっとやっておけばコロナは20分の1になるということ。ステイホームも、人流抑制も何もいらない」と述べたこと。
私はこれを聞いてる間ずっと口が開いてしまったので、こんな講演なんか抜け出して歯ブラシしてきた方がよかったかもしれない。
そりゃあ口腔内の表面についたウイルスなら歯ブラシどころか、うがいでもなんとかなるだろう。しかし、20分の1になるって断言はやっぱりよく分からない。
論文があるってんならまあ…こちらも素人ではあるし絶対に嘘だとは言わんよ。そういう論文もあったのねとしか。
それで、これもちょっと前から反ワクチン界隈のツイートなどでよく見た井上氏の持論なのだが、新型コロナウイルスは「糞口感染」がメインであるという。
「屋形船でもクルーズ船でも一番PCRが爆発的に陽性になったのはトイレの便座からだった。日本の名医が『マスクはパンツ』だと言ったが、マスクはお尻にしなければ意味がなかった」と。
これに聴衆は大拍手…は、もういいや。
井上氏 「トイレスマホをやると表面にコロナ菌がばりばりつく。最も重症なのはスマホの表面。アルコールで消毒し、トイレの外で手を洗う。これだけでコロナは20分の1になる。歯ブラシをちゃんとやって、トイレにシュッと(消毒を)やればコロナは400分の1に激減する。本来、政府や専門家が発信すべき情報であると考えています」(じわじわと拍手が拡がる)
ぐううう…。これはどうなんだ…?
20分の1(歯ブラシ)と20分の1(トイレ消毒など)で、新型コロナが400分の1(テッテレー☆)ってのも、いったい何のことなのか。
ウイルス量か感染者数か。とにかく(やっぱりレベルに合わせてなのか)雑な話だとしか。
「×2だから400万パワー」のウォーズマン理論、「潰して食べたからカロリーゼロ」のサンド伊達さん的な考え方にしか思えないんだが、やはり何かの論文からだというのだろうか。
何かの引用にしたって、これだけ蔓延した感染症において、そんな都合のいい掛け算が果たして成り立つのか?
いつも清潔にして感染対策に気を配れってんなら、あながち間違いでもないとは思う。しかし、トイレの様式だって洗面所の衛生状況だって各国で違うわけだし、誰がどうやって調べたんだろう。
ちょっと気になるのは、井上氏がこの話に限らず、ところどころ「コロナ菌」と言ってしまっているところだ。
よもやウイルスと菌を間違えるわけがなく揚げ足とりだと言われたくない(じゃあ揚げるなって)ので、言葉のアヤとかあるんだろうし、聴衆のレベルに合わせてのこともあると好意的に(?)とらえるしかない。
でも党員さん、ナメられてると思ったら怒った方がいいよ。これ金払って聞かされてんだもん。
「反ワクチン宣言」への喝采で揺れる
さあ、ここからいよいよワクチンの話。
撮影禁止のためお見せできないのが残念だが、特にスクリーンが酷かった。
データの数字やグラフの周りに、無断使用であろう手塚治虫のキャラクターでおそらく「ワクチンで死ぬ」を揶揄した「お迎えでゴンス」などが散りばめられ、(面白いと思ってんのかなこれ)大仰なマスクの絵、お猿やムンクの叫び、小池百合子都知事、河野太郎大臣、ビル・ゲイツを嘲笑するような画像、尾身茂氏、西浦博教授らをデフォルメしたイラスト(おそらく小林よしのり氏の漫画から)でもうごっちゃごちゃ。
そんな毒々しいスライドを示しながら、参政党アドバイザーの井上氏はいよいよ本領を発揮していく。
井上正康氏 「メッセンジャーRNAにタンパクを作らせて免疫を刺激する。これは実はワクチンではございません。50年間失敗を重ねてきた遺伝子治療薬なんですね。ワクチンと呼ぶことで緊急使用が可能になり、運転をしたことがないのがドライブでいきなり首都高速をぶっとばすライセンスをもらった。日本人が主に使っているmRNAはものすごく分解されにくいような形で使われている」
会場から「おぉ…」の嘆息が漏れ、フンフンと鼻息も聞こえてくるようだ。
そう、党員のほとんどは「反ワクチン」か「昨今の感染対策やワクチン政策に疑問を持って」集まった中高年たちなのである。
よく見ると、私と同じように井上氏の発した一字一句を逃すまいと熱心にメモをとっている方もちらほらいる。
ち、違う、私は違うんや…とか思っている間もなく、この講演のヤマ場が訪れた。それまで落ち着いて話していた井上氏も、心なしかテンションが上がっている。若干の要約はしたが、発言内容をほぼ正確にメモ起こしした。
井上氏 「圧倒的に死んでいったのはワクチンを3回打った人達。無効なだけでなく有害であるそういう状況で、いま計算しなおしても効果は変わらない。世界中で同じ現象が起こっている。来年5月にならないと安全性も有効性も分からないとファイザー社が書いている。コロナの本質は肺炎ではなくて血栓症。スパイク自体が血栓をつくる毒であると国際論文に出ている。毒タンパクを一生作り続ける体になる遺伝子治療薬。すぐに分解されるとデマ太郎(反ワク界隈での河野太郎大臣の蔑称)は言いましたけど、実は数カ月も体内に留まって、卵巣や精巣に蓄積するということが厚労省のデータで分かっている。結果、4、500人が去年だけで亡くなった。生ワクチンを打った日本人がワクチンを打たなければいけない医学的理由はどこにもない。そんなものを子どもに接種させるなんて、私が50年間医学で講義をしてきた歴史からは、医療犯罪以外の何物でもない」
言い終えるか終えないか。まるで土砂降りがトタン屋根を叩くような、破裂音と言ってもいいほどの喝采がホールを揺らした。
このイベントのこれまでで最大の拍手だ。深く頷き、頭の上で手を叩いている人までいる。隣のサマソニ会場からボンボンと響く音が聞こえていたのを完全に凌駕していた。
私を除くおよそ6000人が、この「2022幕張・反ワクチン宣言」の全てに、何の疑いもなく賛同している。
皆さんが忘れてしまってはいけないから何度でも書こう。
井上正康氏は
「参 政 党 ア ド バ イ ザ ー」
そしてこれは「参政党の国政政党としての政治資金パーティーでの講演」である。