【総括】参政党「初の衆院選」で存在感なく
有権者はたまったもんじゃないと思うが、見ている分には面白かった。そう、9候補が乱立した衆議院東京15区補選のことだ。少し遅くなったけれど、今回は参政党ウォッチャーの目線から総括したい。
俺達の参政党にとっては結党以来「初めての衆院選」だった。あんなに鼻息荒かったのに、その存在感は限りなく薄かった。
最終得票数8639。目標としていたらしい1万票に届かなかった。
もちろん当選は無理筋だった。しかし国政政党でありながら供託金を没収されてしまう計算になる。得意のパーティーでもすればすぐに楽しく回収できるので痛くも痒くもないだろうが、それよりも世間に爪痕を残せずに終わったのはキツいのではないだろうか。
今回の候補者の中では間違いなく断トツで影が薄かった。なんなら、海外に山登りに行っていた弁護士の方が「なんじゃそりゃ」で印象に残ったことだろう。
吉川里奈候補は、アレな感じの集団にもかかわらず「女性の戦い」とかなんとかでひとまとめにうまく報じられてはいたが、つまり女性候補者、母親という点で他と被ってしまい、なんなら看護師だったことも当選した酒井氏と被っていた。
(演説する吉川候補と神谷代表=江東区内)
信仰もとい新興政治集団としても保守のイデオロギー的にも日本保守党に勝てるところがなく、突飛な面ではつばさの党に話題をさらわれた。
そして、地域密着とイロモノ枠も兼ねるトリックスター須藤元気氏に人気はもちろん、全ての活動で敵わなかった。反ワクチンや農薬デマを信じるなどの思考が重なる部分もあったので、共闘できていれば何らかの波は起こせただろうに。
須藤氏自身は意外としたたかなので、無所属で戦えたことが分かっての今後には注目だが、きっと今の参政党には入りたくないだろう。
(須藤氏が「誘い」をかわす名シーンはこちらから)
今回、大型商業施設前で行われていた参政党の演説を見ることができたが、支持者らしき人は少なかった。一般市民もそこまで足を止めずに、その時は東京ブロックの区議らと30人ちょっとが見守るのみ。
吉川候補と神谷代表が、街宣車の上から「お注射がどうのこうの」と相変わらずな感じで喚いていたが、普段から参政党の反ワクチン的な主張を知っているわけではない一般の方々は、何のことを言っているのやらさっぱり分からない。(参政党はYouTube動画のBANを避けるためにコロナワクチンのことを「お注射」などと表現する)
タイミング良く裏手の広場で献血が行われており、そこに「お注射が!」との主張が響いてきて、並んでいた人らが「えっ!?」と振り返るような、全盛期のアンジャッシュのコントみたいな光景が繰り広げられていた。
まあまあ面白かったのはそれぐらいだ。
(神谷代表と参政党陣営に挨拶する須藤元気氏=江東区内)
つばさの党との因縁
私は今回の15区補選について、ウォッチャー的な目線で「参政党VSつばさの党」などを分析したいと当初は考えていた。
しかし、聖地・新橋を何度も強襲し、討伐情報のオープンチャットさえもある黒川あつひこ氏らの陣営が、今回は別の色んな候補者に仕掛けまくっていたのは周知の通り。話題性と知名度アップに舵を切ったのか、中盤以降は参政党には目もくれなかった。
これまで通りオレンジ狩りに執念を燃やしてくれていたら、「混戦だった今回の選挙戦では実はこんな騒動もあったんですヨ」と、総集編での名珍場面集の一つぐらいには入れてもらえただろうに。アンチにまで見捨てられたらもうね…。
これまで党として妨害活動に対策を続けてきたことや、旧N党時代からの因縁の構図などを解説したり、この3月の新橋SL広場演説会での攻防で、黒川氏らが用意した櫓(やぐら)上の巨大スピーカーを何とかしたいと参政党スタッフらが持ち出した段ボール箱に「東京 吉川」と書かれていた伏線も回収できたかもしれないのに。それが書けずに非常に残念である。
え、もう十分だって?
(黒川氏らに衣装ケースなどで対抗する参政党=3月、新橋)
(罵声を遮るために参政党が出した箱に書かれていたのは…)