【詳細レポート】4・13池袋デモ行進。「WHO脱退」「ワクチン接種許すな」の声と感涙のフィナーレ(後編)

池袋に数千人が集結した反ワクチン行進のレポート(後編)です
黒猫ドラネコ 2024.04.20
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第一部隊を追って

 さあ、この界隈にとって一大イベントのデモ行進がついに出発だ。

 狭い公園内に出発を待つ数千人が集合していて、誘導の声もスピーカー不具合で途切れ途切れになって大混乱。準備した横断幕やメガホンが行方不明になったほどだったようだ。

 予定時間を過ぎながら隊列を組まされた皆さんは時折、警備担当の警察官に向かって「早くしろや!」とか怒鳴り声をあげていた。(主催者の段取りが悪いんやで…)

 先頭付近の中高年はやけにガラが悪い幼稚な態度の人が多い印象。何が起きているのか心配そうな沿道の一般人に向かって「撮るなコラァ!」とか言っている。

 あーあーもう…平和的なデモじゃなかったのかよ。

 第一部隊の先頭で、警察車両と先導車両に続いて「世界統一政府を許すな!」の横断幕を持つのは、左から村上康文氏(東京理科大学名誉教授)林千勝氏(ノンフィクション作家)水島聡氏(新党くにもり、チャンネル桜)井上正康氏(大阪市立大学医学部名誉教授)。

 あの界隈の名だたる4名が掲げる「世界統一政府」とやらについては、なんというかまあ、アレな感じなのは皆さんもお分かりかと思うので割愛させていただく。

 あと、変な長い木の棒みたいなのを持っている人がいるけど、横綱土俵入りの太刀持ちみたいな感じなのか守護的なアレなのか、よく分からなかったので割愛させていただく。(もしやこれ割愛ばっかりになっちゃうんじゃ…)

(第一部隊の先陣を切る4人の重鎮)

(第一部隊の先陣を切る4人の重鎮)

 

 動き出した車両からすごい大音量。「池袋の皆さん、こんにちは。私たちは強制的ワクチン接種のWHOパンデミック条約と国際保健規則IHRに反対する市民団体です」「日本の主権を無視して接種を強要するWHOに強く抗議します」とか流れてくる。

 第1部隊はそれに呼応しながら、たくさんの日の丸や横断幕、「WHOを脱退せよ」など様々な主張のプラカードを掲げ、声を張りあげて拳を突き上げながら歩き始めた。公園に入りきれなかった沿道の方々から大きな拍手が起こる。

 歩きながらしだいに熱を帯びて声が大きくなるシュプレヒコールは、「健康を人質にしたWHOの横暴を許すな!」「政府は人口削減ワクチンを止めろ!」「ワクチンで医師会に利益誘導する武見厚労大臣を許すな!」「ワクチン接種後の超過死亡激増を報道しろ!」「インフルエンザの遺伝子ワクチンを接種させるな!」など。

 (いや、割愛したかったんだけど、何を言っていたかだけは一応ね)

 コールの合間にプァーン!とチアホーンが鳴らされる。「昔のJリーグみたいで懐かしいな」とか思っていると、東池袋中央公園前から出た一団は、首都高速に沿ってから左折。明治通りを池袋駅前の繁華街へと進んでいった。

(例の「有志医師の会」の横断幕)

(例の「有志医師の会」の横断幕)

(日の丸を持つ人も多かった)

(日の丸を持つ人も多かった)

 東口ヤマダ電機の裏側、住友ビルなどが並ぶ特別区道を抜けていく。

 コールとは別に、沿道から眺める人々に向かって「みんな目覚めてー!」「打たせるなー!」「テドロス(WHO事務局長)くそったれー!」とか手を振りながらわーわー言っている。

 土曜日の池袋はさすがに人が多かった。観光客らしき外国人グループが興味深そうに写真を撮っていた。

 ふと、白人の老夫婦が先頭の横断幕を指している。「ビル・ゲイツ!?」と驚いて顔を見合わせ、そのまま何かを察して呆れたような笑いが広がっていた。

 こういう沿道の特別なワンシーンが見たくて私はデモを追うんだと再認識する。

 

(繁華街を行く第一部隊)

(繁華街を行く第一部隊)

 真剣なのは分かるが、行進中の皆さんは表情が硬く、なんならちょっと険しくて怖い。

 そこは井上正康氏が大事そうに抱えている相棒のふくろうのぬいぐるみによって穏やかな空気に …されない。事情が分からないから余計に怖い。

 とりあえず往来の邪魔だったのは確かだし、物珍しさもあってかデモ隊に何らかの反応を示す人は多かったが、スピーカーからの音量がガンガンに響いていて、思わず耳をふさぐ若者が多数いた。

 あまりにも音が大きい。いろいろと逆効果なのではないか。

 「何あれ…うるっさ」は分かるが、「反ワクじゃん」「うわ、反ワクだよ。初めて見た」「ジジイ集まり過ぎじゃね?」「それな」のように辛辣な声が意外と拾えてしまうあたり、個人的には池袋の若者は大丈夫そうだなと思った。

 そういう反応ばかり注意深く(ニヤニヤしながら)私が集めていたことは認めるが、沿道からの支持を得たいのならもう池袋開催はしない方がよさそうだ。

あの人がここにも来た

 デモ隊は繁華街を抜け、グリーン大通りの交差点へと差し掛かる。

 お昼過ぎの池袋東口五差路。当然、道を渡りたい人達で溢れていた。だけどデモ行進が優先になってしまうので、警察に信号を操作されてしまい、みんな足止めされているのだ。

 「何あれ…」のドン引きに続いて、最初はスマホを向けたりもしていたが、じわじわと「まだかな」「いつまで待つの」と不満の声も増えてきた。追っているこっちまで申し訳ない気持ちになる。

 そんな一般人の冷めた視線には構わず、ここぞとばかりにデモ車両から大音量。

 「日本の主権を無視して接種を強要するWHOに強く抗議します!」が発せられ、ゆっくりと行進しながら「気付いてー!」「目覚めてー!」とか泣き叫ぶようなおば様たち。

 そして大音量の「許すなー!」などがスピーカーから何度も何度も至近距離で発せられ、みんな心底迷惑そうだ。こっちの方が許せねえよ。私もそろそろ色んな意味で頭が痛くなってきた。

 …しかし!

 ここで、とんでもないことが起きる。

 なんと、タイミングよすぎるツッコミの声が、マイクからの大音量で交差点に響いたのだ。車両の音声「WHOパンデミック条約と国際保健規則IHRに反対する市民団体です」に対してすぐに。

 謎の男「それはもう分かったから早く通ってください」

 あまりのキレの良さ。緊張と緩和からか、沿道の人々にどっと爆笑が広がった。ムッとして思わず睨みつけてしまうデモ隊員たち。

 …なんだなんだ? 仲間割れ??

 いや、デモ隊の向かいの歩道から… 一体誰が…? 

 あっ! 

(この…のぼりは…?)

(この…のぼりは…?)

あ…ああッ…!

見覚えがあるのぼり…! 

そ、そして…やけに性能が良いあのスピーカーは!

(こいつは…!)

(こいつは…!)

 

ああ、出たッ! ででで出たーーー!

塚口だ! 塚口洋佑がここにも来たんだ!!

 あのダルビッシュ投手に技術論をふっかけてごく一部に超有名人となった元野球指導者である。

 「コロナは茶番」「反マスク」の活動家ではあるが、多数で群れる陰謀論系デモには迎合しない独自スタイルになったことでおなじみ(?)

 塚口氏は大音量のシュプレヒコールにかき消されながらも、原口一博議員、池田としえ市議、深田萌絵氏らデモ賛同者の名前を出し、中国とロシアの手先だのなんだのとディスっていく。

 お前ら、陰謀論デモのあるところに現れては陰謀論カウンターを食らわす塚口さんの存在を忘れちゃ困るゼ!

 そういえば出発前に、主催者から「邪魔をする勢力もいるだろうけど相手をしないこと」と注意喚起があったのだった。それが塚口氏のことを指すかは知らん。

 黒猫ドラネコを最近フォローしてくれたローンウルフ塚口よ、見てる分には面白いぞ。ただし、一般の皆さんと警察の迷惑にならないよう気を付けてな。

 さあ、塚口の声が徐々に遠くなっていくグリーン大通り。この行軍における最難関(?)を抜けた一団は、池袋駅名所のSEIBUをバックにして、なおも叫びながらずんずん進んだ。

 ここから車は増えるが、土曜日のオフィス街になるのか沿道の人通りはやや少ない。

(グリーン大通りを行くデモ隊)

(グリーン大通りを行くデモ隊)

 

 デモ隊はこれ以降も何度か長時間の信号待ちをさせ、池袋の民に騒音と苛立ちを運んだ。

 トラック運転手が警察に「いつまで止めるんだ」とブチ切れていたり、ベビーカーで寝ていた赤ちゃんが大音量に泣いてしまった若いお母さんのため息も聞いたりしつつ、再び首都高に沿って出発点の公園へと戻っていく。

涙、涙のフィナーレ

 およそ30~40分ほどの比較的短いルートだった。

 第1部隊が再び辿り着いた公園前は、地鳴りのようなものすごい拍手と歓声が起こった。まだ出発できていない第5部隊以降の群衆が沿道に押し寄せたのだ。

 みんなガードレールに身を乗り出すようにして、思い思いのプラカードを掲げたり国旗を振ったり、先陣を切った第1部隊を出迎える。

 「井上先生えええ!」「お疲れ様あああ!」「林先生ありがとおおお!」「WHO脱退いいい!」「インフルエンザワクチン打たせるなあああ!(???)」

 手を振り返し、声援に応えるデモ隊。

 ここはまるで遠征から帰還した城内だ。難攻不落の池袋を完全制圧したヒーローたちが凱旋…。そんな狂喜乱舞の大騒ぎになっている。

 実際はかなり迷惑がられて塚口からディスられたぐらいしか見所はなかったのに。

 そんな感動のフィナーレを進む歩道には、公園の木々の隙間から午後の優しい光が漏れ、うまい具合に桜が舞った。ピンク色の花吹雪がキラキラ降り注ぐようになり、デモ隊と出迎えた仲間たちを包んでいく。

(戻ってきた部隊を出迎える公園前の人々)

(戻ってきた部隊を出迎える公園前の人々)

 参加者の脳内が現れたかのような幻想的な光景。それは巣鴨プリズンの英霊たちからの祝福だろうか。

 「うわああああ!」と沸き上がる大歓声。沿道では涙ぐむ女性がたくさんいる。デモ隊の中にも、思わず目頭を押さえて天を仰ぐおじ様がいた。

 ああ、私たちは目覚めた光の戦士…。

 息苦しく過ごしてきた。周囲にも家族にさえも理解されなかった。つらい思いをした。ネットに、SNSに答えを求め、それも否定されることもあった。ずっと反ワクだと言われ、陰謀論者だなんて馬鹿にされて……。

 でも、これからは違う。こんなにも頼もしい仲間たちがいる。オセロをひっくり返す日が来るんだ。きっと世界は変わる。ここにいるみんなで、悪の組織WHO、世界統一政府、ディープステート(DS)などの巨大な敵に立ち向かって戦っていくんだ。日本のために、子どもたちのために…!

 これにうるっと来ないのは淡々と職務をこなす警察の皆さんと、公園横のビルから出てきてドン引きしながら眺めている一般の若い方々と、黒猫ドラネコみたいな冷酷なウォッチャーたちだけである。(けっこういるな)

 とりあえず、後ろがつかえている。ほら、警察が「次が出発するので集まらずに順次解散してください」って言ってるぞ。

 お疲れさん。気をつけて現実世界に帰ってくれよな。

(公園に戻って来た一団)

(公園に戻って来た一団)

(以下のサポートメンバー限定部分では私の感想と、数々の独特な主張のプラカード、名シーンなどの写真を。気になる方はぜひご登録をお願いします)

黒猫のまとめ

 15時すぎの終了予定を大幅にオーバーし、17時過ぎまで行進は続いていた。

 公園内では、最後の部隊出発まで池田としえ日野市議が壇上にいて、軽快なMCを続けて大声で仕切っていた。

 日本ラエリアン・ムーブメント関係者も登壇して自分達のデモ活動を宣伝するなど、やはり来るもの拒まずのスタイルであった。

 池田議員が声を上げたそうな人を見つけては「上がって!ほら!」と舞台に呼び、マイクで話させてからシュプレヒコールをさせるなど、出発を待つ方々を退屈させていない。主催者も池田先生にさぞ感謝したことだろう。

(雨宮純さんも取材して深掘りされていたのでぜひ)

 我も我もと楽しく叫んでいく舞台のそばでは、新党くにもり(チャンネル桜)関係者らが中心となった募金活動が延々と続いていた。「旗とか準備でお金がかかるので心あれば入れてほしい」そうだ。

 聴衆はゆっくり列を作って行進のための出発口へと進み、必ずこのカンパのブースの横を通っていく。何というか実に「スムーズなシステム」になっている。

 第1部隊から帰ってきた水島聡氏と握手しながら、簡単に箱に1000円札を放り込む高齢者たちの姿があった。素直にうまい手だと思う。何かこうしたノウハウがあるのだろうか。

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