【都知事選】旧参政党勢とステルス参政党、そして新星…

たのしい選挙取材です。
黒猫ドラネコ 2024.06.29
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有権者はたまったもんじゃないと思うが、との書き出しはつい2か月前の衆院東京15区補選の総括でもした。

さあさあ7月7日までの東京都知事選である。

大好きな参政党さんの候補が出ていなくて、最近いよいよ何の話題にも上がってこないことに寂しさを覚えている。こんな状況なんだから無理やりにでも擁立すればよかったじゃねえか。どこで日和ってんだお前らは、と。

がしかし、色々と参政党がらみで見るべきポイントはあったのだ。今回はそれを解説していこう。

(参考。東京15区補選総括はこちらから)

旧参政党を取り込んだうつみん

今回の都知事選には、トンデモ医師として名高く、「キチガイ医」を自称している内海聡氏が出ている。

反ワクチンの主張などが近そうな参政党員から支持があるのかと思いきや、話はそんなに単純ではない。この陣営や支持者には、参政党から離反したメンバーがかなり入っているのだ。

演説場所でも元党員や動画配信者の姿を確認した。東京ブロックの有力者ながら解任された女性、党から離れた区議も熱烈にうつみん支持。元参政党ゴレンジャーでは吉野敏明氏、武田邦彦氏が応援弁士となり、赤尾由美氏も応援を表明したことが分かっている。

あの頃の熱かったオレンジ色の亡霊と言ってもいい布陣。つまり内海氏は、勢いがあった旧・参政党の主軸をそのまま引き入れて自身初の選挙に臨む形になっている。

この都知事選はたくさん話題があって、うつみんのヤバさが薄れている。

私も学生時代の友人から「ちょっと過激だけど面白い人だね」と薦められたことがあった。世間の認識が「ズバズバものを言うお医者さん」ぐらいになっているなら、危うい。

内海氏は時折、ちまたの陰謀論を嘲笑したりもするので「あれ、案外まともなのか」と思う人もいるかもしれない。だが、それは逆張りの逆張りのような得意のパターン。「天皇家は日本人じゃない」みたいなことを言っている動画も出回っていた。これは偽天皇説が源流になっている立派な陰謀論だ。

古参の反ワクチン論者であることは言わずもがな、もともと波動機器メタトロンの使い手でもあり、効能の怪しい様々な物体や自然派にすり寄る食料品も売りさばいている。かつては「障害者の親は一生反省しろ」などの発言が大炎上もした。

本人も自覚しているように、「キチガイ医」だと思っていた方がいい。公衆衛生を蔑ろにしつつ、いつも過激な自然派志向や標準医療忌避で支持者を煽っていく。

やべえ人が医師免許を持っているというだけだ。

そんな内海氏の今回の選挙戦の第一声は、新宿駅東南口にて。

60人ほどの熱心な支持者の前で、主張のメインは「東京が外国資本に売られる」といった真偽不明の話。それと種苗法デマ、水道デマ、コロナデマを流して危機を煽るスタイルは相変わらずだった。

「コロナワクチンは世界最大の薬害になることは決まっている」などと述べ、「都知事になったらまずはファイザーとの契約書の黒塗りを全部公開します」と宣言していた。

内海氏との共著があって、こちらも世界的な反ワクチン野郎のロバート・ケネディ・ジュニア氏が米大統領選に出たが、そこに強い憧れがあるようだ。すなわち、バイデンでもトランプでもない第三の候補者。内海氏は「同じことをしたい。皆さんには、どちらかではない選択肢がある」と話していた。

アンタが小池氏と蓮舫氏の次点になるわけねえだろと思った人は、ちゃんとしている人だ。

(新宿駅前で演説する内海候補)

(新宿駅前で演説する内海候補)

懸命にチラシを配るスタッフは、「2から5へ」と書かれた青いシャツを着ていた。どういう意味なのかと尋ねると、「いま2パーセントいる『目覚めた人』や『氣付いた人』を5パーセントに増やすということなんですよ」と誇らしげだった。

…ごめん、わからん。その数字の根拠もさっぱりわからん。

最初の演説を終えて早くも声を枯らしていたうつみんと同じく、陣営も大興奮。

聴衆にお礼を述べたスタッフのおじ様は「『僕らの7日間戦争』を思い出しました。うつみんと私たちの17日間戦争です!」と絶叫した。

私は白目になりつつ「戦争に勝者はない」という大事な言葉を思い出していた。

「ステルス参政党」の閣下

さて、そんなうつみん陣営に対抗したわけでもないだろうが、「ステルス参政党」と言える候補者が元・航空幕僚長の田母神俊雄氏である。

都知事選に誰も擁立しなかった参政党は、特定候補の推薦も表明せず、党員に「自主投票」としていた。

しかし、告示後の田母神氏の第一声の時には、神谷宗幣代表が速攻で応援演説に立っている。早すぎるBクイックだ。なぜ党員に飛ぶタイミングを与えないのか。

有能ウォッチャー諸氏による演説画像の分析では、田母神陣営に参政党のスタッフが映っていた。

たまたま神谷氏が登壇したからそうなっただけかもしれないので、私は選挙戦2日目の上野駅前での演説を視察。神谷代表がいなかったにもかかわらず、やはりここでも見事に参政党スタッフが運営し、なんなら党所属の区議らもチラシ配りに奔走していた。うん、知ってた。

そもそも田母神氏は党アドバイザーだったから、支持しない方が不自然だ。「強制がない」みたいな党のポリシーが邪魔したのか、一応「自主」と表向きに言っただけだろう。

てなわけで、参政党さんは普通に党をあげて田母神氏を支援する気マンマンである。

(上野駅前で演説した田母神候補)

(上野駅前で演説した田母神候補)


演説で田母神氏は、「教育勅語や修身教育を復活させたらいいと思う」などと右寄りの怪気炎を上げ、「ワクチンでたくさん死んでいる」という説も平気で発した。

このへんは参政党などの関係者らからの受け売りなのだろう。ピュアなのか集票のための計算なのかは分からない。

応援弁士として日本保守党(元祖)の石濱哲信氏が立ち、こちらも「犯罪国家ウクライナを支援するなんてどうかしてる」「日系ユダヤ人が日本を多国籍にしようとしている」「帯状疱疹は免疫力があればかからないから危険な注射によって増えたとしか考えられない」などのアレな発言を連発していた。

話が長すぎ「陰謀論校長先生」のニックネームもある石濱氏。永田町やNHK前の各種デモでも差別的発言を大声で発していたおじ様だ。それらのデモを主催した日本列島百万人プロジェクトの面々は、実はほぼ内海氏の支持に入っているが、元自衛官の石濱氏が田母神氏に付かないはずがない。

このあたりの相関図が欲しくなる関係性も、この界隈ならではである。

(田母神氏の応援演説をした石濱氏)

(田母神氏の応援演説をした石濱氏)

保守系の受け皿にもなっていることや、その経歴から票数は上位になると予測される田母神氏。その主張は極めて右寄りで、今後もデモや集会のゲストには招かれるだろうが、率先して過激な扇動をするタイプでもなさそうだ。

初めて間近で話を聞くと、「75歳ですが、74歳にしか見えないと言われます」「遠慮しすぎて背がこんなに縮んでしまいました」「私は本当に優しいんですよ」などなど真剣な顔で色んなトボけた発言をするおじい様だった。

強面の大物ながら親しみやすいキャラクターも、保守系の界隈では人気の秘訣だろう。

反ワク勢力をかっさらう…?

旧参政党勢のうつみんと、「ステルス参政党」の田母神閣下…。

もう手押し相撲とかでどっちが上かを決めて欲しい。いや、二人が争っているわけでもないし、選挙はそんなものではないとのお叱りは真摯に受け流すとして、この二人をピンポイントで今後のためにも見ておきたいところではあった。

新旧の参政党が絡むという点を除けば(ここまできて除くんかい)、最近の池袋や日比谷の反ワクチン・デモに参加したような方々からの支持が見事に分かれたと見られる。

一般票を含めば田母神氏が圧倒的優勢で、内海氏は界隈の濃度が高いだけの泡沫の部類だろう。

だが、ここで大変なことが起きた。

内海氏が「令和の一向一揆」「東京から日本を取り戻す大祭」などと称し、投開票前日の7月6日に国会前で演説をおこなうと発表。この界隈のみんなに大集合を要請したのだ。

やはりこれに反応して沸き立ったのは反ワクチンさんたちである。4・13池袋、5・31日比谷…そしてついに7・6国会議事堂前。

「…土曜日なので国会はツアー客ぐらいしかいませんけど」という正論は誰も救えない。

うつみんに投票するかどうかは別にして、目覚めて氣付いて立ち上がった私たちの叫びをついに国の中枢に届ける時がきたんだんだんだー!と大盛り上がりとなっている。

「…都知事選なんすけど」という正論は(略)

狙いを定め「なるほど今はここだな」とばかりに過激な保守系が入り込み、丹念に人を集め続けて「光の戦士たち」を練兵してきた一連の反ワクチンデモ。その先頭を都知事候補者でもある田母神氏が行くなら、流れとしては分からなくもない。

それなのに、ここにきて突如、古参の反ワクチン派なだけの内海氏が、自分の選挙活動のフィナーレとして1万人規模の反ワクのパイを根こそぎかっさらうかもしれないのだ。

こんなやり方を保守系反ワクの方々が指をくわえて見ていられるというのか?

さあ、揉めろ! もっと争え…!潰し合え…!

(国会議事堂前での演説会の告知)

(国会議事堂前での演説会の告知)

じいちゃんばあちゃん大集合

さて、そんな毎度おなじみの内輪のわちゃわちゃもいいが(よくはない)、思わぬ伏兵にして真打ち登場には肌が粟立った。

みんな大注目の未来党である。

うつみん演説のついでに近いから見ておくかと、第一声のあった新宿アルタ前へ。

度肝を抜かれた。100人以上が歩道を埋め、そのほとんどがご年配の方々だったのだ。中高年と高齢者ばかりだった参政党の集会でさえ、この聴衆より平均年齢で10歳近く若かったはず。

この未来党は、トランプ氏とその周辺から垂れ流されるQアノン系陰謀論の一部を支持するおじ様が始めた新興宗k…もとい政治集団(なの?)である。

党から都知事候補者として出た木宮みつき候補は、田中角栄氏の娘(隠し子、自称)だという。

木宮氏は、「ゲサラ法」により全てのあらゆる借金がチャラになって全国民に死ぬまで毎月24万円が振り込まれると主張している。

それらをトランプ氏がやっていると伝え、世界を支配する闇の勢力を打ち滅ぼすためにとかなんとかのそんなこんなで、今回の都知事選に熱いまなざしで裸足のまま飛び出してきた。ああ、ここはおじいとおばあの陰謀論サンセットビーチ…。

真面目な場所では隠してみたり、「陰謀論みたいになっちゃうけど」みたいに逃げを打ったり、メディアにツッコまれて炎上したりすると「そんなこと言ってない」「党の総意ではない」みたいな逃げ方をするダッセエ連中とはわけが違う。

ウォッチャーはみんな待っていた。ここまで振り切れた集団の出現を。

(支持者に囲まれた木宮候補)

(支持者に囲まれた木宮候補)

何より、危険性をそこまで感じないのは支持者にとっても魅力だろう。

ご年配の方々が集合した様子を見ると、何かとてつもないことが起こりそうにも思ったが、悪いけどちょっと老いが強すぎて何も突飛な行動を起こせそうにない。みんなで国会議事堂を取り囲むような体力はない。ケアする人がたくさん必要になる。

最近のいろんな陰謀論集団みたいな「許せない!目覚めて立ち上がれ戦士たち!」の怒りが原動力ではなく、「みんなにお金が振り込まれるゲサラ法って素晴らしい」のようなざっくりほわほわした感じで集まったお年寄りたちだ。

とりあえず色んな詐欺にだけは気をつけていただきたいと強く願うが、誰がこの楽しい老後の寄り合いを責められようか。(いや、注視はするけどね)

しかし、どうしてこの集団に、こんなにもお年寄りがついてきたのだろう。気になった取材班(私)は選挙スタッフでもなさそうなのにチラシ配りをしていたおばあ様に尋ねた。

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