「LGBTは病名」「朝鮮人帰れ」「毒ワクチン」…嵐の中で暴言続々。陰謀論者デモ2Days詳報(永田町編)

2日間にわたる陰謀論者さんデモ(前編です)
黒猫ドラネコ 2023.06.06
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濃くなっている…

 台風接近や前線の影響で激しい雨に見舞われた2日の東京都内。

 4月下旬に続き、「百万人プロジェクト」と称した陰謀論者さんの集合体が、永田町周辺でデモのラリーを開催した。

(先月の様子は以下から)

 私も前回を見た立場として、この集団が「百万人の目覚め」に向け、およそ1カ月でどの程度の規模にまで育ったかは気になっていたが、さすがにこの悪天候では参加者は大幅減少。著名人の姿もなく、参加者は多くても60人程度にとどまった。

 前回はピーク時で200人以上もいたので、3分の1以下だ。登録者数54万人というユーチューバーもいなくなった。(こんな雨の方が面白い絵が撮れるのに)

 百万人への道のりは一気に遠のいたのではないか。

(やや寂しい集まりだったが…)

(やや寂しい集まりだったが…)

 

 正午頃から国会議事堂裏の議員会館前でリレー演説がスタート。前回同様、何か言いたい人が自由にマイクをとって叫ぶスタイルだ。豪雨の下に集まるだけあって、前より主張の内容が「濃く」なったのはすぐに分かった。

 シュプレヒコールでは「緊急事態条項反対」のように叫んだが、これに関する細かな主張があまりない。メインは「LGBT法案反対」。そして「国会議員の国籍を明確にしろ」というものだった。

 議員会館に向かって、「今すぐ日本から出て行け。朝鮮人がいるなら朝鮮に帰れ。中国人は中国に帰れ」などヘイトを吐き続け、マイクなしでも「お前らは人殺しだぞ」「この売国奴」「お前ら死刑だ!」などと野太い声で物騒なことを延々と叫んでいる人がいた。あまりにも怖すぎる。

 どうもこの人達は、理解できないことはすぐ「日本人のやることではない」などと差別的に片付けてしまいがちである。

 名古屋から駆け付けたという還暦のおじさまが登壇し、ここぞとばかりにオーソドックスな陰謀論を満開にした。

「インターネットで調べてくださいよ。いま岸田政権はディープステートに乗っ取られているんですよ。国際金融資本。そこの警備員さんも調べて!インターネットで!」

「私の知り合いはみんな分かっている人達です。このおかしなことをやっているのはディープステート。奴らは変質者ですから。忙しい日本人でもLGBTとかコオロギ食わせるとか、やりすぎたからおかしいと気付いたんです。こんなの分からないのはバカな議員だけです!」

 うーむ…。私の心の中を表すように雨がいっそう強くなってきた。

 しかし、上には上がいる。後に続いてマイクを持った赤スーツのおばさまが更にエグかった。

「LGBT法案はおかしい。LGBTの方々も望んでいない。これには不思議なことに薬品会社が入っているんです。性に違和感を持った子の親は病院に連れて行きますよね。病院でLGBTという病名がつくんですよ。そこに薬を出され、薬がきかなかったら性転換したほうがいいですねと言われる。分かりますか。みんな繋がっています。人間の体に繋がることはだいたい製薬会社が隠れています。調べてください」

 おば様のボルテージは雨脚の強さに比例して上がり、「目覚めた」仲間たちに薪をくべた。

「(政治家の)雇い主は私達だ!岸田さん!はっきり言いましょう!やめなさい!百害あって一利なし!気付いている日本人が出てきているんだ!」

「暗殺が怖くて真実を語れない河野太郎!あなたは全て知っていますからね!誰から脅されて(自分の)命を守りたくて国民の命を犠牲にしているのか、私達は全て分かっている!きっちり責任とりなさい!あなたが奪った国民の命は戻らない!男なら責任をとってみろ!」

 これには観衆も「腹を斬れー腹をーー!うおおーー!」と雨を弾きながら小躍りするように大喝采。

 お前ら、もうなんでも言っていいと思ってるだろ…。

「自分達の国に帰りなさい!自ら去る事が花道だ!これが国民の言葉なんだよ!あなた達がへこたれるまで来ますから覚悟しなさい!」

 勝手に国民の代表になったおば様は、雑に「国会議員は日本人ではない」説にまとめ、満足げにマイクパフォーマンスを終えた。

(議員会館前でのデモの様子)

(議員会館前でのデモの様子)

財務省にも反ワクの主張

 およそ1時間半ほどで議員会館を後にし、集団は前回のルートにはなかった財務省へと移動した。

 道中、手作りらしきスピーカーの機材を使い、社会科見学の小学生の列に向かって優しく語りかけるような演説をする人がいた。

「G7サミットにウクライナの大統領がきたよね、そして武器をあげるって約束したよね。これは本当はやってはいけないことなんだ。日本が戦争の仲間になっちゃうってことなんだよ。みんなも分かるよね?」

 内容は優しくない。子ども達も先生方も、大雨の中の集団行動なので耳を傾ける余裕がないのは救いだろう。

 この演説者も後に厚労省前で本体と合流した。昨年の銀座三越前のデモで見た反ワクチンさんだ。この手合いからは「ウクライナ支援するな」「ロシア悪者論はフェイク」という主張が本当によく出て来る。

 さて、道が広い財務省前にたどり着くと、やはり前回同様に車の上からの演説スタイルに変わった。

 主催者である毛利秀徳氏は、この街宣車「自立と共生号」を福岡の反ワクチン医師に借り、風雨の中で九州から列島を横断して来たらしい。ようやるわ…。

 スピーカーから「コロナワクチンさようなら河野太郎はデマばかり~(おもちゃのチャチャチャの替え歌)」を流し終えると、毛利氏は「では厚労省の皆さーん!禊(みそぎ)の時間が来ましたよ禊の時間がぁーー!」と威勢よく開始の号令。すぐに財務省の間違いだと指摘され、「あっ、財務省の皆さーん!」と言い直した。なんなんだよ本当に…。

 「国民は税金で苦しんでます。財務省は税金を搾取すれば出世する、減税を行えば、あのー…左遷される?本当ですかー?」

 もはや何か文句が言いたいだけで特別な主張などないのがミエミエである。

(雨中で絶叫する主催者の毛利氏)

(雨中で絶叫する主催者の毛利氏)

 前回もいた極右活動家の石濱哲信氏は相変わらずだ。

 演説が20分以上に及ぶことも珍しくなく、”陰謀論校長”との異名もあるらしい。今回もお仲間から「そろそろ止めてください」の合図を送られるシーンを見た。

 「コロナ騒ぎで国民はワクチンと称する遺伝子組み換え注射を打たされた」の発言はまだマシな方。(いやマジで)

 「ファイザー製のワクチンと称する危険な殺人注射」「武漢ウイルスは数十年前から計画されていた軍事兵器、殺人兵器」「ウクライナ支援は個人であれば即死刑」「犯罪者であるゼレンスキーが」などなど延々と数えきれないほどのアレなワードを並べ、「それらに金を出しているのが財務省。この中に何人、中国系の人間がいるんだ。はっきりさせろ。いますぐ祖国に帰れ」と無茶苦茶な要求をしていた。

 この人は全ての省庁前で「中国人、朝鮮人は帰れ」のようなことを平気で言った。

(演説する石濱氏)

(演説する石濱氏)

 続いて普通の主婦で34歳という女性が立った。

「英語が分かるので海外のニュースが読めます。ウクライナに支援なんて言ってるのは日本だけ。海外ニュースではウクライナは負けたって書いてあるんです。なんで負けた国に戦闘機を送るんですか。私達からまき上げたお金ですよ。その建物(財務省)の中の人達!日本のために働いていますか!日本のために何もしないなら私達も税金を納めません!」

 だってさ…。

 確かに高い税金への不満はあるが、ネットで変なものを見て目覚めてしまった層がこうして自由にものを言える日本はとても良い国だ。頑張って納税しようとの決意を新たにする。

 ほかの演説者からも「子宮頸がんワクチンは毒。あなた達はその毒の接種に予算をつけた」などの発言があり、やはり元々の反ワクチン思想が主流になって「金を出した財務省許すまじ」になっていることがよく分かる。

 また財務省の庁舎は綺麗に見えるが、実は80年前に建てられている(国の重要文化財でもある)から、「財務省は税金で裕福」「あなた方はこんなに立派な大きな建物で働いているけど、私達は大根1本10円安いスーパーを選んで買っている」などの発言はズレていて虚しく響くのみだ。

「愛してミルク?」に激怒

 今度はすぐ近くの農水省前へと移動した。

 前回もここでは昆虫食に関するデマと誤解がぶつけられ、最も大声が響いていた。

 今回も農水省の正面に正対した集団は、毛利氏の「前回も言いましたが、霞ヶ関の食堂で1年間コオロギを食べてエビデンスを出してくれ」に合わせて、「そうだー!お前らちゃんとコオロギ食ってるかー!」などとヘラヘラニヤニヤ。

 毛利氏もノリノリで「日本は添加物が世界一多い。変なものを食わせて、病気にして医療で金儲けするサイクルを作っているのがあなた達だ!」というトンデモ説を続け、デモ隊も「人殺しー!」と叫ぶなどご満悦だった。

 だが、このあたりで建物に貼り付いていたキャンペーン標語に気付き、多くの参加者がブチギレた。

 垂れ幕には「愛してミルク? 6月は牛乳月間」とある。

(農水省の垂れ幕)

(農水省の垂れ幕)

 これは国連食糧農業機関が定めたもので、牛乳への関心を高め、酪農家の仕事などに関心を持ってもらおうとする取り組み。決して悪いものではない。

 だが、集団はなぜかこの標語に「なめているのか」「気持ち悪いんだよ」「バカにするな」と怒りを露わにしていた。

 飼料高騰やコロナ禍の給食需要低下による牛乳の廃棄が問題化し、酪農家の方々が苦しんでいるのは事実だ。この集団はそこに寄り添って不満を抱いている訳だが、しかしそれはこのキャンペーンを推進して支援に繋げようとする姿勢と何一つ矛盾しない。

 それなのに怒るのは、要するに「農水省が日本の酪農家を苦しめたくせにどの口が言ってるんだ」との言いがかりで、だいぶ理不尽に思える。

 ”陰謀論校長”石濱氏などは、わざわざ警備員に詰め寄り、垂れ幕を指さして怒りに震えながら「外せ」と言っていた。(警備員にそんな権限ねえだろ…)

 というわけで、やはり今回も農水省前はカオスが広がるのだ。

 毛利氏が嬉しそうに車道に出て撮影していたのは序の口。陰謀論満開のおじ様がまたも、「食糧危機を意図的に政府が工作している。インターネットで調べてください」と言ったのも可愛いもの。

 やはり特に主婦の方々の言葉が激しかった。

「コオロギ食を推進してませんなんて手のひらを返した。私たち国民が集まって声を上げるのが怖いのならもっと怖がらせてあげますよ。毎月来るから待ってろよ」「水道水に変なものを撒かれている。私達は殺されるんですよ。みんな一気に熱が出る。私の子ども達は空にケムトレイルが撒かれているねって言えるようになって友達に伝えている。全部バレてますよ」「ラウンドアップ(除草剤)がホームセンターで買えるこの国はイカれてるんです」「添加物まみれで子ども達の発達障害がひとクラスの3分の1。これは農水省が作り出したんですよ」

 …このように、だいぶアレな感じのスピーチが続いた。合いの手も「日本人を減らすのが目的なのか!」とだいぶアレな感じである。

 より緊張感が走ったのは、愛知県議の末永けい氏が前回に続き入り口付近で警備員ともめた場面だ。

 省庁内に入って何か書類を提出したいようで、抵抗を続けているとデモ隊から「末永さんは議員だぞ!道を阻むな!」「農水省の犬ども!」「恥を知れ」「時間かけさせやがって」などの罵声が飛んだ。

 省庁内には手続きを経れば誰でも入れるが、末永議員らは明らかなデモ参加者。建物中に入れる訳にはいかない警備員も懸命に対応していたが、ついに仲裁に入った警察も「国民の権利」として認めざるを得なかったのか、末永議員らの侵入を許してしまった。

 庁舎の中で何をしたかは不明。デモの目的にこの行動が含まれていたのだろうか。

(農水省前でもめる末永けい愛知県議(左)ら)

(農水省前でもめる末永けい愛知県議(左)ら)

(農水省内へと入って行く末永議員ら)

(農水省内へと入って行く末永議員ら)

豪雨の中で泣き叫ぶ

 ラストは厚労省前だ。

 来るまでもずっと雨は続いたが、夕刻になっていよいよ数年に一度ぐらいの土砂降りと変わった。ゴオーという音とともに視界が真っ白で前が見えなくなる。

 デモ開始から4時間以上が経過したせいもあって、集団にも疲弊の色が見え始めた。私も早く帰りたい。

 そんな中で、演説者には嵐に耐えてマイクを持つ高揚感がある様子。泣き叫ぶような演説が続いた。シュプレヒコールではコロナワクチンだけでなく、子宮頸がんワクチン、母子手帳の廃止も求めていた。

 主に反ワクチン思想で集まった方々にとっては、ここは最も憎むべき悪の巣窟。とりあえずスピーチでどんな言葉があったかを羅列しよう。

「人殺しなんですあなた達は。国民の声を聞いてください」「窓開けて外を確認しろ。こんなにもいるんだ。そう簡単には逃がさない」

「このコロナワクチンは戦後最大の薬害」「皆さんは殺人行為を補助している」

「ファイザー製の注射をワクチンと誤魔化されて打たされています」「厚労省の人達は8パーセントも打っていないでしょう。これは故意の殺人です」

「効果はないどころか遺伝子組み換えの極めて危険な注射で軍事生物兵器」「ロシアでこれを奨めた関係者は全て処刑された」「何千万人も死んでいくのがこのワクチンの正体」「歴史に残る日本人大虐殺の犯人がいまこの厚労省の中にいる」

 このように初っ端からフルスピードで思い思いの空想を並べていた。これらは平常運動である。いやマジでこういう人達なのだよ…。

(凄まじい豪雨の厚労省前、撮影する毛利氏)

(凄まじい豪雨の厚労省前、撮影する毛利氏)

 演説が続く最中、末永議員は農水省に続いて厚労省内にも侵入に成功していた。30分ほどで戻ってくると、入り口前で誇らしげに記念撮影を。 

 愛知県議会は本当にこの人どうするんだよ…。

 マイクを持ったおば様は雨に打たれながら、感情がかなり昂ぶっていた。

「日本国民の命をなんだと思っているんですか」「厚労省という悪の組織は次々にニセ情報を流し、惑わし、本当の情報が国民に渡らないように工作してきました」「子宮頸がんワクチンを打たずに済んでいた子どもにまで接種券を送っている。このワクチンは海外で相当の被害者を出した。中身を分かっていながら成長期の子どもに打つあなた達は犯罪者だ!みんな指をさせ!あいつらだ!」「この嵐と同様に国民運動を巻き起こし、厚労省を取り囲んで許さない。首を洗って待っていろ」

 別のおば様はもう終始泣き叫んでいた。

「狂ってますよ」「加藤厚労大臣も操られているんでしょうか、教えてください」

「頭がおかしい!CDCもWHOもいらない」「モデルナ社はナチスドイツの毒ガスを作っていた会社です。そこが初めて作ったものを人体実験として私たちに投与したんです」

「あんな毒薬を自ら体の中に入れる人達がいるなんて…悲しくてしょうがない。それを子ども達に打てばお金がもらえるなんて、この国は狂ってますよ…」

「私達の体には免疫があって癌も10年単位で治っていく」

「コロナワクチンをやめろ!子宮頸がんワクチンをやめろ!正しい情報を開示しなさい!恥ずかしくないですかここで働いているのが!恥を知れ!足を止めて聞いてくださいよ!海外はとっくに中止されています!」

「ワクチンは要りません、母子手帳も嘘だらけ!」「病気を作るな!薬漬けにしないで!国民の命を守れ!」

 涙ながらにここまで色々喚き散らされても、庁舎から帰途に就く職員の方々は無表情だ。大雨の中でうんざりと言った顔すら見せない。きっと毎週のように違う反ワクチン団体から攻撃を受けてすっかり慣れているのだろう。

 妙なおじさんがブルーハーツのトレイントレインの替え歌で「危険・危険、打ったらあかん、危険・危険、治験中♪」と歌う余興をやってしまい、もはや演説内容への興味はさらに薄くなった感がある。

 最後は主催の毛利氏が、「厚労省の皆さんは記者会見を開いて、みんなに打った毒ワクチンをあなた方が打ってください」「ワクチンという詐欺をやめちまえ!人生をぶっ壊すんじゃねえ!こんな毒ワクチンやめちまえ!日本国民をなめんじゃねえよ!」などと叫んで無事(?)フィナーレとなった。

 木々が茂っているので落ちてくる雫も大きい。既に傘は意味をなしておらず、全身ズブ濡れになって、5時間以上も立ちっぱなしで体力の消耗は著しい。

 帰り道が心配になる中、雨音に混じってかすかに聴こえたデモ参加者のおば様方の会話が、私を一気に蘇らせた。

「これどう考えても気象兵器よねえ」「ねえ私達への妨害工作としか思えない」

 あああ…これだ…。

 こういうのを聞く為におれは陰謀論観察をやっているんだっ…!(もうダメっぽい)

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