逃げる参政党、追うNHK党。「対消滅しろ」の声も
どうも、黒猫ドラネコです。
コンタクトレンズは1DAYを使っていますが、仕事中は眼鏡が多いです。
今回のレターは、参政党の今年最後の演説を取材して「相変わらずやのう」と書く予定でした。
が、なんとそこにNHK党が乗り込んで公開討論を要求するという事態が。
ツイートしたところ割と皆さんは興味があるようでしたので、どんな様子だったのか、現地の声などを拾いながら状況を詳しく書いていきます。
あらかじめ言っておきますが、私はどの政党も支持していないです。あしからず。
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ちょっと更新が遅くなってしまいました。
かなり長いですが、空いた時間にでもご覧ください。
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参政党「聖地」に雑音あり
新橋SL広場は参政党にとっての「聖地」だ。
今年5月、コロナ禍が生んだこのトンデモ政党のことを綴った時に当レターでも触れた。
そんな彼らにとってのメッカが、初めて荒らされることになってしまったようだ。
松田学代表、神谷宗幣議員、吉野敏明氏が登壇するという今年最後の集会。沸き立つ信者達…あ、失礼、党員さん達。そんな待望のイベントが、あのNHK党によって「妨害」(参政党側の言い分)されたのである。
そもそもNHK党が参政党をなぜか敵視し、それを参政党の吉野氏と神谷氏が動画で挑発したという経緯があるそうだ。
(YouTubeのサムネイルより)
なんでこんなこと言っちゃうかな…。
そりゃ来るでしょうよNHK党も。動画的にもむちゃくちゃ美味しいネタだろうし。
私が新橋に到着したのは正午過ぎ。ざっと6~700人の人だかりができていた。さすがの集客力だ。
神谷氏らの演説は12時30分開始の予定。
それに先立っておこなわれた若手の参政党員によるスピーチに向け、早くも、NHK党の幹事長・黒川あつひこ氏の罵声が飛んでいた。
手持ちのスピーカー(?)から、かなりの音量が出ている。
この黒川氏はN党に属する前から「コロナは茶番」や反ワクチン的な発信をして一部の人たちからの支持を伸ばしていた人物。
だが、ノーマスクデモの後に検査を受けて感染が発覚するなどしてツッコミが殺到し、(この界隈は「コロナは無い」と思いたい人が多いので検査や感染の公表を裏切り行為と受け取る)今や反ワクチン・陰謀論界隈からも批判されるようになっている。
(聴衆の最前列でマイクを握る黒川氏)
黒川氏らは参政党支持者の輪の最前列に陣取っていた。
その周囲に、名前は存じ上げないがおそらく動画撮影者兼N党員という具合で、カメラを構えた4、5人がいる。
同じく最前列中央から、参政党の集会の特徴でもある多数のユーチューバーらが一斉に黒川氏らにカメラを向けている。彼らは全員が参政党支持者というわけではない。ニヤニヤしながら撮っている様子が分かる。
参政党の演説動画は全国の党員が欲していて再生数になるので、多くの配信者にとって美味しい。こういう騒動は大歓迎なのだろう。
そして、そんな人だかりのかなり後方に、ド派手なブルーのスーツを着たN党党首・立花孝志氏の姿もあった。大柄なこともあって、かなり目立つ。
どうやら黒川氏らを直接指揮する訳ではなさそうだ。群衆からはやや離れ、にこやかにおば様達と会話に応じたりしていた。
さて、前座で登壇した参政党城南支部の若い党員は、最初はなんとか今回の騒動を収めようという意図があったのか、「ぼくは黒川さんや立花さんのこと尊敬してるんです。頭がいいと思うし、日本のためにやっていると思う」といきなり発言。
そこに黒川氏から「よし言ったな。言ったんだから公開討論の時間を作ろうよ」と提案が飛ぶ。すると若者は「ぼくの立場ではその件は言えないんです」とトーンダウン。なんじゃそりゃ。
「個性がないとこの国を変えられない。今はお互いの正義のためにちょっと擦っちゃっただけ。僕たちは前に進まなきゃいけないんだよ。こういうことにもありがとう。本当にありがとう。普通に楽しみな人もいる。こういうのも温かい気持ちで見守って、怒りとかは持っちゃいけない。何かを変えようとする意志が…」
どうちゃらこうちゃらと、なぜか微笑みながらの演説が続いた。マジで宗教じみていて怖いというのが正直な感想だ。
別にN党を説得しようという訳ではないらしい。
争いごとにも怒りではなく有り難いと思う気持ちが大切とのこと。
しかし、多くの支持者はまるで黒川氏に当てつけるように、大げさに「そうだー!」と言ったり、わざとらしく大きな拍手を飛ばしていた。争う気満々である。
そんなよく分からない前説の後は、参政党の公式テーマソング「おはよう」が大音量で鳴り響く。
うーむ、別に閉鎖されてもいないのにやっぱり怖いのよこの空間…。
その音楽に合わせるようにというわけでもないが、いつの間にか黒川氏が参政党の男性スタッフと押し問答を始めていた。
スタッフ「顔を撮らないで。この画像は撮っても出さないでください!」
黒川「公開の場で出すなはおかしい。だったら街頭演説をやめろ」
スタッフ「下がってください!」
周囲の支持者「もう警察呼ぼうよ…」
黒川「警察?呼んでくださいよ。どっちもただの政治運動だからね。五分と五分だから」
スタッフ「下がって!」
黒川「嘘をつくなと伝えろ。公開討論に来いと言ったんだから。街頭演説に来いって言った」
スタッフ「大声を出したり不規則発言で演説の妨害をしないでください」
黒川「要望は聞くけど、国民は誰でもここに立つ権利があるんだ」
(参政党スタッフと揉める黒川氏)
その様子を横目に、私の隣でおば様グループはぼやきまくる。
「あーもう、失礼だよねえ。楽しみにしてきたのに」。同じような思いの人も多かったようで、この揉め事を眺めていた参政党支持者からN党に向け「帰れコール」が起こり掛けた。
だが、前述のように争いを好まない党員が多いせいもあってか「かーえーれ!」と拳を上げる人に「それはやめましょう」「おさえておさえて」などとなだめる人が複数いて、広がらなかった。
ちょっとだけ感心してしまう。ありがとう…この争いにありがとう(?)
私の隣のおば様は「いいじゃないの。なんでこっちが我慢しなきゃいけないの」とブーたれていたが、すぐ隣のおじさんから「ダメですよ。あいつら(N党)と同じレベルになりたくないでしょう」と諭されていた。
あの、ずいぶん前からそんな変わらないレベルだしむしろ低… いや、言えやしない、言えやしないよ。クックック。
またしても松田代表のトンデモ演説
大きな拍手が起こり、舞台の裏手からいよいよ松田代表と神谷議員が登場。
二人が登壇する。すぐに、その真下にズカズカと近寄る黒川氏。
さあさあ来たぞ。
(壇上の神谷氏に近寄って主張する黒川氏)
黒川「申し訳ない、冒頭ひとことだけ言わせてください」
一瞬、固唾を飲んで見守る聴衆。ど、どうなるんだ…?
神谷「はーい皆さん、こんにちはー!」
無視である。
ドわーーー!という歓声とわざとらしいほどの大拍手が、黒川氏の存在をかき消すように巻き起こる。
これにはやはり黒川氏がヒートアップ。
参政党員も拍手で有耶無耶にしようと必死になるも、残念ながら黒川氏のスピーカーの音が圧倒的に上回る。
黒川「質問を受け付けるんで街頭演説の場に来てくださいって、動画を出されましたよね。だから来たんですよ」
神谷「静かに。静かに」
黒川「質問の時間をもうけていただけませんでしょうか?」
ゴクリ…。ど、どう答えるんだ…?
神谷「はい、それでは時間になりましたので、参政党の街頭演説をはじめたいと思います!」
無視だ!しかも100万ドルの笑顔!
この判断を支持するかのように「フー!」「イエエアーー!」などの歓声と大きな拍手が起こる。なんかサンシャイン池崎みたいな奴がいるな…。
しかし、それでも黒川氏の音量がまだ勝っている。
黒川「質問の時間をもうけていただけませんでしょうか!?」
神谷「松田代表より演説を…
黒川「そして吉野さんなんで来てないんですか」
神谷「静かにしてください」
黒川「あなた(来いって)言ったじゃないですか」
そうだ。吉野氏がいない。
動画で「討論に来い」と、手をクイクイさせてアンチやN党を最も激しく煽っていた張本人が来ていないのである。
当初の予定ではここに来ることになっていた。予定の変更も特に告知がないようだ。どういうことだろうか。
「かかって来い」のように言ったのに、煽ったのになぜ対応しないのかをN党としては疑問視している。「嘘をつくな」というのは、討論に応じる気がないのに動画で言ったことを指しているらしい。
だが、神谷氏らはこれには答えない。
何事もなかったかのように松田代表がスピーチを開始。もちろん黒川氏がそれを許さない展開に。あーもうむちゃくちゃだよ。
ここからはステレオ音声でお楽しみください。
松田「みなさんこんにちわー!(観衆ワー!)今日も来てますよー、全国一緒に回ってますからね。(変なぬいぐるみを見せつける。観衆ワーー!)いやあ、こないだね… 黒川「ヤバイですよ。嘘はやめてくれって言ってるんですよ」松田「私の演説にね… 黒川「嘘はやめてくれって言ってるんですよ」松田「なんか小学生ぐらいの子が… 黒川「嘘はやめてくれって」松田「自分のマナピー(ぬいぐるみ)を持って1時間も演説を… 黒川「嘘なら撤回して謝罪してくださいよ。それなら一旦それはそれでいいですよ」 松田「ありがとうございます、ありがとうございます(観衆ワーー!拍手)ということでね… 黒川「あなたジュピターから3000万もらってますよね」松田「それで子ども達がね… 黒川「だから質問の時間をもうけていただければ」松田「あのー、みなさん聞こえてますかー?(観衆ワー!拍手)はーい、ありがとうございまーす(にっこり)」
全く話の内容が分からないが、平静を装いつつ、明らかに支持者に助けを求めるように「聞こえますか皆さん?」などとニヤニヤして進めようとする松田代表。
妨害する黒川氏も黒川氏だが、松田氏も松田氏で、意地悪な教師が出来の悪い生徒の必死の訴えを無視して授業を進めているみたいなイヤーな感じが漂う。
(マナピーを手に演説する松田代表)
黒川氏がスタッフに促されて一旦は諦めたように下がると、松田氏はお得意の陰謀論混じりの演説を開始する。
やっぱりなんも変わってねえのなこの人…
内容はすげえめんどくさいから箇条書きにする。
・来年までに台湾有事があるかもしれない。目覚めなきゃいけない。本当の敵はグローバル全体主義。
・参政党のことを陰謀論やカルトと言ってる人は国際社会に無知なだけ。国際的な多くの人たちが「(参政党が)本当のこと言ってくれた」と言っている。日本で国際社会の標準に合ってるのは参政党だけ。
・アメリカのアンケート調査では国民の4割は連邦政府は秘密結社によって支配されていると答えている。日本人の大半がメディアを信じて気が付いてないだけ。ここに集まっている方々は気付いた方々。一部例外もいますけどね、ハハハ。(黒川煽り)
・世界中がマスクを外しているのになぜか日本だけ続けている。なんか変ですねえ。
・世界中がもうお注射(ワクチン接種)を止めはじめている。日本では総理大臣以下みんな、もっと打てもっと打て5回目を打てと言っている。これもなんか変ですねえ。
・日本はグローバルな連中からみると、金儲けの場。今だけ金だけ自分だけの最終処分場で最終実験場。そういうふうに位置づけられてきたんじゃないか。
・アメリカ中間選挙の事前調査では共和党が圧倒的に上回っていたのに、なぜか上院は民主党が勝っちゃった。やっぱり民主党って、不正をしないと選挙に勝てない政党なのかなって話が聞こえてくる。
・ワクチンの在庫過多は政府には説明できない背景が。おそらく製薬会社と機密条項。きちんと出せと言ったが、わけのわからない答弁しか出て来なかった。我々はそれを追及していく。
・海外からはこの秘密が少しずつ漏れはじめている。とにかく主権も何もない。国を乗っ取っちゃうようなそんな脅しまでされている国まである。各国政府が一生懸命にお注射を確保しなきゃいけない。頭を下げて結んだ契約の結果、大喜びしてるのはグローバル資本じゃないでしょうか。
・なんで彼らのために、我々の子どもの将来を捧げなきゃいけないんですか。(観衆「そうだー」!大拍手)
・なんで彼らのために健康な人達が健康を犠牲にしなきゃいけないんでしょうか。そう思いませんか皆さん(観衆「そうだー!」大拍手)
・(ワクチンを)止めたほうがいいと言っても、テレビ見ると打っちゃう人がたくさんいる。そういう人達に、「テレビはウイルスだ」とはっきり伝えてあげるように色んな説得材料を提供している。
・参政党に「命を救っていただいてありがとうございます」の声が全国から聞こえてきている。これをやってんのも参政党だけ。
・日本の方がずっと進んでいる。今だけではない、金だけではない、自分だけではないのが日本民族ではなかったでしょうか!そう思いませんか!!(観衆「うおおおお!」大拍手)
えーっと…。
長くなってしまったが、これでまだ半分もいってない。もういいや。毎回こんな感じなのよ。
松田氏お得意の経済の話なども展開されたのだが、ちょっと面白かったのは「今までの政治は何をやっていたのか。30年に渡って日本人の賃金が上がらなかった」から続く話。
松田「成果が上がらないのだから責任とんなきゃだめですよ。私は『改革真理教』っつってんですよ。改革、改革、改革つって、何が変わったんだよ」
あのー、これ前にもあったが、今あなたの隣に立ってる神谷氏の会社「イシキカイカク」っていうんだけど…。「何が変わったんだよ」って言って大丈夫そ?
天高く放った物がしゅんしゅんしゅんって後頭部に返ってこない?
演説の終盤には、相変わらずオリジナル経済政策「松田プラン」の話をし、このあたりで黒川氏のヤジがついに復活。
松田氏が10年前にTPP(環太平洋パートナーシップ協定)関連の本を出版していることもあってか、黒川氏が「あなたTPP賛成ですよね?」と突いていく。
要するに、松田氏が表向きには政府を強く批判しながら実は全くそうではないと言いたい訳だ。
ただ、黒川氏らが見誤っているのは、参政党支持者がほとんど無知な中高年の集まりであるということ。おそらくTPPなんて言われてもよく分かっていない。「松田さんの話は難しくてよく分からないけど、今の政府のやっていることを批判してくれて色んな事情もきっとよく分かっているっぽくて熱い」から支持している人達なわけで、どんな具体的なワードによる攻撃をしてもあまり効果がない。
それどころか、むしろ結束してしまう。
「我らの松田さんが自信満々に言ったんだからこれでどうだ!」と言わんばかりの大げさな賛同の拍手を響かせようというような一体感があった。
松田氏の口癖である「なんか変じゃありませんか?」「そうではありませんか皆さん?」などに、「そうだそうだー!」「その通り!」「イエアーー!」とまるでサクラでも雇っているような好反応が続いていた。
神谷議員「チンピラ」発言、そして…
さて、神谷氏の演説に移る。
昨年12月に参院選への出馬を表明してからの思い、投票への感謝などが静かに語られるが、黒川氏が「嘘はダメだよ。嘘で100万人集めたら余計に悪いよ」と本領を発揮し始める(まだしてなかったのかよ)
神谷氏も「静かにしてください」などと冷静に対処していたものの、参院選で議席を取ったという感謝のスピーチで「3議席が欲しかったけども」と言った瞬間に、黒川氏から「逃げるから3議席とれなかったんだって。公開討論に応じると言ったでしょ!」と強烈なヤジが入る。
(当初は意気揚々と語っていた神谷氏)
いつもなら神谷氏の感情が乗ってぐわっと盛り上げるスピーチが今日はいま一つだ。
それもそのはず、聴衆もかなり集中力を欠いている。黒川氏のヤジに「うるさい」と怒りの声が飛びはじめている。
私の隣のおば様たちは「身の程を知りなさいよ。神谷さんはあんなの眼中にないんだから。格が違うのよ」とブツブツ言い出してすごく怖い顔をしている。
「参政党の勢いに嫉妬してるのよ。自分達で人を集めて演説やればいいのに、ねえ」
そうは言うものの、ずっと黒川氏の方を気にして、神谷氏の話す内容はおそらくほとんど聞いていない。
そしてなんと実は聴衆の中に、N党の他にもスパイがまぎれていた。
先の「三越ノーマスク襲撃デモ」でも見た男がいる。頻繁に「神谷さん!言い返してください!」などと支持者を装って大声を出している。
周囲が「静かに」「迷惑だよ」などと注意するが、「だって言われっぱなしじゃないですか!このままじゃ悔しいじゃないですか!ああ神谷さん…負けないで…」などとなかなか巧みな演技を始めていて、こちらもヤジを止める気配がない。
マジですげえなコイツ…。
神谷氏の演説は「今の状況は世界恐慌の前に似ている。国民の不満のはけ口で戦争が用意された。日本と米国は戦争をする必要はなかったけど、それを意図的にぶつけようと仕向けた連中がいる」にまで入り込んだ。はあ…。
すると黒川氏が「それがロスチャイルドじゃないですか。ユダヤマネーですよね。あなたヤマト・ユダヤ友好協会の理事までやってましたよね。戦争屋を持ち上げておいてよくそんなこと言いますね」などと、陰謀論に陰謀論をぶつけるワチャワチャの展開に。
あーあーあーもう…。
神谷「今までそんなことを説明する政党はなかったから、潰したいわけですよね。我々の政党を!潰したい人がいるんです!」
黒川「嘘つくのを止めろと言ってるだけなんですよ。逃げるなと言ってるだけですよ」
神谷「権力者がチャレンジャーを潰す時にどうするか分かりますか」
黒川「別に俺らは権力者じゃないし」
神谷「お金や利権で取り込もうとするんです!こっちに来たら良い思いができるよと」
黒川「あなたユダヤに取り込まれてるじゃないですか」
神谷「取り込めないと分かったら、潰しにかかりますね」
黒川「何回もイスラエルに行ってますよね」
神谷「潰す方法そのいち!チンピラを雇うんです!!」
うわあ…やべえぞこれは…。
なぜ「チンピラ」なんて言ったのか。明らかに黒川氏の方を意識して声のトーンを上げてしまった。
参政党支持者が「わー!チンピラー!」と黒川氏らに向けてわざとらしく大きな拍手を浴びせる。
あわわわ、やっちゃったよこれ…。
売ったケンカがようやく買われた。これには黒川氏が嬉しそうに笑う。
「チンピラって言ってくださったんですか!そんないじっちゃったら話が続くに決まってるじゃないですか」と言うと、N党支持者がどっと沸いた。
「スルーできなかったあー!」「チンピラの意見を聞けー!」「チンピラも国民だー!」
ああ、ダメだ。こっちがさらに強気になってきた。
神谷「変なチンピラみたいなのが寄ってきても相手にしないってことです」
黒川「…いま相手にしてますよね?」
この流れには参政党支持者の中にも笑って吹き出す人が。
神谷氏は明らかに冷静さを欠いてしまっている。
神谷「そんなチンピラみたいのがやって来て相手をするんですか。しないですよね?ね?」
黒川「嘘はダメだって。来てくださいってあなたは言いましたよね?」
神谷「…静かにしてください」
もうスルーもできない。あざ笑う黒川氏とは対照的に、興奮して対抗してしまった。これでは後戻りは難しい。支持者もどこか不安そうだ。
黒川「街頭演説に来てくださいって言いましたよね?話し合いをしたらよくないですか?」
神谷「…妨害ですよ。静かにしてください」
黒川「あなた、来てくれって、かかって来いって(手をクイクイのジェスチャー)言ったんですよ」
神谷「…妨害行為です」
黒川「自分で言ったことなんだから嘘はつくなよ。なんで吉野さん来てないの」
神谷「街頭演説の妨害をしていますから静かにしてくださいって言ってるんです」
黒川「メロンパン一個で死ぬって言ったんだよ?」
それはおそらく吉野氏の繰り出した、小麦を食うなとか添加物を摂るなとかのトンデモ説である。
ああ、もう無理だ。きっとこの演説はもう…。そう思った次の瞬間だった。
神谷「みなさんすみません、今日は妨害行為が酷いので。これで街頭演説を終了させていただきます。申し訳ありませんでした」
ついに、打ち切り宣言が飛び出した。
「ああ…」と落胆する参政党支持者と、どわーっと盛り上がるN党陣。
「逃亡!」「逃げたあ!」「俺達はアウェイでも来てるのに逃げるのか!」などと追い打ちが続く。
そこに参政党支持者の一部が「お前らのせいだろ!」などと応戦。それを「やめろ、相手をするな」となだめる穏健派たち。
しかしそれにかぶせるように「嘘でしょ!神谷さん負けちゃう!神谷さん負けないでー!」とわざとらしく叫ぶのは、先ほどの参政党支持者を装った男。マジかお前…。
まんまとそれに呼応してしまうおば様たちの「負けないでー!」
どうしてこうなった…。混沌(カオス)。どこから狂ったのか。
黒川氏は表情をニヤリと歪ませ、その場で嬉しそうに体を揺らしていた。
参政党の年配スタッフから「〇時〇分、妨害行為により、本日の演説を中止します」というようなアナウンス。
わざわざ時間を言ったのは、何らかの証拠を残すためだろう。
揉み合い、最後に残ったのは…
黒川氏らが、降壇した松田代表と神谷議員を小走りで追いかける。
スタッフに警護されながら、広場の裏手に停めていた参政党カーにいち早く、どっかりと乗り込んで不機嫌そうにしていたのは松田代表。
続いて乗り込む神谷議員もスタッフに何か声をかけつつ、表情はやわらかいが、黒川氏らの追及には全く応じない。
(警護スタッフとともに広場の裏へ向かった神谷氏=中央)
参政党カーの横がユーチューバーのカメラで埋まり、黒川氏らのグループがなおも喚きたてる。
興奮気味に車道と歩道をうろちょろするN党支持者らしき挙動不審な男性がいた。
車がじわりと発進すると、その男性が飛び出してしまったようで、危うく事故になりかける。慌てて参政党スタッフが強めに抱きかかえながら歩道へと戻る。男性はバツが悪そうに笑っていた。
(SL広場裏手。参政党カーを取り囲むユーチューバーたち)
アンチも、スタッフも、支持者までも置き去りにし、松田学代表と神谷宗幣議員を乗せた車は走り去った。
広場では片付けが始まった。年配スタッフに向けて黒川氏らが「責任者を決めろ」などとまだ突っかかっている。
その横のテントと長机では、撤収作業のギリギリまで参政党への寄付を募るスタッフと、それに笑顔で応じている年配のご婦人。
…さすが、手ごわいな。
さて広場の後方だ。
参政党の撤収作業が続く中で、N党・立花孝志党首を囲んでの集会がスタートしていた。
参政党支持者はほぼ消えてしまっていたが、それでもおよそ200人ほどがぐるりと輪を作る。こんなにいたのかN党支持者。
道行く新橋のサラリーマン達も、立花氏を一目見ようと、興味深そうにのぞき込んだり写真を撮ったりしていた。
(参政党が去った直後に演説を開始したN党・立花氏)
輪の中にはN党のやり方を非難するために残ったのであろう参政党支持者もいたようだ。
勇気を出して何か言ったその人に対し、立花氏は穏やかに話して批判をかわしていく。(マイクの音が小さく、あまり聴きとれなかった)
あとから黒川氏が輪の後ろに加わると、立花氏は「神谷君の話を聞きたい人もいたはず。今回の黒川君のやり方はよくなかった。やり過ぎだった」とまずは叱った。
両氏の間に、事前にどのような打ち合わせがあったのかは分からない。全く何もなく、黒川氏の単独行動だったのかもしれない。
立花氏は「でも、それ(参政党への話し合い要求)すらも本来は自由なんですよ」。参政党の一方的なやり方に当て擦るように言った。そして「我々は自由に議論をしたい。本質は自由。こうして、質問がなくなるまで話し合いもする」と参政党との違いを自信たっぷりにアピール。
参政党の集金などを「やり方が宗教」「文句を言ったら除名される」「統一教会と何が違うか分からない」と厳しく非難しつつ、挙手をした人にマイクを渡す形で、質疑応答の時間を取った。
気が付くと、なぜかその輪のすぐ後ろで、参政党にもNHK党にも全く無関係な「ワクチン被害者の会」を支持するという野良の反ワクチン集団が大音量で演説を開始している。
今日デモをやるのは全くの偶然だそうだ。
電子ピアノまで弾いて、「ワクチンで2万人も死んだんです」「神谷議員も打てる人は打っていいと言ってワクチンを完全否定しないからおかしい」などと言い、年配のご夫婦や参政党支持者で残った人が「やっぱり今の世の中はおかしいよね」などと口々に確認し合っていた。
あの…たいへん申し訳ないが別の日にしてくれねえだろうか…。
(N党の後ろでデモを始めた反ワク集団)
面白かったのは、その集団が立花氏の演説の邪魔になっていることに気付いた黒川氏がわざわざそこに出向き、「こっちの声が聞こえなくなってるから」みたいに真顔で抗議していたことだ。
どの口が言うてんねん。
N党の質疑応答はけっこう長く続いていた。それこそ、ガーシー議員への批判なんかにも真摯に応えていたようだ。
参政党が言うグローバル資本主義など陰謀的なものについての質問への回答だっただろうか、立花氏が「911なんてアメリカのヤラセに決まっているけど、そんなの言っても仕方がないわけじゃないですか」のようなことを口走ったので、私は「ああ…(察し)」とその場を去った。
政治ってなんなんだろうなと、やけにむなしかった。
(以下は有料会員限定です)
「対消滅しろ」の声に思うこと
私は元々、今回の参政党の演説を心待ちにしていた。
最近は党内でもよく揉めているようだったし、何を話すのか、どんな様子なのか、たった半年で勢力を大きく伸ばしたトンデモ論をまき散らす集団の近況を探ろうと。
そこにきてN党の「襲撃」予告があり、まず思ったのは「これがあるから見に行ったとか思われたら嫌だな…」である。
これがなくてもウォッチに行っていたことだけは強調したい。
さて、今回の取材についてツイートした時に「蟲毒」「勝手に戦え」「どっちもどっち」「対消滅しろ」のような言葉が多かった。