【逮捕】つばさの党・黒川代表らによる参政党「襲撃」などのまとめ
どうも、黒猫ドラネコです。
タイムリーなニュースがあったので予定を変更しまして、表題に沿ってこれまでの取材を振り返るレターを送ります。もともと、事が動けば書こうとは思って準備していたので。
警視庁は17日、公職選挙法の「選挙の自由妨害」の疑いで「つばさの党」代表ら3人を逮捕しました。衆議院東京15区補選での他陣営への妨害に関してのもので、世間を騒がせていたことではありますが、異例の逮捕劇となりました。
13日には党の事務所が家宅捜索されています。
ガサ入れの時点で逮捕は時間の問題だったと思いますが、容疑者らは警察の対応を疑問視するライブを配信して嘲る態度をとり、当てつけるようにデモ活動をしていたようです。
コロナ禍での活動から
2021年頃からしか直接的には見ていないのですが、私が「つばさの党」代表の黒川敦彦氏を初めて認識したのは「コロナは茶番」系の投稿だったと思います。
前身である政治団体「オリーブの木」で活動していた黒川氏は、古参の反ワクチン界隈である内海聡氏、池田としえ日野市議らとのイベントを企画していました。
しかしそのタイミングで黒川氏が新型コロナ感染を公表。「コロナは茶番」を主張していた当時の反ワク・インフルエンサーらから「PCR検査を受けて自ら茶番に加担するとは何事だ!」のように咎められ、反ワク界隈から大批判を受けることになりました。
今回の15区補選に出馬した党幹事長の根本良輔氏も、同様の突飛な主張で当時から区議選に出ていましたが、この頃、黒川氏と仲間内でのオンライン会議の際に女性を脱がせてみせるなど悪ふざけをしていたことが問題になり、界隈からは「なんじゃコイツらは」となって「反ワクを売名に利用しているのでは」みたいに総スカンを食らってしまいます。
この流れは最近までも一部の反ワク界隈で続いていたので、今回の逮捕を受けてそれは顕著になるでしょう。反ワクさんたちはある意味で正義感が強くピュアなので、そもそも黒川氏、根本氏とは空気感が合わなかったのです。
反ワク界隈との連携は難しくなりましたが、その思想は継続しつつ、黒川氏はその後、NHK党(当時)の立花孝志氏と行動を共にします。
黒川氏は、つばさの党を兼務しながらN党幹事長に就任して一定の発信力を得ることに成功。NHK日曜討論で「CIA音頭」を披露したのもこの頃でした。
ここで、黒川氏と反ワク・陰謀論の主張などがほぼ丸被りする参政党が登場し、2022年の参院選で議席を獲得して国政政党になってしまいます。ええ、なってしまったんですよこれが。
N党自体は反ワク・陰謀論をメインに掲げるわけでもそれに反対したわけでもなかったのですが、なぜか参政党とは対立するようになりました。
当時、参政党は瓦解した神真都Q残党などを取り込み、一部の「逆張りの逆張り」みたいな者を除いては反ワク・陰謀論界隈の人気を一身に集め始めて膨れ上がっていました。
そんな参政党を、N党の黒川派が一方的に敵視したような形でした。
参政党討伐がブームに
黒川氏による参政党・神谷宗幣氏(現代表)への批判は特に苛烈でした。反ワク傾倒以前は森友・加計問題を追及していた活動家だったそうなので、神谷氏がもともと森友学園に勤務していたことや、安倍晋三元首相とも親交があって、さらにはヤマト・ユダヤ友好協会とも繋がっていたなどの経歴に目をつけたのでしょう。
参政党を元党員ら18人が訴えた裁判もN党が原告を支援するなどし、対立は深まる一方。
ただ、本格的な大乱闘が始まるきっかけになったのは、参政党が動画内で「議論しに来い」と神谷氏とボードメンバー吉野敏明氏(当時)が挑発したことでした。
(YouTube動画のサムネイル)
参政党としても、攻勢を強めていたN党への意識はあったのでしょうが、しかしこの動画は他のアンチに向けられたものでもあったはずです。
それでも、黒川氏らはこの挑発に「美味しさ」を感じたようで、当然のごとく「それなら行ってやろうじゃねえか」と、本格的に参政党への「襲撃」を敢行します。
その第一回の様子はこちらです。
このへんで黒川氏らが始めた参政党凸(とつ)のライブ動画は一部に人気を博します。
Twitter(現X)や「参政党討伐」のLINEグループチャットで「神谷が何日にここに来るらしい」などの情報が共有されるようになり、黒川氏が「行きます」と宣言して盛り上がる流れが出来上がりました。
これらが今回の衆院補選での他陣営への「襲撃」のベースになっていきます。
両陣営に無関係な方々からすれば、どっちが勝とうが負けようがどうでもよすぎて、できれば対消滅してほしいとの声もある戦いでした。両者のバトルの盛り上がりは、昨春の統一地方選でピークに達します。
会場内に乱入しての神谷議員追撃などもあって、参政党側もスタッフに屈強なおじさん達を動員し始めるなど演説時やイベント時の警備体制が強化されます。
よせばいいのに、神谷議員も支持者の前だけでは黒川氏らを大好きな鬼滅の刃の「鬼」に例えるなどして強がってみせました。鬼殺隊のはずなのに逃げてしまう神谷議員を、鬼であり討伐隊でもあるN党が昼夜関係なく追うという、誰にもよく分からない悪循環が生まれていきます。
黒川氏らは「参政党の車に誰かひかれたら再生数すごいことになるな」などとライブ配信することを楽しみ始めました。手を出されないのをいいことに屈強な参政党スタッフのおじさん達を煽りまくり、走ったり道を遮られたり、罵り合ってすっ転がったりは「撮れ高」となっていきます。
私個人としては、参政党のやべえ様子を知りたくて観察していたのに、当時からどこの演説に行っても黒川氏ら「討伐隊」の面々と遭遇することになりました。
相手が参政党だけなので「いいぞもっとやれ」と全く思わなかったと言えば嘘になりますが、とりあえず法的にどうなのかという部分と、近隣住民などの一般人が巻き込まれている様子はすごく心配だったし、仕事とはいえこんな騒動に対応しなければいけない警察の方々が気の毒で仕方ありませんでした。
代々木八幡駅前では選挙の神による気まぐれか、「超カオス状態」が領域展開されたことは印象深い思い出です。
N党との訣別後
そんな統一地方選の最中、黒川氏はN党と訣別。旧N党黒川派の仲間を引き連れ、参政党だけでなく立花氏も「尊師」などとターゲットにし始めました。
ぶっちゃけ背景や事情なんかは私にとってはどうでもいいので、選挙ウォッチャーでありN党ウォッチャーの第一人者でもあるライターちだい氏にお任せします。
このnote記事は今でも読み返すほどで涙が出るぐらいに笑えました。
N党から離れた後の昨夏頃から黒川氏は、ジャーナリストや活動家らと「つばさの党」または「あたらしい国民の運動」などと称したグループで、街宣やデモ行進を精力的に開始します。
参政党討伐も継続しつつ、陰謀論集団「日本列島百万人プロジェクト」「三浦春馬勢」などと共闘していきました。惹かれ合う何かがあったのか、与しやすかったのか。N党幹事長の頃よりも、むしろこっち方面の方が生き生きとしていたように見えたのは気のせいでしょうか。
黒川氏は「三浦春馬さんは自殺じゃない」と主張するアレな集団を束ねながら、デモ行進では少数の声を出し続けていくことの大事さなどを強調。「そうすればいつか俺が政権をとりますから」と興奮気味に叫んでいました。
それらの模様はこちらから。
▽百万人プロジェクトとの共闘デモの様子
▽三浦春馬デモ、創価学会反対デモを主催
こうした流れで、今回の衆院補選の騒動に至るわけです。
(以下はサポートメンバー向けに黒猫の見解です)
配信型の愉快犯
個人的には、参政党の挑発を受けてからどんどんやれることを学んでいって、調子に乗った末の今回の騒動であり、逮捕だと思っています。
とりあえず当の本人たちは今回これだけ注目されたことを喜んでいたようです。おそらく逮捕されてもそれは続きます。出てきてから開き直るか、反省するようなそぶりや自虐ネタを交えた動画を出すかもしれません。その旨味も参政党「襲撃」から覚えたことなのでしょう。
話題になればなるだけ儲けもんで、もともと炎上上等。報道しなければいけないことではあるけれど、取り上げることは彼らを承認するのと同じことです。
良識ある大多数の支持を得たくて活動している集団ではありません。悪名は無名に勝るそのままに、名前が売れてごく一部の面白がる方々さえ取り込めたら、それを「民意だ」「支持してくれる人もいる」として突き進んでいくだけなのです。
根本的なところで、彼らのような方法で集団作りする勢力には、選挙活動中だけでなく「これやっていても美味しくないな」と思わせることが必要だと思います。